必見!日商簿記1級で学習する全内容と学習のポイント(商業簿記・会計学編)

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日商簿記1級で学習する内容は日商が「簿記検定試験出題区分表」で公開しています。しかし、まだ学習を始めていない段階でこの区分表を見ても内容は分からないと思います。

そこで、本日は日商が公開している簿記検定試験出題区分表を下敷きに、学習内容と学習上のポイントをお伝えします。

日商簿記1級で学習する全内容

これから日商簿記1級で学習する全内容について学習上のポイントを一言添えてお伝えしていきます。

2-2.売買目的有価証券

ア.売買

売買目的有価証券の売買については簿記3級で学習しています。ただ、簿記3級で学習する売買目的有価証券の売買は「約定日基準」です(売買が成立した時点で売買を認識する基準を約定日基準といいます。)。

日商簿記1級では新たに「修正受渡基準」という会計処理の方法を学習します(売買目的有価証券は取引が成立した4営業日後に受け渡すのですが、その受け渡しの日に取引を認識するのが修正受渡基準です。)。

学習するときは「当期中に約定したけれど受け渡しは次期になる」というパターンが重要なので、ここを意識して学習することが大切です。

ウ.貸付、借入、差入、預り、保管

売買目的有価証券の「貸付、借入、差入、預り、保管」は日商簿記1級の内容ですが、【簿記革命】暗記不要の簿記独学講座では、簿記2級で学習しています。詳しくは貸付、借入、差入、預り、保管をご覧下さい。

2-5.手形

ア.電子記録債権・電子記録債務

(2016年4月からは簿記2級の範囲に移行しています。)

「電子記録債権」「電子記録債務」とは、これまで使われてきた「手形債権」「手形債務」などとは異なる新たな「電子的な」債権・債務だと言われています。

しかし、簿記における会計処理としては手形と本質的には変わりません。学習上も手形と同様に考えれば十分です。

エ.手形の不渡

不渡手形の仕訳については簿記2級までで全て学習しています。簿記1級で新しく学習するのは「貸借対照表の表示方法」です。

不渡手形は通常の手形と同じように表示するわけにはいきません。その理由をしっかりと理解しておくことが大切です。

2-6.引当金

ア.貸倒引当金(財務内容評価法、キャッシュ・フロー見積法)

貸倒引当金については簿記3級で差額補充法(実績法)についてのみ学習しています。実績法は回収に特に問題がない債権に対する貸倒引当金の設定方法です。

日商簿記1級では回収に問題が発生している債権に対して設定する「財務内容評価法」と「キャッシュ・フロー見積法」について学習します。

財務内容評価法は特に難しくないのですが、キャッシュ・フロー見積法は高い計算力が必要になってくるので、計算式の意味を理解しながら数多くの練習を行うことが大切です。

エ.退職給付引当金

退職給付引当金そのものは簿記2級で出てきていますが、退職給付引当金の計算方法までは特に学習しませんでした。日商簿記1級では退職給付引当金の計算方法について学習します。

退職給付引当金の計算方法は非常に複雑なので、T字勘定やワークシートを使い、丁寧に学習して身につけることが必要です。

2-8.商品

ウ.その他の方法による売買取引の処理(総記法)

売買取引の処理については簿記2級までに次のような形で学習しています。

  • 簿記4級…分記法(簿記4級は一般的ではないので他の機会に学習する場合もあります。)
  • 簿記3級…三分法

簿記1級では総記法という新たな方法を学習します。総記法は商品を仕入れたときには借方に原価で記帳し、商品を売り上げたときには貸方に売価で記帳する方法です。

このとき、借方にも貸方にも商品勘定を使うので、商品勘定の原価と売価が混ざることになります。これを決算整理仕訳で意味のある金額に修正するのですが、この会計処理が重要になります。学習するときはこの決算整理仕訳をしっかりと身につけることが重要です。

