割賦販売の取引と仕訳

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では割賦販売の取引と仕訳について解説します。

割賦販売

「月々10,000円の24ヶ月払い」のように商品の代金を複数回に分割して受渡しをする販売方法を割賦販売といいます。よくある通信販売や車・住宅ローンをイメージしてもらって構いません。

割賦販売が特殊な理由

一般商品販売では商品の引渡しとともに売上勘定で仕訳を切ります。割賦販売でも原則は、商品の引渡しとともに仕訳を切ります(販売基準)。

売上勘定を使用するためには客観性と確実性が必要です。商品を引渡した時点での客観性はあります。しかし、確実性に関しては少々問題があるのです。

割賦販売は代金の回収が長期に及びます。場合によっては数十年にもなる場合もあります。数十年もあれば購入者が代金を払えなくなることもありえます。破産することだってないとは言えません。割賦販売は代金を回収できない場合も多いということです。

そこで、割賦販売では販売代金を回収するときに売上を計上する方法も認められています(回収基準)。

売上勘定を使用するタイミングに関する2つの基準

割賦販売は特殊なため、割賦販売は2つの収益認識基準が認められています。

  • 販売基準(商品の引渡しとともに売上を認識)(原則)
  • 回収基準(代金の回収とともに売上を認識)(例外)

割賦販売の取引と仕訳(販売基準)

商品の引渡し

「商品600,000円分(売価)を毎月均等額10回払いの契約で販売し、商品を引き渡した(販売基準)」場合の仕訳について考えてみましょう。

販売基準なので商品を引き渡した時点で売上となります。よって、この時点で売上を使うのですが、割賦販売の場合は通常の売上と区別して『割賦売上』という勘定を使います。よって、『(貸)割賦売上600,000』となります。

次は借方です。引き渡しただけで具体的に現金や手形などを受取っていないため、借方は売掛金となります。しかし、普通の売掛金は今すぐ請求する権利があるのに対し、割賦販売での売掛金は約束の回収期日が来るまでは請求することができません

そこで、通常の売掛金と区別して『割賦売掛金』という勘定を使います。よって、『(借)割賦売掛金600,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
割賦売掛金 600,000 割賦売上 600,000

割賦売掛金の回収

「割賦売掛金60,000円(売価)を現金で回収した」場合の仕訳について考えてみましょう。

現金で回収したとあるので、『(借)現金60,000』となります。また、割賦売掛金を回収しているので、『(貸)割賦売掛金60,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
現金 60,000 割賦売掛金 60,000

割賦販売の取引と仕訳(回収基準)

商品の引渡し

「商品600,000円分(売価)を毎月均等額10回払いの契約で販売し、商品を引き渡した(回収基準)」場合の仕訳について考えてみましょう。

回収基準なので商品を引き渡した時点では売上とはなりません。しかし、何も仕訳を切らなかった場合、割賦販売の契約をした記録が残りません。600,000円分の割賦販売契約を行ったという記録を残しておくことが必要です。

現時点では割賦売上にはなりませんが、割賦販売の契約はしています。そのため、後で割賦売上になるだろうという状況は存在しています。この状況を『割賦仮売上』という勘定で表します。

金額は、後で割賦売上になる金額の合計なので600,000円となります。よって、『(貸)割賦仮売上600,000』となります。

次は借方です。現時点では割賦売掛金にはなりませんが、割賦販売契約はしています。そのため、後で割賦売掛金になるだろうという状況は存在しています。この状況を『割賦未収金』という勘定で表します。

金額は、後で割賦売掛金になる金額の合計なので600,000円となります。よって、『(借)割賦未収金600,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
割賦未収金 600,000 割賦仮売上 600,000

