- 簿記の勉強をしていると固定資産の取得原価が問題文に書いてない問題が出てきたんだけど……
- 自力で固定資産の取得原価を求める方法が分からない
- 固定資産の取得原価の求め方を教えて!
応用問題で、固定資産の取得原価を推定しなければならない問題があります。固定資産の取得原価を求める問題は難しいので、どうやって解いたらいいのか分からない人がが非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん固定資産の取得原価を推定する問題の解き方も熟知しています。
この記事では固定資産の取得原価の求め方について解説します。
この記事を読めば本試験で固定資産の取得原価を推定しなければならない問題が出題されても自信を持って解答することができます。
結論を言うと、固定資産の取得原価を推定する問題は、取得原価をχとおいて一次方程式を立てて解きます。
固定資産の取得原価を計算する問題の解き方

応用問題の中には、固定資産の取得原価が不明で、その取得原価を推定する問題というものがあります。
固定資産の取得原価を推定する問題は、次のような情報が読み取れるようになっています。
- 取得原価…(各自推定)
- 当期首帳簿価額…40,000円
- 取得日…当期首の2年前
- 耐用年数…3年
- 残存価額…取得原価の10%
- 減価償却方法…定額法
これらの情報をもとに直接法から間接法に変更する仕訳を切る問題が多いです。
定額法の減価償却費を求める「1年間の減価償却費=取得原価×0.9÷耐用年数(3年)」という式を少し変更し、次のようにします。
2年間の減価償却費=取得原価×0.9÷耐用年数(3年)×2(年)
これで2年間の減価償却費が求まります(当期首の2年前に取得したので、当期首の段階で2年間の減価償却費が計上されています)。
この金額を取得原価から引いた金額が当期首の帳簿価額になるので、次の式が成り立ちます。
取得原価-(取得原価×0.9÷耐用年数(3年)×2(年)=当期首帳簿価額(40,000)
取得原価をχとして1次方程式を立てると次のようになります。
χ-χ×0.9÷3×2=40,000
あとはこの1次方程式を解けば取得原価(χ)が求まります。
χ-0.6χ=40,000
0.4χ=40,000
χ=40,000÷0.4
χ=100,000
よって取得原価は100,000円となります。
固定資産の取得原価を電卓のみで解答する方法

これを1次方程式を使わずに電卓のみで解答すると次のようになります。
[0][.][9][÷][3][×][2][-][1][=][M+][4][00][00][÷][RM][=]
この電卓操作方法については「電卓のメモリー機能の使い方」で詳しく解説しています。
この方法を使えればかなり解答時間を短縮できます。しかし、かなり難易度が高い電卓の使い方なので、電卓の熟練者以外は無理せずに方程式を使って求めてください。
考え方は次のようになります。
- 取得原価全体を1とおき、それに0.9をかけることで取得原価全体に対する要償却額全体の割合である0.9を求める
- 1で求めた0.9を耐用年数で割ることで取得原価全体に対する1年間の減価償却費の割合である0.3を求める
- 2で求めた0.3に2をかけることでで取得原価全体に対する2年間の減価償却費(当期首までに減価償却された額)の割合である0.6を求める(この0.6という数字が取得原価全体を1とおいたときの「2年間の減価償却費」の割合です)
- 3で求めた0.6から取得原価の割合である1を引くことで、償却されずに残っている金額の取得原価全体に対する割合である0.4を求める
- この「償却されずに残っている金額の取得原価全体に対する割合」である0.4をメモリーに記憶するためにM+と入力する
- 当期首帳簿価額(40,000)は、償却されずに残っている金額なので、これを「償却されずに残っている金額の取得原価全体に対する割合」である 0.4で割ることで取得原価100.000が求まる(÷を押した後に0.4を呼び出すためにRMと入力し、=で100,000と表示されます)
この電卓の使い方は相当に難易度が高いです。ちなみに、きちんと考え方を理解せずにやり方だけ暗記しても使いこなせないので、使う方は考え方から身につけてください。
【まとめ】固定資産の取得原価を計算する問題の解き方

固定資産の取得原価を計算する問題は、「取得原価-(取得原価×0.9÷耐用年数×取得日から期首までの年数=当期首帳簿価額」という式を使い、取得原価をχとおいて方程式を立てることで解きます。
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