コ.売価還元原価法など

期末商品の評価方法については簿記2級までに次のような形で学習しています。

  • 簿記3級…先入先出法・移動平均法
  • 簿記2級…総平均法

簿記2級までで学習した方法はきちんと商品ごとに商品有高帳をつけていることが前提で使える方法です。

しかし、スーパーマーケットのような非常に多くの商品を大量に取り扱う業種では全ての商品の商品有高帳を使って記帳するのは非常に大変です。

そこで、そのような業種では商品有高帳がなくても期末商品を評価できる方法が必要です。それが簿記1級で学習する「売価還元原価法」です。

売価還元法は簿記2級までで学習した期末商品の評価方法とは全く異なる考え方で期末商品を評価します。この考え方をしっかりと身につけて計算できるようにしていくことが大切です。

2-9.特殊商品売買

エ.割賦販売

割賦販売については簿記2級で「販売基準・回収基準」と「対照勘定法」について学習しました。ですが、これらは割賦販売のごく一部です。日商簿記1級では割賦販売の全体を学習します。おおむね次のような内容です。

  • 利息等の区分処理…割賦販売の代金に利息が含まれている場合、その利息を区分して処理する方法
  • 取戻品の処理…割賦販売で引き渡した商品を代金の滞納などの理由で取り戻したときの会計処理
  • 回収期限到来基準…割賦金の回収期限が到来した時点で売上を認識する方法
  • 未実現利益控除法…「回収基準」や「回収期限到来基準」を採用しているときに使う会計処理の方法で、期中は「販売基準」と同じ処理をして、決算時に未実現の利益だけを控除する方法

様々な会計処理や収益の認識基準があって混乱しやすいので、学習するときは一つずつ丁寧に身につけていくことが大切です。

2-10.工事契約

工事というのは広い意味では「製品」なので、簿記2級で学習した工業簿記の考え方で会計処理を行うことができそうです。規模が小さく短時間で完成するものはそれでもいいのですが、規模が大きいものになると、1つの工事に1年を超える時間がかかり、また、企業全体で1つの工事を引き受けるようなケースも出てきます。

このような大規模な工事の場合、通常のように「引き渡して売上を認識する」という会計処理を行うと、引き渡すまでの間ずっと売上が0になりかねません。そこで、工事契約に関しては特別な会計処理が認められています。

工事契約を勉強するときはこういった点を理解していくことが大切です。

2-11.デリバティブ取引、その他の金融商品取引(ヘッジ会計など)

デリバティブは一言で表すと「将来の取引を約束する取引」です。約束するだけなので具体的に何かが動くわけではありません。しかし、約束には効力があるので、その効力を財務諸表に表すために会計処理を行う必要があります。この会計処理を簿記1級で学習します。

また、デリバティブをリスク管理に使う場合は、特殊な会計処理である「ヘッジ会計」を使ってリスク管理による結果を財務諸表に反映させます。

ディバティブやヘッジ会計は一般人にはなじみがない取引です。勉強するときは金融商品の性質や取引の性質をしっかりと理解しながら身につけていくことが大切です。

2-12.固定資産

ア.資産除去費用の資産計上

原子力発電所のように、使い終わった後に法律などで除去を義務付けられている資産があります。こういった資産を取得したり使用したりするときには将来発生すると予想される資産の除去に関する費用を取得時に前もって資産(費用性資産)として計上しておかなければなりません。この会計処理を「資産除去費用の資産計上」といいます。

資産除去費用の資産計上について学習するときには、資産除去費用の金額の計算方法や減価償却への影響などについて理解していくことが大切です。

オ.減価償却(級数法など)

減価償却の方法については簿記2級までに次のような形で学習しています。

  • 簿記3級…定額法
  • 簿記2級…定率法・生産高比例法

簿記1級では新しく「級数法」について学習します。級数法は定率法と考え方が似ています。これまで学習してきた減価償却方法と同じように身につけていけば大丈夫です。

カ.総合償却

工場のように大量の備品や機械がある状況で、それぞれの備品や機械に対して個別に減価償却を行うのは大変です。そこで使われるのが「総合償却」です。総合償却では固定資産をグルーピングしてまとめて減価償却することになります。

