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簿記で現金扱いとなる資産の範囲【現金勘定で処理する資産】

  • 簿記の勉強をしていたら現金が出てきたんだけど……
  • 簿記で勉強する現金と、日常生活で使う現金の違いが分からない
  • 簿記で勉強する現金の範囲を教えて!

簿記の勉強の各論に入ると、最初に現金について勉強します。現金は非常に身近なものなのですが、一般的に言われている現金と簿記で勉強する現金が違うので混乱してしまう方が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん簿記における現金についても熟知しています。

この記事では簿記で学習する現金について解説します。

この記事を読めば簿記で現金と言った場合、何が現金に当てはまるのかが分かるようになります。簿記検定で現金に関する問題が出題されても自信を持って解答することができるようになります。

結論を言うと、簿記における現金は「通貨(紙幣と硬貨)」「他人振出小切手」「配当金領収書」「期日の到来した公社債の利札」「郵便為替証書」「送金小切手」の6つです

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簿記で現金扱いとなる資産の範囲には通貨と通貨代用証券が含まれる

現金という言葉は日常会話でもよく使われます。しかし、日常会話で使う現金と簿記で言う現金では微妙に範囲が異なります。

日常会話で言う現金は通貨(硬貨と紙幣)のことですが、簿記では日常会話よりやや範囲が広いです。

簿記で現金と言えば、通貨と通貨代用証券を指します。通貨は硬貨と紙幣のことなので特に問題ありません。では、通貨代用証券とは何でしょうか?

通貨代用証券の例は簿記では色々ありますが、一つ一つ丸暗記していくのは大変です。効率もよくありません。丸暗記ではなく理解中心でいきましょう。

通貨代用証券:金融機関ですぐに通貨と交換できるもの

通貨代用証券とは、銀行や郵便局などの金融機関に持ち込むとすぐに通貨に換えることができるもののことをいいます。

すぐにというのがポイントです。すぐにということなので、まだ支払期日が来ていない手形などは現金とは言えません。

「すぐに」の他に「価格が変動しない」という条件もあります。

たとえ金融機関ですぐに通貨と交換することができるとしても、価格が変動する「株式」などは現金の範囲には含まれません。

簿記では現金扱いとなる6つの資産

簿記では現金扱いとなる資産として次の6つが日商簿記検定に出題されます。

  • 通貨(紙幣と硬貨)
  • 他人振出小切手
  • 配当金領収書
  • 期日の到来した公社債の利札
  • 郵便為替証書
  • 送金小切手

この6つの資産を受け取ったりして増えたら借方に現金勘定で仕訳し、支払いなどで減ったら貸方に現金勘定で仕訳します。

通貨(紙幣と硬貨)

通貨とは1円玉から1万円札までの財布に入れているお金です。通貨が現金でないのなら、「じゃあ現金って何?」ということになってしまいます。

他人振出小切手(他人が振り出した小切手)

小切手には期日がないので、小切手を受け取った人は金融機関に持ち込めばすぐに現金と交換することができます。そのため他人振出小切手は簿記では現金として扱います。

配当金領収書(配当を受け取ることができる証書)

株式を所有している会社が配当金を出した場合、株式の所有者つまり株主に配当金領収書が送られてきます。

配当金領収書を金融機関に持ち込むとすぐに現金にすることができます。そのため配当金領収書は簿記では現金として扱います。

配当金の受け取りを銀行振込みにすることもできます。銀行振込にした場合には現金ではなく普通預金などになります。

銀行振込にした場合、配当金領収書は送られてきません。

期日の到来した公社債の利札(利息と交換できる券)

配当金領収書が株式の所有者がもらうものなら、利札は債券(債権ではありません)の所有者がもらうものです。

国債や地方債、社債などの債券には回数券のようにミシン目で利札が付いています。利札にはそれぞれ期日があります。

期日が到来した利札については金融機関に持ち込むとすぐに現金にすることができます。そのため、簿記では現金として扱います。

郵便為替証書(郵便局で現金と交換できる証書)

郵便為替証書とは郵便局が発行する現金の代わりとなる証書のことです。詳しい内容は簿記2級でお伝えするので、今は簿記における現金であるとだけ覚えておけば大丈夫です。

送金小切手(銀行が振り出す小切手)

