工程別総合原価計算

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では工程別総合原価計算について解説します。

工程別総合原価計算

工程別総合原価計算は、製品が2つ以上の製造工程で大量生産されるような企業で使われる総合原価計算です。

工程とは、個別原価計算の部門別計算で出てきた「切削部門」「組立部門」のような部門と似たようなものです。ただし、個別原価計算と総合原価計算では、計算対象となる原価が違います。

計算対象となる原価

個別原価計算の部門別計算と総合原価計算の工程別計算は似てはいるのですが、計算対象となる原価が違います。

個別原価計算では、製造間接費のみを部門別に計算します(直接労務費と製造間接費を分けられない場合には直接労務費と製造間接費を部門別に計算しますが、例外です)。

総合原価計算では、全ての原価要素を工程別に計算します(加工費のみを工程別に計算する場合もありますが、簿記1級での学習内容です)。

表でまとめると次のようになります。

部門(工程)に集計される原価の範囲
個別原価計算 製造間接費のみ(例外:直接労務費+製造間接費)
総合原価計算 全ての原価要素(例外:加工費のみ)

工程別総合原価計算の計算手順

工程別総合原価計算の計算手順は次のようになります。

  1. 各工程の原価要素を集計する
  2. 第1工程の原価計算を行い、完成品原価を計算する
  3. 第1工程の完成品原価を第2工程に振り替える
  4. 振り替えられた第1工程の完成品原価を第2工程で前工程費として第2工程の原価計算を行う

ちなみにこの計算手順は第1工程の完成品原価を第2工程に振り替えることで原価が積み重なっていくことから累加法と呼ばれています。非累加法という方法もありますが、簿記1級の範囲なので割愛します。

工程別総合原価計算のイメージ

工程別総合原価計算

工程別総合原価計算を図で表すと右のようになります。

前工程費は第1工程で100%の加工が完了しています。

よって、第2工程では計算上、始点投入の材料と同じになります。

前工程費の計算においては加工進捗度は全く考えないということです。

単純総合原価計算

ちなみに単純総合原価計算は右のようになります。

違いをしっかりと理解しておくことが重要です。

工程別総合原価計算の勘定連絡図

工程別総合原価計算の勘定連絡図は次のようになります。

勘定連絡図(工程別総合原価計算)

原価の流れをきちんとイメージしておくことが重要です。

工程別総合原価計算の具体例

資料

1.生産データ

工程      第1工程     第2工程
月初仕掛品  600個 (50%)  1,000個(30%)
当月投入量 5,400個      5,000個
合計      6,000個     6,000個
月末仕掛品 1,000個(80%)  800個(50%)
完成品    5,000個      5,200個

  • 第1工程の材料は始点投入である。
  • カッコ内は加工進捗度を表す。
  • 原価配分方法は平均法である。
  • 工程別総合原価計算の計算方法は累加法とする。
  • 工程に集計される原価の範囲は全原価要素とする。

2.原価データ

  • 第1工程月初仕掛品:材料費…400,000円、加工費…150,000円
  • 第2工程月初仕掛品:前工程費…800,000円、加工費…180,000円
  • 当月製造費用:材料費…2,600,000円、第1工程加工費1,590,000円、第2工程加工費…2,620,000円

この資料をもとに、完成品原価と第1工程仕掛品と第2工程仕掛品を求めてみましょう。

考え方

まずボックス図を作っていきましょう。工程別総合原価計算のボックス図は全てを一気に作ってもいいのですが、ここでは第1工程から順番に作っていきます。この資料から分かる数字を記入した第1工程のボックス図は次のようになります。

第1工程仕掛品

ここまでは単純総合原価計算と同じです。次に、第1工程の完成品原価4,000,000円を第2工程の前工程費に振り替えます。その上で第2工程費のボックス図を作ると次のようになります。

第2工程仕掛品

作り方、考え方は第1工程のボックス図と変わりません。材料費が前工程費と名前が変わっているだけです。当月投入の前工程費(材料費)の金額と数量が第1工程の完成品から振り替えられてきているというところだけが新しい考え方です。

この考え方さえ身につければきちんと解答できます。

解答

  • 完成品原価(6,760,000円)=完成品前工程費(4,160,000円)+完成品加工費(2,600,000円)
  • 第1工程仕掛品(740,000円)=第1工程仕掛品材料費(500,000円)+第1工程仕掛品加工費(240,000円)
  • 第2工程仕掛品(840,000円)=第2工程仕掛品前工程費(640,000円)+第2工程仕掛品加工費(200,000円)

ここでは平均法での具体例となりましたが、先入先出法でも工程別総合原価計算の考え方は変わりません。

仕訳

上のボックス図に関する仕訳を示すと次のようになります。

材料費と加工費を第1工程仕掛品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
第1工程仕掛品 4,190,000 材料費
加工費
2,600,000
1,590,000

第1工程仕掛品勘定の完成品原価を第2工程に振り替える

借方 金額 貸方 金額
第2工程仕掛品 4,000,000 第1工程仕掛品 4,000,000

加工費を第2工程仕掛品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
第2工程仕掛品 2,620,000 加工費 2,620,000

完成品原価を第2工程仕掛品勘定から製品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
製品 6,760,000 第2工程仕掛品 6,760,000

月末第1工程仕掛品原価である740,000円と月末第2工程仕掛品原価である840,000円に関しては特に仕訳は切りません。そのまま次月に繰り越されます。

工業簿記で仕訳の問題はあまり出題されませんが、仕訳は簿記では重要です。学習するときにはときどき仕訳を確認するといいです。ボックス図をしっかりと書ければ仕訳は切ることができます。

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