考え方は通常の減価償却と同じですが、「耐用年数が到来する前に除却した場合」には注意が必要です。ここを意識して学習していくことが大切です。

キ.取替法

固定資産の中には「線路」のように傷んだ部分を取り替えながら長期間使用していくものがあります。こういった固定資産に適用される減価償却に似た会計処理が「取替法」です。

取替法は性質的には減価償却と似ているのですが、完全に同じと言うわけではなく、違う部分もあります。学習するときはこういった違う部分を意識することが大切です。

2-13.無形固定資産

イ.ソフトウェア

(2016年4月からは自社利用だけ簿記2級の範囲に移行しています。)

コンピュータで処理を行うプログラムなどをソフトウェアと言います。ソフトウェアは工業製品の一種なので、簿記2級で学習した工業簿記と同じ方法で処理できそうに思えます。しかし、そうではありません。

ソフトウェアは「最初の1個を作るまでには多くの費用がかかるけれど、2個目以降は複製するだけでいい」という通常の工業製品にはない特徴があるので、総合原価計算などで原価を計算しようとしても適切な原価が計算できないからです。

なので、ソフトウェアにはソフトウェア特有の会計処理を適用することが必要になります。

ソフトウェアの会計処理はかなり細かく、「研究開発費」「一般管理費」などと区別がつきづらい部分もあります。また、同じソフトウェアでもどのような目的で製造したかで会計処理方法が変わってきます。こういった点に注意しながら学習していくことが大切です。

2-14.固定資産の減損

固定資産を取得する目的は「取得原価以上の価値を得るため」です。企業は利益を獲得する目的で活動を行っているので、取得原価以上に回収できないと予想されるのであれば、その固定資産を取得することはありません。

なので、固定資産の帳簿価額以上の価値を今後回収していくことが見込まれているのが普通です。しかし、経済状況の変化などによって帳簿価額以上の価値を回収できなくなってしまうことも起こりえます。そういったときに行う会計処理が「固定資産の減損」です。

固定資産の減損はいくつかのステップがあり、それらのステップを最後まで通過した固定資産に減損処理を行ないます。このステップと具体的な計算方法がかなり複雑なので、しっかりと理解しながら学習していくことが大切です。

2-15.投資その他の資産

ア.満期保有目的債券(償却原価法:利息法)

満期保有目的債券に適用する「償却原価法」については簿記2級で定額法を学習しました。簿記1級では「利息法」という方法を学習します。

銀行預金などでもそうですが、利息を受け取りながらその利息を引き出さない場合、利息にも利息がついていきます。その結果、利息はどんどん大きくなっていくことになります。

満期保有目的債券の償却原価法も「受け取っている利息を引き出さない」という状況なので、本来であれば利息はどんどん大きくなっていくはずです。利息の金額がこのような形になるように計算する方法が「利息法」です(定額法では利息は定額です。)。

利息法は計算が複雑なので、利息法の考え方を理解しながら計算をしっかりと練習することが大切です。

イ.子会社株式、関連会社株式、ウ.その他有価証券

(2016年4月からは簿記2級の範囲に移行しています。)

有価証券については簿記2級までに次のような形で学習しています。

  • 簿記3級…売買目的有価証券
  • 簿記2級…満期保有目的債券

簿記1級ではこれらに加えて「子会社株式・関連会社株式」と「その他有価証券」を学習します。

「子会社株式・関連会社株式」は株式を大量に保有することで経営に影響を与えることを目的に購入した株式です。「固定資産の購入」に近い取引なので、それに適した会計処理を行います。

また、「その他有価証券」とは文字通りその他の有価証券で、上記3つに含まれない目的で投資した有価証券です。

その他有価証券は長期的に保有することが多いのですが、評価益を利益としてしまうとその利益に課税されたり、配当を要求されたりすることになります。こうなると長期的に保有するつもりが、税金や配当の資金を作るために売却しなければならなくなるかもしれません。

こういった形で会計が経営に影響を与えてしまうことは好ましくないので、それを防ぐために、その他有価証券は評価損益を利益に含めない特殊な会計処理を行うことになります。

