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勘定科目と表示科目の違い

  • 簿記を勉強していると表示科目っていう言葉が出てくるんだけど……
  • 勘定科目と表示科目の違いが分からない
  • 勘定科目と表示科目の違いを教えて!

勘定科目という言葉の意味も表示科目という言葉の意味もあまり説明されないので、勘定科目と表示科目の違いが分からず戸惑ってしまう方が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん勘定科目と表示科目の違いについても熟知しています。

この記事では勘定科目と表示科目の違いについて解説します。

この記事を読めば勘定科目と表示科目の違いが分かるので、不必要に戸惑ってしまうことがなくなります。

結論を言うと、勘定科目は仕訳を切るときに使う科目で、表示科目は財務諸表に表示するとき使う科目です。

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勘定科目は仕訳を切るときに、表示科目は財務諸表に表示するときに使う

仕訳を切るときに使う科目を「勘定科目」といいます。対して財務諸表に表示するときに使う科目を「表示科目」といいます

勘定科目は企業の内部資料である「仕訳帳」などで使うものなので、原則として企業の自由に任されています。

対して表示科目は外部に公表する「財務諸表」で使うものなので、省令で決められています

表示科目と勘定科目は同じ場合も多いです。わざわざ別の言葉を使う意味がない場合には表示科目と同じ勘定科目を使う企業がほとんどだからです。

しかし、言葉を分けた方がいい場合にはあえて違う言葉を使うこともあります。表示科目と勘定科目が異なるものの例として次のようなものがあります。

勘定科目表示科目
売上売上高
仕入売上原価
繰越商品商品
現金当座預金など現金預金
前払家賃、前払保険料、前払利息など前払費用
未払家賃、未払手数料、未払利息など未払費用
前受家賃、前受手数料、前受利息など前受収益
未収家賃、未収手数料、未収利息など未収収益
当座借越短期借入金

「現金預金」「前払費用」「前受収益」については複数の勘定科目を一つの表示科目にまとめる形になっています。

内部管理上は分けておいたほうが管理しやすいけれど、外部に報告するときにはまとめておいた方が分かりやすいからです。

勘定科目:売上、表示科目:売上高

売上という言葉は、通常は商品やサービスの個別の販売を意味します。それに対して売上高という言葉は、一定期間に集計された売上を意味します。

日々の取引を記録する勘定科目では「売上」という言葉を使う方が適切で、一会計期間の売上を表す損益計算書では「売上高」という言葉を使う方が適切です。

勘定科目:仕入、表示科目:売上原価

仕入という言葉は、通常は商品を仕入れることやその仕入れた商品を意味します。それに対して売上原価という言葉は販売した商品を仕入れるのにかかった費用を意味します。

商品を仕入れる時点では売れるかどうかはまだ分からないので、日々の取引を記録する勘定科目では「仕入」を使う方が適切です。

対して、一会計期間に販売した商品を仕入れるのにかかった費用を表す損益計算書では「売上原価」を使う方が適切です。

勘定科目:繰越商品、表示科目:商品

前期から繰り越されてきた商品を意味するのが「繰越商品」です。内部管理上は当期に仕入れた商品と混同しないように「繰越」という言葉があった方がいいと言えます。

しかし貸借対照表では繰り越されてきたかどうかは無関係に期末時点にある資産を表示するだけです。「繰越」という言葉は逆に誤解を生む可能性があります。貸借対照表では「商品」と表示する方が適切です。

勘定科目:現金、当座預金、表示科目:現金預金

「現金」と「当座預金」は内部管理上は分けておいた方が便利です。現金は金庫、当座預金は銀行口座というように別の場所で管理しているからです。

金額が混ざっていると余計な手間が増えてしまいます。

対して外部に報告する場合は、現金と当座預金はどちらも「すぐに支払いにあてられるもの」という点で共通しています

現金と当座預金は性質としてはほとんど同じなので貸借対照表を分析する人からすれば合算されていた方が便利です。

このような事情があるので、仕訳では現金勘定や当座預金勘定を使っておいて、貸借対照表では現金勘定と当座預金勘定の金額を合計して現金預金とすることになります。

勘定科目:前払家賃、前払保険料、前払利息など、表示科目:前払費用

内部管理上は前払家賃と前払保険料と前払利息は区別した方が管理しやすいです。そのため、日々の取引を記録する勘定科目では別々の勘定科目を使います。

しかし、前払家賃も前払保険料も前払利息も「次期の費用を前払いしたもの」という点では共通です。貸借対照表で区別する意味はありません。そのため、貸借対照表では全てまとめて「前払費用」とします