ちなみに『割賦未収金』『割賦仮売上』という勘定は資産負債資本収益費用のどの分類にも当てはまりません。特殊な勘定です。

割賦売掛金の回収

「割賦売掛金60,000円(売価)を現金で回収した」場合の仕訳について考えてみましょう。

回収基準なので代金を回収した時点で売上となります。金額は回収した金額です。よって、『(貸)割賦売上60,000』現金で回収したとあるので、『(借)現金60,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
現金 60,000 割賦売上 60,000

また、実際に売上となったことで、後で割賦売上になる金額が減少します。よって、後で割賦売上になる金額を表す『割賦仮売上』が減少します。減少する金額は実際に売上となった金額と同じ60,000円です。よって、『(借)割賦仮売上60,000』となります。

同様に、実際に代金が回収されたことで、後で割賦売掛金になる金額が減少します。よって、後で割賦売掛金になる金額を表す『割賦未収金』が減少します。減少する金額は実際に回収された金額と同じ60,000円です。よって、『(貸)割賦未収金60,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
割賦仮売上 60,000 割賦未収金 60,000

2つの仕訳をまとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
現金
割賦仮売上
60,000
60,000
割賦売上
割賦未収金
60,000
60,000

ちなみに「(借)割賦未収金600,000/(貸)割賦仮売上600,000」や「(借)割賦仮売上60,000/(貸)割賦未収金60,000」という仕訳は備忘仕訳です。

あといくら回収する金額が残っているのかを忘れないように記録しているという考え方です。手形の裏書譲渡にともなう偶発債務の仕訳で出てきた対照勘定法と同じ考え方になります。

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“割賦販売の取引と仕訳” への4件のフィードバック

  1. みかん より:

    こんばんはいつもお世話になっております。
    割賦販売について教えて下さい。

    質問①
    割賦販売の回収基準の仕訳を2級で新しく習う意味はわかるのですが、販売基準の存在が必要なのかどうかわかりません。

    3級で備品購入の代金を10回の分割で支払ったと言う問題がでますが、この時の分割は特にきにせずに後から払うと言う意味で未払金勘定を使用していました。
     備品100 未払金100

    そう考えると
     割賦売掛金100 割賦売上100
    という仕訳も
     売掛金 100 売上100
    で良いような気がします。

    質問②
    「割賦売上」を習うのに「割賦仕入」や「割賦備品売却」や「割賦備品購入」を習わないのはなぜなのでしょうか?売る側が分割なら買う側も分割であるのにとても疑問です。
    もしそういった仕訳があるようでしたら教えて下さいよろしくお願いします。

    すみませんが教えて下さい。
    よろしくお願いします。

    • dokuboki より:

      質問①について

      割賦販売は原則が販売基準です。売上が実現したときに売上を計上するのが原則なので販売基準が原則となるのです。回収基準はいわば「割賦販売は債権を回収できないことが多い」という現実に対応するためにある例外処理になります。

      また、割賦売掛金というのは売掛金と違って、現時点では請求することができません。そういった理由から割賦売掛金と売掛金も分けることが多いです。

      質問②について

      仕入に関しては上記の実現主義という考え方ではなく発生主義という考え方なので、全く異なる仕訳になります。また、仕入に関しては自分が支払う側なので「債権を回収できない…」という考え方も当てはまらなくなります。

      • みかん より:

        お答えありがとうございます。

        いろいろ調べては見たのですが、
        質問①については
        販売基準:
        割賦販売の場合回収期間が長いため他の売掛金よりも貸倒やすいので通常の売掛金と区別するために割賦売掛金を使っている。

        質問②については
        仕入に関しては発生主義なので実現主義ほど慎重に記帳する必要はなく分割での仕入であっても普通に
        仕入1,000 買掛金1,000
        のように仕訳すればよい。

        支払が来るたびに
        買掛金200 現金200
        のような仕訳を行なう。

        ただし分割にするための利息の意味合いの手数料が発生する場合はそれに対応した処理(書籍を読んでも仕訳は書かれていませんでした)をしなければならない。

        と言った感じでいいのでしょうか?

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