有価証券は目的に応じて様々な会計処理が適用されます。学習するときは混乱してしまわないように一つずつ理解しながら会計処理を身につけていくことが大切です。

エ.投資不動産

不動産は原則として取得原価にもとづいて評価します。しかし「投資目的で保有している不動産」については通常の不動産のように取得原価などで評価するのは適切とはいえません。売買目的有価証券のように時価で評価する方が適切です。

投資不動産についてはここでお伝えしたことを理解しておけば十分です。

2-17.リース取引

レンタルのように一定期間借りて使用する取引をリース取引といいます。DVDのレンタルのように短期間のレンタルであれば「支払リース料」などの勘定科目を使ってリース料を費用とすればいいのですが、そのリース物件の使用期間の大半を借りるような長期リースの場合は状況が変わってきます(取引の性質としては「固定資産の購入」に近いからです。)。そこで、こういった取引の状況を財務諸表に反映させる会計処理を行うことになります。それがここで学習するリース取引です。

リース取引は「リース取引の判定の仕方」や「財務諸表に計上する金額の計算」が非常に複雑です。なので、学習するときには混乱しないように整理しながら身につけていくことが大切です。

2-18.外貨建取引

輸出や輸入のように外国と取引を行った場合、円以外の通貨を使って取引をすることがあります。こういった取引を「外貨建取引」といいます。

外貨建取引であっても日本の財務諸表には円で計上しなければなりません。そこで、外国通貨を円に換算する必要がでてきます。この換算に関する処理を「外貨建取引」で学習します。

外貨建取引は、いつの為替レートで円に換算するのかが非常に煩雑です。外貨建取引を学習するときには「いつの為替レートで円に換算するのか」をしっかりと理解しながら身につけていくことが大切です。

2-19.資産除去債務

原子力発電所などのように、使い終わった後に法律などで除去を義務付けられている資産があります。こういった資産を取得したり使用したりするときには、将来のその資産の除去に関する費用を取得時に前もって負債(債務)として計上しておかなければなりません。この債務を「資産除去債務」といいます。

資産除去債務について学習するときには、資産除去債務を計上することによって通常の固定資産とどのように会計処理が変わるのか意識しながら理解していくことが大切です。

2-23.税効果会計

「会計で計上する収益や費用を認識するタイミング」と「税務で計上する益金(税務上の収益)や損金(税務上の費用)を認識するタイミング」にはズレがあります。会計は費用は早めに、収益は遅めに認識するのに対して、税務は費用は遅めに、収益は早めに認識する傾向があるからです。

このような認識のタイミングのズレがあるので、財務諸表に計上される「法人税等(益金-損金をもとに計算)」と「税引前当期純利益(収益-費用)」が対応しなくなってしまいます。このズレを修正する会計が「税効果会計」です。

「税効果会計」は簿記1級の中でも1,2を争って理解しづらい論点です。具体的な取引をイメージしながらしっかりと取引を理解する意識で勉強していくことが大切です。

2-25.会計上の変更および誤謬の訂正

「会計方針などを変更した場合」や「過去の財務諸表の処理が誤っていた場合」には相応の会計処理を行わなければなりません。このような会計処理を「会計上の変更および誤謬の訂正」といいます。

「会計上の変更および誤謬の訂正」は仕訳の問題はほとんど出題されず、理論的な出題がほとんどです。会計処理についての理論的な背景をしっかりと理解しながら身につけていくことが大切です。

3-3.決算整理

簿記1級で出題される決算整理の例として次のようなものが挙げられています。

  • 資産除去債務の調整:「2-19参照」
  • その他有価証券の評価替:「2-15-ウ参照」
  • 繰延税金資産・負債(税効果会計の中で出てくる資産や負債です)の計上:「2-23参照」
  • 外貨建資産・負債の換算:「2-18参照」
  • 社債の利息法による評価替(考え方は満期保有目的債券の利息法と同じです。):「4-9参照」

これで全てというわけではありません。取引自体は参照先を参考にして下さい。

3-11.財務諸表の注記・注記表

企業の会計情報のうち金額では表せないものがあります。金額では表せない情報の例として「固定資産の減価償却方法(定額法なのか定率法なのか)」などがあります。

こういった情報をきちんと開示しないと適切に会計情報が伝わらないのでまとめて開示します。これが注記表です。

注記に関しては仕訳などを問われることはありません。どのような情報を注記で記載しなければならないのかをしっかりと身につけていくことが大切です。

3-12.附属明細表(附属明細書)