勘定科目:未払家賃、未払手数料、未払利息など、表示科目:未払費用

内部管理上は未払家賃と未払手数料と払利息は区別した方が管理しやすいです。そのため、日々の取引を記録する勘定科目では別々の勘定科目を使います。

しかし、未払家賃も未払手数料も未払利息も「当期の費用の未払分」という点では共通です。貸借対照表で区別する意味はありません。そのため、貸借対照表では全てまとめて「未払費用」とします

勘定科目:前受家賃、前受手数料、前受利息など、表示科目:前受収益

内部管理上は前受家賃と前受手数料と前受利息は区別した方が管理しやすいです。そのため、日々の取引を記録する勘定科目では別々の勘定科目を使います。

しかし、前受家賃も前受手数料も前受利息も「次期の収益を前受けしたもの」という点では共通です。貸借対照表で区別する意味はありません。そのため、貸借対照表では全てまとめて「前受収益」とします

勘定科目:未収家賃、未収手数料、未収利息など、表示科目:未収収益

内部管理上は未収家賃と未収手数料と未収利息は区別した方が管理しやすいです。そのため、日々の取引を記録する勘定科目では別々の勘定科目を使います。

しかし、未収家賃も未収手数料も未収利息も「当期の収益の未収分」という点では共通です。貸借対照表で区別する意味はありません。そのため、貸借対照表では全てまとめて「未収収益」とします

勘定科目:当座借越、表示科目:短期借入金

当座口座の残高が一時的にマイナスになった場合に使う勘定科目が当座借越です。日々の取引では当座借越という勘定科目を使って当座口座のマイナス残高を管理するのは合理的です。

しかし、当座借越の本質は銀行からの短期借入金です。外部に公表するために作成する貸借対照表では短期借入金と表示した方が分かりやすいです。よって貸借対照表では短期借入金と表示します。

表示科目と勘定科目は目的や役割が異なります。表示科目と勘定科目の目的や役割を理解しておくと表示科目と勘定科目の違いに関する理解も深まります。

有価証券の表示は「現金になる時期」がポイント

有価証券の勘定科目と表示科目の使い分けは少し複雑です。まとめると次のようになります。

勘定科目表示科目
売買目的有価証券有価証券
満期保有目的債券(1年以内に満期が到来)有価証券
満期保有目的債券(満期まで1年超)投資有価証券
子会社株式関係会社株式
関連会社株式関係会社株式
その他有価証券(1年以内に満期が到来する債券)有価証券
その他有価証券(満期まで1年超の債券)投資有価証券
その他有価証券(株式)投資有価証券

この表を暗記する必要はありません。次の考え方を身につけておけば表示科目を自分で判断できるようになります。

  • 1年以内(次期)に現金と交換できる有価証券:有価証券
  • 1年以内(次期)に現金と交換できない有価証券:投資有価証券
  • 経営に影響を与える目的で保有する有価証券:関係会社株式

内部管理上は保有目的が重要ですが、投資家にとっては現金になるタイミングの方が重要です。そのため、勘定科目と表示科目はこのような関係になっています。

【まとめ】勘定科目と表示科目の違い

勘定科目は仕訳を切るときに使う科目です。表示科目は財務諸表に表示するときに使う科目です。勘定科目は内部管理がしやすいように、表示科目は外部の人が分かりやすいように使います。

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勘定科目は大きく5つに分類することができます。勘定科目の分類については「資産・負債・資本・収益・費用の勘定科目」で詳しく解説しています。

表示科目は貸借対照表と損益計算書に表示するときに使います。貸借対照表については「貸借対照表(勘定式)の書き方・作り方をわかりやすく」で、損益計算書については「【簿記2級】損益計算書(報告式)の書き方」で詳しく解説しています。

勘定科目はこの記事で出てきたもの以外にもたくさんあります。日商簿記3級の出題範囲になっている勘定科目については「日商簿記3級の勘定科目一覧表」でまとめています。

日商簿記2級の出題範囲になっている勘定科目については「簿記2級で使用する勘定科目一覧表」でまとめています。


コメント

  1. 田中 より:

    当期純利益も表示科目なのでしょうか?

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