固変分解

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では固変分解について解説します。

固変分解

直接原価計算CVP分析(損益分岐点分析)では、原価を変動費と固定費に分けて計算する必要があります。

原価の分類で変動費と固定費がどのようなものかについてはすでに学習しましたが、現実問題として全ての費用を変動費と固定費に完璧に分類するのは簡単ではありません(というより不可能です)。

完全なる変動費や完全なる固定費ばかりではないからです。電気代や水道代、電話代は変動費のように見えますが、固定費も存在しています。

その固定費も一定ではなく、使用量によって変わってきます。消耗品も完全な変動費のようですが、全く使わなくても消耗していく部品もあります。

現実には「これは変動費、これは固定費…」というように完全に分類することが不可能なのです。そこで、簡便に変動費と固定費に分解することになります。

原価分解方法

原価を変動費と固定費に分解する方法には次の4つがあります。

  • 費目別精査法(勘定科目精査法)
  • 高低点法
  • スキャッター・チャート法
  • 最小自乗法

費目別精査法(勘定科目精査法)

費目別精査法(勘定科目精査法)では、過去の経験に基づいて費目ごと(勘定科目ごと)に一つ一つ変動費と固定費に分解していきます。「これくらい操業度が変わればこれくらい金額が変わる」という過去の経験から分解します。

手間はかかりますし、変動費と固定費の分解が客観的ではないですが、直感的に最も納得しやすい方法なのでよく使われます。

高低点法

高低点法は過去の実績データのうち、最も多い操業度のときのデータと最も少ない操業度のときのデータから1次関数のグラフを求めるように変動費率と固定費を求めます。1次関数でいう傾きが変動費率、切片が固定費になります。

高低点法

高低点法では最も多い操業度のときのデータと最も少ない操業度のときのデータ以外を全く考えないため、正確性に欠けるという欠点がありますが、客観的かつ簡単に変動費率と固定費を求めることができます。

スキャッター・チャート法

原価の過去の実績データをグラフに記入し、それらのデータの中心を通る直線を何となく目分量で引いて1次関数のグラフを求めるように変動費率と固定費を求めます。1次関数でいう傾きが変動費率、切片が固定費になります。

スキャッター・チャート法

スキャッター・チャート法では計算を行わず感覚で直線を引くので客観的ではないですが、高低点法よりも正確になることが多いと言われています。

最小自乗法

原価の過去の実績データをグラフに記入し、それらのデータと直線との距離の2乗の合計が最も小さくなるような直線を求める方法です。高低点法と同じように客観的に変動費率と固定費を求めることができます。

最小自乗法

高低点法と比べると最も多い操業度のときのデータと最も少ない操業度のときのデータ以外のデータもきちんと考えるため誤差が小さくなる傾向がありますが、計算そのものは複雑になります。

エクセルなどを使うと計算そのものは自分では行わないため楽ですが、手で計算するのは本当に大変です。

これらの原価分解方法の中で簿記2級で出題されるのは高低点法です。高低点法を使って変動費率と固定費を求める方法を身につけることが重要です。

これらの方法で求めた直線は製造間接費予算の公式法変動予算で学習したシュラッター図のように使います。

固変分解の具体例(高低点法)

資料

過去1年間の製造間接費の実績
機械運転時間 製造間接費
1 1,500hr 1,330,000円
2 1,300hr 1,250,000円
3 1,700hr 1,400,000円
4 1,600hr 1,370,000円
5 1,400hr 1,200,000円
6 2,000hr 1,500,000円
7 2,200hr 1,700,000円
8 2,800hr 2,000,000円
9 2,300hr 1,750,000円
10 2,400hr 1,800,000円
11 2,100hr 1,630,000円
12 1,900hr 1,450,000円

過去の実績値で最高の操業度と最低の操業度の2点により変動費率と月間の固定費とを求める方法(高低点法)での固変分解を行いなさい。

考え方

高低点法で原価分解を行う場合、まず最高の操業度の月と最低の操業度の月を見つけ出します。最高は8月、最低は2月です。

機械運転時間 製造間接費
2 1,300hr 1,250,000円
8 2,800hr 2,000,000円

原価の推移をy=aχ+b(a:変動費率、b:固定費)とおいて1次関数の直線の式を求めるように解きます。χが横軸(機械運転時間)、yが縦軸(製造間接費)なので、(1300,1250000)と(2800,2000000)の2点を通る直線の式を求めます(中学校で学習した1次関数と同じです)。

以下は2点を通る1次関数の式を求める解法です。

χ=1300、y=1250000をy=aχ+bに代入すると、1,250,000=1,300a+b …①
χ=2800、y=2000000をy=aχ+bに代入すると、2,000,000=2,800a+b …②

①-②… -750,000=-1,500a
両辺を-1,500で割る 500=a (変動費率が500円/hrと求まる)

a=500を①に代入する 1,250,000=1,300×500+b
1,300×500を計算する 1,250,000=650,000+b
両辺から650,000を引く 600,000=b (固定費が600,000円と求まる)

直線の式はy=500χ+600,000となります。

解答

変動費率…500円/hr,固定費…600,000円

このような形で変動費率と固定費を求めます。最高の操業度である月と最低の操業度である月しか考えないため、この2つの月で誤差が大きいと結果も極めて不正確になります。

そういった欠点がありますが、客観的な原価分解方法の中では最も簡単なので簿記2級ではこの高低点法が出題されます。

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“固変分解” への2件のフィードバック

  1. ななし より:

    大変参考にさせていただいています。ありがとうございます。
    一つ気づいたのでコメントします。

    本文中に、

    最小自乗法
    原価の過去の実績データをグラフに記入し、それらのデータと直線との距離の合計が最も小さくなるような直線を求める方法です。


    それらのデータと直線との距離「の2乗」の合計が最も小さくなるような直線

    ではないでしょうか。
    自乗(2乗)が最小になるから、最小自乗法ではないかと思います。

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。おっしゃるとおりです。最小二乗法では2乗した数値を集計します。ここでは複雑にしたくなかったので(細かい計算は簿記2級では出題されないので)2乗とは書いていませんでしたが、正確さを重視した方がいいと確かに思います。修正させていただきます。

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