貸借対照表や損益計算書に計上される金額の明細を記載した書類を「附属明細表」といいます。金融商品取引法によって規定されているものが「附属明細表」で、会社法によって規定されているものが「附属明細書」です。

附属明細表(附属明細書)を学習するときには、「どういった明細表(明細書)があるのか」や「記入の仕方」を中心に身につけておけば十分です。

3-13.キャッシュ・フロー計算書

企業の資金繰りの状態については、貸借対照表からもある程度のことは分かります(流動資産と流動負債のバランスなどで判断します。)。しかし、資金繰りがショートする直接的な原因は「現金の枯渇」なので、現金に関する詳しい情報も投資者から求められています。

この要求に応える財務諸表が「キャッシュ・フロー計算書」です。キャッシュ・フロー計算書では会計期間の現金の動きに関する情報を開示します。

キャッシュ・フロー計算書は通常の仕訳とは異なる性質の仕訳を切って作成します。これには慣れが必要なので、しっかりと練習してキャッシュ・フロー計算書を作れるようにすることが大切です。

3-14.中間財務諸表(四半期・半期)、臨時決算

簿記2級までは「財務諸表は一会計期間に一度、年度末に開示する」という前提で学習しています。この決算を「年度決算」といいます。

年度決算は通常は1年に1回なのですが、最近の経済情勢の変化の激しさでは1年に1回では少なすぎて投資者の意思決定が遅れてしまいます。そこで、スピーディーに情報を開示するために「半期財務諸表(半年に1回)」と「四半期財務諸表(3ヶ月に1回)」の開示が義務付けられています。

また、配当金を支払う金額には上限額がありますが、その上限額は「確定した決算によって計上された利益(繰越利益剰余金)」をもとに計算します。なので、期中に配当したい場合、当期中に獲得した利益を配当額に加えることはできません。

そこで、どうしても当期中に獲得した利益を配当金に加えたい場合には、そのときに決算を確定する必要があります。その決算を「臨時決算」といいます。

「半期決算・四半期決算」と「臨時決算」を学習するときには、「通常の決算(年度決算)とは何がどういう理由で違うのか」を中心に身につけていくことが大切です。

4-1資本金

(2016年4月からは株主資本の計数の変動のみ簿記2級の範囲に移行しています。)

ウ.減資

資本金を減少させることを「減資」といいます。「増資」は簿記2級で学習していますが、「減資」はこれの逆だと言えます。

減資にはいくつかの種類があるので、一つずつ取引を理解して身につけておくことが大切です。

エ.現物出資

出資は現金で行うのが原則ですが、固定資産などの「現物」で出資することもできます。これを現物出資といいます。

現物出資は現金による出資と違って、「金額」が不明瞭です。なので、金額をいくらにするのかが問題となります。現物出資を勉強するときには、ここを意識することが大切です。

オ.株式転換

株式に転換する権利(転換社債などがあります)を行使して株式に転換することを「株式転換」と言います(転換社債については後半お伝えします。)。

簿記1級ではこういった形で資本金が増加する会計処理も学習します。通常通り取引の内容を理解して学習していけば特に問題ありません

カ.株式償還

株式は通常は償還することはありません。しかし、特別の条項が存在している場合などでは株式を償還することもあります。通常通り取引の内容を理解して学習していけば特に問題ありません

キ.株式分割

株式会社では資本金を直接変動させることなく、1株を分割することがあり、これを株式分割と言います。

株式分割は特に仕訳を切ることはないのですが、発行済株式総数が増えるので1株あたりの金額が変わってきます。株式分割を学習するときにはこういった点を意識して学習することが大切です。

4-2.資本剰余金

ア.資本準備金(資本準備金の減少)

簿記1級では資本準備金を減少させるような取引も学習します。特段意識することはないので、資本準備金を増加させるときと同じように学習すれば大丈夫です。

4-3.利益剰余金

ア.利益準備金(利益準備金の減少)