送金小切手は銀行が振り出す小切手です。詳しい内容は簿記2級でお伝えするので、今は簿記における現金であるとだけ覚えておけば大丈夫です。

現金と紛らわしいが現金扱いとはしないもの

現金と紛らわしいものに次のようなものがあります。

  • 収入印紙(未使用分は貯蔵品として処理します)
  • 切手(未使用分は貯蔵品として処理します)
  • 自己振出の小切手(当座預金として処理します)
  • 先日付小切手(受取手形として処理します)

収入印紙:未使用分は貯蔵品という勘定科目で処理

5万円以上の領収書や高額の借用書などには収入印紙を貼らなければいけませんが、収入印紙の未使用分は現金としては取り扱いません

収入印紙には額面があり、価値はきちんとあります。しかし、収入印紙を金融期間に持ち込んでも現金とは交換してくれません。そのため簿記上の現金にはなりません。

収入印紙の未使用分は貯蔵品になります。

切手:未使用分は貯蔵品という勘定科目で処理

切手も金融期間に持ち込んでも現金には換えてくれませんので簿記上の現金にはなりません。切手の未使用分は貯蔵品になります。

自己振出の小切手:当座預金という勘定科目で処理

自分で振り出した小切手を回りまわって受け取った場合、この小切手は現金にはなりません。

小切手を振り出したときには必ず次のような仕訳を切っているはずです。

(借)×××/(貸)当座預金

自分で振り出した小切手を自分で回収した場合、結果的には「(借)×××/(貸)当座預金」の仕訳の取り消しになるので次のような仕訳になります。

(借)当座預金/(貸)×××

つまり自己振出の小切手は現金ではなく当座預金です。

自分で振り出した小切手が回りまわって戻ってきたという話を私は聞いたことがありません。実務ではほぼ無いと考えて大丈夫です。検定試験特有の取引だといえます。

先日付小切手:受取手形という勘定科目で処理

先ほど「小切手には期日がないため、小切手を受け取った人は金融機関に持ち込めばすぐに現金に換えることができる」とお伝えしました。しかし、先日付小切手というものが存在します。

先日付小切手とは、振出日が将来の日付になっている小切手です。

一見、振出日が来るまでは現金にできないように見えます。しかし、振出日が将来の日付になっている小切手であっても金融機関に持ち込むとすぐに現金に換えることができます

小切手には期日という概念そのものがないためです。

しかし、わざわざ先日付の小切手を切っているということは、振り出している企業はほぼ確実に資金繰りに困っているといえます。

「書いている日付までは取り立てないでね」とお願いしているわけです。

そのような状況なのに振出日より前に取り立ててしまうと、最悪の場合その小切手を振り出した人の当座預金に残高がなくて不渡りになってしまいます。

そのため、先日付小切手は振出日がくるまでは現金に換えないことが暗黙のルールとなっています

この暗黙のルールにのっとって、先日付小切手は現金ではなく受取手形という勘定科目で取り扱います

現実問題として、先日付の小切手を切るような資金繰りに困っている会社とは取引しないのが普通です。

先日付小切手を切るような会社は近いうちに倒産に追い込まれる可能性が高いからです。

現金の補助簿:現金出納帳

現金の出入りを記録する補助簿が現金出納帳です。現金出納帳のひな形は次のようになります。

現金出納帳

日付のところに日付を書く、収入、支出、残高のところに収入、支出、残高を書く…。このように当たり前の記入になっています。

摘要欄はやや複雑ですが、摘要欄に書くことは企業によって様々ですので、問題文に指示があるか、なければある程度適当に勘定科目などを書いておけばいいということになります。

「次月繰越は赤字で書く」というルールがありますが、実務でならともかく、日商簿記検定では赤色鉛筆は持ち込めませんので、黒で書くことになります。

このように考えていくと、覚えなければいけないことはほとんどありません。仕訳がきちんと切れて、一度ひな形に目を通しておけば十分でしょう。

【まとめ】簿記で現金扱いとなる資産の範囲【現金勘定で処理する資産】

現金の代表例として次の6つが簿記検定に出題されます。

  • 通貨(紙幣と硬貨)
  • 他人振出小切手
  • 配当金領収書
  • 期日の到来した公社債の利札
  • 郵便為替証書
  • 送金小切手

現金と紛らわしいものは次の4つです。

  • 収入印紙(未使用分は貯蔵品として処理します)
  • 切手(未使用分は貯蔵品として処理します)
  • 自己振出の小切手(当座預金として処理します)
  • 先日付小切手(受取手形として処理します)

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