- 簿記を勉強していると受取利息っていう勘定科目が出てきたんだけど……
- 普通預金の利息を受け取ったときの仕訳が複雑が複雑で、どう処理したらいいのか分からない
- 受取利息について教えて!
受取利息の問題はかなり実務的な出題がされることがあり、しっかりと取引をイメージして勉強する習慣をつけておかないと失点してしまうことが多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん受取利息についても熟知しています。
この記事では簿記3級に合格するために必要な受取利息の知識について解説します。
この記事を読めば受取利息が簿記3級の試験で出題されても自信を持って解答できるようになります。
結論を言うと、受取利息は資金を貸し付けて利息を受け取ったときに使用する勘定科目です。受取利息は収益の勘定科目になります。
受取利息:資金を貸し付けて利息を受け取ったときに使用する勘定科目

資金を貸し付けたとき、貸し付けた金額と期間に応じて利息を受け取ることができます。受け取った利息は受取利息という収益の勘定科目を使います。
利息を受け取る取引には主に次のようなものがあります。
受取利息の計算:「金額×利率」が原則

「貸付金」「手形貸付金」「定期預金」「普通預金」の4つのうち貸付金と定期預金の2つは、取引の開始時に金額と利率が確定しているので「金額×利率」で受取利息の計算ができます。
普通預金の場合は、金額も利率も変動するので、いくらの利息がもらえるのかは利息をもらってみないと分かりません。
こういった事情から、普通預金の受取利息を「金額×利率」で計算することはありません。
受取利息の仕訳

受取利息の仕訳は次の2つの記事で詳しくお伝えしています。
比較的難易度の高い「日割」での例を挙げてお伝えしているので、この2つの記事の仕訳ができれば簿記3級の一般的な問題では十分です。
ただ、最近は実務色の強い出題も多く、普通預金の受取利息の場合は実務では少々大変なことがあるので、その点についてお伝えしておきます。
【応用】普通預金の受取利息は税金が差し引かれて振り込まれる

普通預金の受取利息は「源泉所得税」と「地方税利子割」が差し引かれた状態で振り込まれます。
現在の税率は源泉所得税が15%、地方税利子割が5%なので、合わせて20%の税金が差し引かれた状態で振り込まれていることになります。
しかし、源泉所得税は「法人税の前払い」、地方税利子割は「地方税の前払い」なので、どちらも仮払金(仮払税金)として処理しなければなりません。
仮払金については「仮払金とは【仕訳と勘定科目をわかりやすく】」で詳しく解説しています。
普通預金の受取利息を税金が控除されて受け取った場合の仕訳

銀行より、普通預金の利息3,200円を受け取った。なお、利息の受取額は源泉所得税15%と地方税利子割5%が控除されている。
この場合の仕訳について考えてみましょう。
普通預金の利息を3,200円受け取っているので、普通預金が3,200円増えています。よって『(借)普通預金3,200』となります。
次に受取利息の総額を計算します。源泉所得税と地方税利子割を合わせて20%が控除されているので、普通預金として受け取っている利息は80%です。
よって(利息受取額3,200円÷受け取った割合80%=)4,000円と計算することで源泉所得税と地方税利子割を控除する前の受取利息の金額が分かります。
この4,000円が本来の受取利息です。『(貸)受取利息4,000』となります。
最後に貸借差額をの意味を考えます。このままでは借方が800円不足しています。この800円は前払いしている源泉所得税と地方税利子割です。
税金の前払いなので仮払金として処理します。
よって『(借)仮払金800』となります。
まとめると次のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 3,200 | 受取利息 | 4,000 |
仮払金 | 800 |
かなり実務色が強い例題ですが、最近の日商簿記は実務を意識した出題が増えてきています。余裕がある人はチェックしておくことをおすすめします。
【まとめ】受取利息とは【仕訳と勘定科目と計算方法をわかりやすく】

受取利息とは資金を貸し付けて利息を受け取ったときに使う勘定科目です。
普通預金の受取利息は「源泉所得税」と「地方税利子割」が差し引かれた状態で振り込まれます。
源泉所得税は「法人税の前払い」、地方税利子割は「地方税の前払い」なので、どちらも仮払金(仮払税金)として処理します。
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