簿記1級では利益準備金を減少させるような取引も学習します。特段意識することはないので、利益準備金を増加させるときと同じように学習すれば大丈夫です。

イ.その他利益剰余金(任意積立金の減少)

簿記1級では任意積立金を減少させるような取引も学習します。任意積立金を取り崩すときは「目的どおりの取り崩し」と「目的以外での取り崩し」があり、手続きがやや異なります。こういったことを意識しながら学習すれば大丈夫です。

4-4.剰余金の配当など

ア.剰余金の配当(分配可能額の算定)

配当自体は簿記2級で学習しましたが、配当は無制限に行うことが認められているわけではありません(債権者に損害を与えるからです。)。「いくらまで配当することが認められているのか」という「分配可能額」というものがあります。この「分配可能額」の計算について簿記1級で学習します。

この計算は非常に複雑なので、学習するときは計算の根拠を理解しながら何度も練習して身につけることが大切です。

4-5.自己株式・自己新株予約権

「自分が発行した株式」を自分で購入することができるのですが、そうやって取得した株式を「自己株式」といいます。

「自己株式」は株式なので資産だと考えそうですが、「自己株式の取得」は「出資の払い戻し」だともいえるので一筋縄ではいきません。簿記1級ではこういった内容を学習します。

自己株式を学習するときには会計処理とともに理論的な背景もしっかりと意識して学習することが大切です。

また、自分で発行した「新株予約権」についてもほぼ同様のことが言えます(新株予約権については後半でお伝えします。)。同じ意識で学習することが大切です。

4-7.株式交換・株式移転

株式会社が自社の発行済株式を全て他の会社に取得させることで、他の株式の完全子会社になる取引を「株式交換」といいます。

また、株式会社が自社の発行済株式を全て「新たに設立する会社」に取得させることで、新設会社の完全子会社になる取引を「株式移転」といいます。

どちらも企業組織を作り直す取引で複雑な会計処理を行います。簿記2級で学習する「合併」の応用のような取引なので、学習するときには、合併の応用だという意識で会計処理を身につけていくことが重要です。

4-8.事業分離等、清算

企業が事業に一部を他の企業に移転することを「事業分離」といいます。企業の一部分を切り離して売却するような取引になります。

また、会社が活動を終了するときに会社の債権・債務を解消して残った財産を株主に分配する手続きを「清算」と言います。

事業分離は企業組織を作り直す取引で複雑な会計処理を行います。簿記2級で学習する「合併」の応用のような取引なので、学習するときには、合併の応用だという意識で会計処理を身につけていくことが重要です。また、清算の会計処理は通常の会計処理とは異なるので、学習するときにはその理由について理解しておくことが大切です。

4-9.社債(新株予約権付社債)

社債自体は簿記2級で学習しましたが、簿記1級では新株予約権がついた社債である「新株予約権付社債」について学習します(新株予約権については後半お伝えします。)。

新株予約権付社債は「新株予約権と社債が別々に存在できる場合」と「新株予約権と社債が別々に存在できない場合」で会計処理が違ったり、他にも色々な会計処理の種類があります。

新株予約権付社債を学習するときには、複数の会計処理の方法を整理して身につけていくことが大切です。

ウ.期末評価(利息法)

簿記1級では満期保有目的債券の償却原価法で利息法を学習するとお伝えしましたが、同じ内容を社債でも学習します。考え方や学習上のポイントは満期保有目的債券の利息法と同じです。

エ.償還(分割償還、繰上償還、借換)

社債の償還については簿記2級で「満期償還」と「買入償還」を学習しますが、簿記1級ではそれに加えて「分割償還(抽選償還)」と「繰上償還」を学習します。

基本的に簿記2級で学習した社債の償還の応用だと考えて学習すれば大丈夫ですが、「分割償還(抽選償還)」については計算が複雑になるので、面積図などを使いこなして金額を正確に計算できるようにしておくことが大切です。

