差入有価証券の取引と仕訳

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では差入有価証券の取引と仕訳について解説します。

差入有価証券

今まで取引がなかった企業と新しく取引を始めるとき、相手の企業に比べて自社の規模が小さかったりしたら相手の企業は不安になります。現金取引だけならまだしも、掛取引や手形取引などをする場合は「本当に代金払ってくれるのか」と思われてしまうのです。

また、銀行と当座借越契約を結ぶときにも銀行から「借越分を本当に払ってくれるのか」と思われてしまいます。

そこで、保証金を相手に差し入れることがあります。保証金を差し入れることで、もし代金を不払いにしたりしたらその保証金を代金にあててもらいます。そうすることで相手の企業も安心して取引を始めることができます。

この保証金の差し入れをを現金ではなく有価証券で行うことがあります。有価証券を差し入れることで、もし代金を不払いにしたりしたら有価証券を売却してもらって代金にあててもらいます。

このように有価証券を差し入れた場合、本来ならば仕訳は不要です。保証金として差し入れただけで所有権は当社にあります。自社の金庫に保管していた有価証券を他社の金庫に移動するだけです。

移動させただけでは簿記上の取引にあたらないので、本来ならば仕訳を切る必要はありません

しかし、仕訳を切らないと手許にある有価証券と保証金として差し入れた有価証券が同じ勘定科目で記録されることになります。これではまずいので、手許にある有価証券と区別するために仕訳を切ります

差入有価証券の取引と仕訳

有価証券の差し入れ

「当社は取引銀行と当座借越契約を結び、売買目的で所有していたA社の株式500,000円(帳簿価額)を担保として差し入れた。なお、この株式の時価は400,000円である」場合の仕訳について考えてみます。

売買目的有価証券を差し入れるので、売買目的有価証券が減少します。よって『(貸)売買目的有価証券500,000』となります。金額は帳簿価額になります。この金額を時価にしてしまったら、差額が帳簿に残ってしまい、変なことになるからです。

また、有価証券を差し入れたことで、この有価証券を返してもらう権利が発生します。この権利は差入有価証券という勘定で処理します。権利なので資産の勘定になります。金額は帳簿価額になります。よって『(借)差入有価証券500,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
差入有価証券 500,000 売買目的有価証券 500,000

なぜ差入有価証券の金額は帳簿価額なのか

差入有価証券の金額はなぜ帳簿価額なのでしょうか。理由は次の2つです。

  • この仕訳を切るのは手許にある有価証券と差し入れた有価証券を区別するためなので、区別することで金額が変わったらおかしいから
  • ここで時価を使ってしまうと評価損益が発生することになるが、差し入れただけで損益が発生するのはおかしいから

もし差入有価証券を時価で仕訳を切ると、上の例題では次の仕訳になります。

借方 金額 貸方 金額
差入有価証券
有価証券評価損
400,000
100,000
売買目的有価証券 500,000

有価証券を差し入れるという行為は、自社の金庫に保管していた有価証券を他社の金庫に移動するだけです。これだけで有価証券の金額が変わるのもおかしいですし、評価損益が発生するのもおかしいということになります。

というわけで差入有価証券の金額は帳簿価額となります。

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