減価償却の仕訳

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。減価償却費の計算方法で減価償却費の金額の求め方についてお伝えしました。あとは仕訳です。この記事では減価償却の仕訳について解説します。

減価償却の記帳方法

減価償却費の記帳方法には直接法と間接法があります。

直接法

建物の帳簿価額が100,000円、計算の結果求まった建物の減価償却費が10,000円だとします。このときの減価償却費の仕訳を考えてみましょう。

減価償却とは固定資産のうち減少した分の価値を減らして、その分を費用とすることでした。ということは、減価償却費は費用ということです。費用の発生は借方に記入するので、『(借)減価償却費10,000』となります。

では、貸方はどうなるのでしょうか。減価償却費と同じ額だけ固定資産の価値が減っています。この金額だけ建物の帳簿価額が減るのです。よって10,000円分だけ建物が減少します。資産の減少は貸方なので、『(貸)建物10,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 10,000 建物 10,000

この記帳方法を直接法といいます。

直接法の残高試算表

上の例で決算整理前残高試算表の一部を書くと、次のようになります。

減価償却の仕訳(直接法)

そして、決算整理仕訳である次の仕訳を切ります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 10,000 建物 10,000

この仕訳を切ったあとの決算整理後残高試算表を書くと次のようになります。

減価償却の仕訳(直接法)

次の3点を確認しておいてください。

  • 試算表(総勘定元帳)を見ただけでは取得原価が分からない
  • 建物にある金額は帳簿価額である
  • 資産である建物のうちの10,000円分が費用である減価償却費に変わっている

直接法のイメージ

直接法のイメージは次のようになります。

  • 取得原価:10万円
  • 残存価額:1万円
  • 耐用年数:3年

減価償却(残存価額あり)

これは減価償却のイメージそのものです。このイメージで直接法をつかんでおきましょう。

直接法の問題点

直接法は分かりやすいところが長所なのですが、欠点もあります。減価償却をするたびに帳簿価額から減価償却費を引いていくので、総勘定元帳を見ただけでは取得原価がいくらか分からなくなってしまうのです。

固定資産台帳を見れば分かるのですが、欠点であることに変わりありません。

「総勘定元帳を見ただけでは取得原価がいくらか分からない」という欠点を補う記帳方法が次の間接法です。

間接法

建物の帳簿価額が100,000円、計算の結果求まった建物の減価償却費が10,000円だとします。このときの減価償却費の仕訳は直接法では次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 10,000 建物 10,000

これと同じ例を使って間接法での仕訳を考えてみましょう。

直接法の欠点を補うのが間接法です。直接法の欠点は取得原価が分からないところにあります。取得原価が分からないという欠点を補うためには、減価償却費を取得原価から直接引かないようにしなければなりません。

つまり直接法の『(貸)建物10,000』が変わってくるということです。『(借)減価償却費10,000』は同じです。

では、貸方はどのように記入するのでしょうか。間接法では減価償却累計額という勘定科目を使います。『(貸)減価償却累計額10,000』とするのです。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 10,000 減価償却累計額 10,000

減価償却累計額は、これまでの減価償却費を積み重ねたものです。決算時に減価償却費の仕訳を切るまでは前期までの減価償却費の合計、減価償却費の仕訳を切ったあとは今期終了時点での減価償却費の合計を表します。

このように減価償却累計額を貸方に記入することで、『取得原価-減価償却累計額=帳簿価額』という関係を作ることができます。こうすることで取得原価を総勘定元帳に残したまま帳簿価額を表せるのです。

間接法の残高試算表

先ほどの例で決算整理前残高試算表の一部を書くと、次のようになります。

減価償却の仕訳(直接法)

そして、決算整理仕訳である次の仕訳を切ります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 10,000 減価償却累計額 10,000

この仕訳を切ったあとの決算整理後残高試算表を書くと次のようになります。

減価償却の仕訳(直接法)3

次の3点を確認しておいてください。

  • 試算表(総勘定元帳)を見ただけで取得原価が分かる
  • 建物にある金額は取得原価である
  • 建物にある金額(取得原価)から減価償却累計額を引くと帳簿価額が求まる

間接法のイメージ

間接法のイメージは次のようになります。

  • 取得原価:10万円
  • 残存価額:1万円
  • 耐用年数:3年

減価償却(間接法のイメージ)

直接法よりも少々複雑になります。ちなみに表でまとめると次ようになります。

年数 1年目 2年目 3年目
期首帳簿価額 10万円 7万円 4万円
期首減価償却累計額 0万円 3万円 6万円
減価償却費 3万円 3万円 3万円
期末帳簿価額 7万円 4万円 1万円
期末減価償却累計額 3万円 6万円 9万円
帳簿価額+減価償却累計額 10万円 10万円 10万円

減価償却費の金額(3万円)ずつ帳簿価額が減り、減価償却累計額が増えています。また、期首であっても期末であっても、『帳簿価額+減価償却累計額=取得原価』という式は成り立ちます。

このような形で間接法をつかんでおきましょう。

減価償却の仕訳の出題例

直接法か間接法かの見分け方

問題文に直接法か間接法か書いてあればすぐに分かります。しかし、いつもそうとは限りません。問題文に直接法とも間接法とも書いていない場合があるのです。では、そういう場合どのように見分ければいいのでしょうか。

答えは問題文または解答欄に『減価償却累計額』があれば間接法、なければ直接法です。

会計期間の途中で固定資産を取得した場合は直接法であっても間接法であっても減価償却累計額という勘定は存在しません。しかし、会計期間の途中で固定資産を取得した場合は必ず直接法か間接法か書いてあります。

もしくは、前期以前に取得した固定資産もあって、そちらの減価償却累計額の勘定科目があるかで判断できます。

直接法か間接法か判別できなかった問題は見たことがありませんので心配しなくて大丈夫です。

固定資産の減価償却の仕訳

決算整理前試算表(一部)は次の通りであった。下記の資料にもとづいて固定資産の減価償却の仕訳をしなさい。

減価償却の仕訳(間接法)

<資料(建物について)>

  • 耐用年数:10年
  • 残存価額:取得原価の10%
  • 定額法

この問題を解いてみましょう。この問題は直接法とも間接法とも書いていませんが、決算整理前試算表(一部)に減価償却累計額があるので、記帳方法は間接法です。また、減価償却費は「500,000×90%÷10」で45,000円です。

よって仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 45,000 減価償却累計額 45,000

ちなみに、簿記検定では間接法の方がよく出題されます。間接法を中心に学習することをオススメします。

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