また、「(社債の)借換」とは社債の償還期日になってもその資金が準備できなかった場合に、新たに社債を発行して、その資金を返済にあてるという取引です。

この取引は本質的には「償還期日の延長」なのですが、会計処理としては「社債の償還」と「社債の発行」を同時に行ったと考えて処理します。勉強するときはここを意識しておけば十分です。

4-10.新株予約権、ストック・オプション

新株予約権とは「会社に新株を発行させる権利」のことです。この権利は新株予約権を取得した側の権利なので、新株予約権を発行した側である企業から見れば「新株を発行する義務」になります。

新株予約権は資産を引き渡す義務はないから負債ではなく、また、株主からの払い込みではないから資本でもありません。こういった性質のものは簿記2級までは出てきませんでした。全く新しい考え方勘定科目なので、そこを意識しながら勉強するといいと思います。会計処理そのものもかなり複雑なものになりますので、多くの練習が必要です。

また、この新株予約権を報酬として従業員や役員に与えた場合は「ストック・オプション」といいます。

「ストック・オプション」の場合は、従業員や役員への賞与の意味合いがあるので、人件費として計算する必要があります。この計算もかなり複雑なものになっているので、しっかりと練習して身につけることが大切です。

5-5.在外支店財務諸表項目の換算

外国にある支店のことを在外支店といいます。在外支店の財務諸表は本店と合算するときに円に換算する必要があります。この換算のルールを簿記1級で学習します。

この換算は財務諸表の項目によってどの為替レートを使うのかが変わってくるので一つずつ丁寧に学習して身につけていくことが必要です。

6.連結会計

子会社を保有している場合、子会社と合算した財務諸表を公表することで企業グループ全体の会計情報を投資者に伝えることができます(このような財務諸表を連結財務諸表と言います。)。

連結財務諸表を作成するときは親会社の財務諸表と子会社の財務諸表を簿記2級で学習した「本支店会計」と同じイメージで合算します。考え方は本支店会計と大きくは違わないのですが、全て同じと言うわけではないので、異なる点を中心に学習していくことになります。

連結会計(連結財務諸表を作成するための会計)は色々なパターンがあるので、しっかりと練習して身につけておくことが大切です。色々なパターンについてはこれからお伝えしていきます。

6-1.資本連結

連結会計では親会社の財務諸表と子会社の財務諸表を合算するのですが、合算しただけの財務諸表は「親会社の子会社株式(借方)」と「子会社の資本の部(貸方)」が二重で貸借対照表に計上されることになります(本支店会計でいう「本店」と「支店」がどちらも計上されている状態です。)。このままではまずいので、「親会社の子会社株式」と「子会社の純資産」を相殺消去する必要があります。これが資本連結です。

6-2.非支配株主持分

子会社とは「過半数の株式を当社(親会社)が保有している会社」です。ということは、親会社が保有していない部分というのがあるということです。この部分のことを非支配株主持分といいます。

非支配株主持分がある場合、「子会社の純資産」を全て「親会社の子会社株式」と相殺消去するわけにはいきません。相応の会計処理が必要になります。

6-3.のれん

親会社が株式の過半数を取得して子会社としたときに、子会社の純資産以上の対価を支払っていることがあります。こういった場合、簿記2級で学習した「合併」と同じように「のれん」が発生します。のれんが発生する場合はのれんを計上し、一定期間で償却しなければなりません。

6-4.連結会社間取引の処理

例えば「親会社が子会社にお金を貸した場合」には合併した財務諸表には貸付金と借入金が両方とも計上されています。これは企業集団を一つの組織として見た場合、二重計上になります。このままではまずいので、「親会社の貸付金」と「子会社の借入金」を相殺消去する必要があります(こういった例は他に「売掛金と買掛金」などがあります。)。これが連結会社間取引の処理です。

6-5.未実現損益の消去

例えば「親会社が子会社に販売した商品が決算日の時点で子会社に残っている場合」には、合併した財務諸表には未実現利益が含まれています(本支店会計の未実現利益と考え方は同じです。)。このままではまずいので、未実現利益を消去する必要があります。これが未実現損益の消去です。

6-6.持分法

子会社とは「過半数の株式を当社(親会社)が保有している会社」のことなのですが、過半数とはいかなくても20%以上保有していればそれ相応の会計処理が必要になります。それが持分法です。

