- 簿記を勉強していると商品券っていう勘定科目が出てきたんだけど……
- 簿記3級で勉強した「受取商品券」と「商品券」の違いが分からない
- 商品券の仕訳について教えて!
商品券を発行する取引はなじみがないので、イメージするのが難しいと感じる人が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん商品券を発行した場合の仕訳についても熟知しています。
この記事では商品券を発行した場合の仕訳について解説します。
この記事を読めば商品券を発行するという取引が理解できるので、簿記1級の試験でも自信を持って解答できるようになります。
結論を言うと、商品券を発行した場合、商品券の金額分の商品を引き渡さなければならないという義務が発生します。よって企業の立場から見た商品券は負債です。
商品券を発行する目的はその地域で買ってもらいやすくすること
商品券とは『○○ビル』や『○○商店街』など一定の範囲内で幅広く使えるようにすることで商品券による売上を増やそうとするものです。
商品券を額面より安く発行することでその範囲内でできるだけ買ってもらえるようにしようというわけです。
もちろん商品券を買う側にも、額面より安く商品券を購入することで同じ商品を安く買えるというメリットがあります。
商品券:商品券の金額分の商品を引き渡す義務
私も商品券を使って買い物をすることがあります。私(お客)にとっては商品券は資産になります。商品券の額面と同じ価格の商品の引渡しを受ける権利だからです。
しかし簿記ではそうではありません。簿記は企業の立場で考えなければならないからです。企業の立場で商品券を見ると全く逆になります。
商品券を発行すると、商品券の金額分の商品を引き渡さなければならないという義務が発生します。よって企業の立場では商品券は負債になります。
簿記は企業の立場で考えるという点をきちんと理解しておかなければなりません。
商品券の仕訳
商品券を発行した
この例題の仕訳を考えてみましょう。
30,000円の現金を受け取っているので『(借)現金30,000』となります。
問題は貸方です。一見すると商品券というものを売り上げているので売上勘定で処理してしまいそうになるかもしれません。しかし売上勘定を使うことはできません。
売上という勘定は商品を引き渡したときにしか使えないからです。
商品券は将来商品と交換する義務があります。商品ではありません。よって商品券勘定で処理します。『(貸)商品券30,000』となります。
まとめると次のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 30,000 | 商品券 | 30,000 |
代金として商品券を受け取った
この例題の仕訳を考えてみましょう。
20,000円を売り上げたとあるので、売上勘定を使うことができます。収益の発生は貸方に記入するので『(貸)売上20,000』となります。
問題は借方です。商品券を受け取っています。商品券を受け取ることで商品を引き渡さなければならない義務が減少します。よって『(借)商品券20,000』となります。
まとめると次のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
商品券 | 20,000 | 売上 | 20,000 |
商品券という勘定は負債だと理解しておくことがスムーズに仕訳を切るコツです。
商品券を決済した
商品券は一定の範囲内で幅広く使える点に特徴があります。一定の範囲内で共通の商品券が使えるということは、自分が発行した商品券が他店で使われることもあるわけです。
自分で発行した商品券が他店で使われた場合、自分で買い戻さなければなりません。
このことを踏まえて次の例題を考えてみましょう。
現金で買い取っているため『(貸)現金10,000』です。
また、買い取っているのは自分で発行した商品券です。商品券を他店が持っていたとしても、商品券を使われたら商品を引き渡す必要があるため、お客が持っているのと同じです。
商品券を買い取ることで商品を引き渡さなければならない義務が減少すると考えます。負債の減少なので借方に記入します。よって『(借)商品券10,000』となります。
まとめると次のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
商品券 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
【まとめ】商品券:商品券の金額分の商品を引き渡す義務
商品券を発行した場合、商品券の金額分の商品を引き渡さなければならないという義務が発生します。よって企業の立場から見た商品券は負債です。
自社が発行した商品券が他店で使われた場合、その商品券を買い戻す義務があります。
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