連結会計では「財務諸表を合算してから余計なものを相殺消去する」という方針で会計処理を行うのですが、半分以下しか保有していない場合である持分法では「余計なもの」の方が多くなってしまうので、「合算すべきものを選んで合算する」という方針で会計処理を行うことになります。

6-7.連結会計上の税効果会計

連結会計を行うことで「個別財務諸表上の利益」と「連結財務諸表上の利益」に違いが出ることがあります。こういった場合には個別財務諸表で行った税効果会計と同じ考え方で税効果会計を行う必要があります。

6-8.在外子会社等の財務諸表項目の換算

外国にある子会社を「在外子会社」と言います。在外子会社の財務諸表は合併財務諸表を作成するときに円に換算する必要があります。

6-9.個別財務諸表の修正(退職給付会計など)

会計処理には「連結会計」と「個別会計」で方法が異なるものがあります。その代表例が「退職給付会計」です。

こういった会計処理では、連結会計を行うときに個別財務諸表を修正する必要があります。

6-10.包括利益、その他の包括利益

当期純利益は「収益-費用」で計算した利益ですが、包括利益は「期末純資産-期首純資産」で計算した利益です。

簿記2級までは「収益と費用の全てが損益勘定に集計されて純資産(繰越利益剰余金)に振り替えられる」という会計処理しか学習しないので、「収益-費用」と「期末純資産-期首純資産」は基本的に同額になります。

しかし、簿記1級では損益勘定を通らずに、直接純資産に計上する会計処理が出てきます。そのため「収益-費用」と「期末純資産-期首純資産」に違いが出てくることになります(その違いの部分が「その他の包括利益」です。)。

包括利益については簿記2級では全くなかった考え方なので、「新しいこと」や「簿記2級までとはやや矛盾した内容であること」を意識して勉強していくことが大切です。

6-11.連結財務諸表、中間連結財務諸表の作成(四半期・半期)

連結財務諸表にも個別財務諸表と同じように中間連結財務諸表(四半期連結財務諸表・半期連結財務諸表)があります。

「個別財務諸表による中間連結財務諸表」と連結財務諸表をしっかりと理解しておけば大丈夫です。

6-12セグメント情報など

大企業の場合、多くの地域や業種で経済活動を行うことがあります。こういった場合、地域別や業種別に会計情報を提供することは投資者に有益な情報を提供することになります(各地域や業種などの「部分」のことを「セグメント」といいます。)。このような情報がセグメント情報です。

セグメント情報について勉強するときは「セグメントの分け方」について理解しながら勉強していくことが大切です。

7-1.企業会計原則および企業会計基準などの会計諸基準ならびに中小企業の会計に関する指針・中小企業の会計に関する基本要領

簿記1級では「会計にとってのルールをまとめたもの」である「企業会計原則」「企業会計基準」「中小企業の会計に関する指針」「中小企業の会計に関する基本要領」なども試験範囲になっています。

これらを勉強するときにはこれまで学習してきた会計処理の理論的な裏付けを身につけるという意識で仕訳と結びつけて理解していくことが大切です。

7-2.会社法、会社法施行規則、会社計算規則および財務諸表等規則などの企業会計に関する法令

会計と密接な関係にある法律が「会社法」「会社法施行規則」「会社計算規則」「財務諸表等規則」です。これらは「配当のルール」や「財務諸表の表示のルール」などで会計に影響を与えています。

これらを勉強するときにはこれまで学習してきた会計処理の理論的な裏付けを身につけるという意識で仕訳と結びつけて理解していくことが大切です。

7-3.「財務会計の概念フレームワーク」

企業会計というものは、いくつかの前提や考え方をもとにしています。そういった前提や考え方をまとめたものが「財務会計の概念フレームワーク」です。企業会計基準などは基本的にこの「財務会計の概念フレームワーク」をもとに作られることになります。

「財務会計の概念フレームワーク」を学習するときには「会計基準のどこにその考え方が反映されているのか」などを意識しながら勉強すると理解が進みます。

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