製造間接費の予定配賦

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では製造間接費の予定配賦について解説します。

製造間接費の予定配賦

製造間接費の実際配賦には2つの問題点がありました。この問題点を解決するために予定配賦があります。よって予定配賦の特長は次の2点になります。

  • 計算が速い
  • 配賦率が一定になる

計算が速い

予定配賦では前もって予定配賦率というものを決めておきます。前もって決めておくので、製品が完成し、その製品についての配賦基準数値が集計できた時点でその製品について製造間接費の配賦額が計算されます。

実際配賦では翌月にしか計算できなかったものが製品完成後すぐに計算できるようになるため、計算が速くなっています。

配賦率が一定になる

実際配賦の配賦率が生産量によって変動する理由は「製造間接費の中に固定費があるから」です。固定費というのは生産量に関わらずに同額が発生する費用です。家賃や保険料のようなものです。このような固定費があるために、生産量が減ることで配賦率が上がります。

固定費というものは、生産設備を維持するためにかかるものです。使うことでかかるものではありません。そこで、固定費は実際の生産量で配賦するよりも、1ヶ月あたりの生産量の平均(基準操業度といいます)で配賦したほうが合理的です。

このように配賦することで配賦率が一定になります。

このような特長がある予定配賦を採用することで原価管理に役立ちます。計算が速いため対策も早く打てますし、製造間接費の実際発生額と予定配賦額を比べることで適切な原価管理もできます。これからはこの予定配賦の学習を中心に行っていくことになります。

固定費があることで製造原価が変わる理由

固定費があることで製造原価が変わる理由をやや極端な具体例を使って解説します。

固定費が大きい場合

次の例を考えてみましょう。

  • 変動費:1個あたり100円
  • 固定費:1月あたり5,000,000円

変動費に対して固定費が極端に大きいと感じるかもしれませんが、複製が低コストでできる音楽CDやゲームソフトなどではこのような割合になることも珍しくありません。

では、この例で「100個生産した場合」と「10,000個生産した場合」について考えてみましょう。

100個生産した場合

100個生産するので、変動費は(100円×100個)=10,000円となります。また、固定費は生産量に関わらず5,000,000円です。

よって、この月における製造原価は(10,000円+5,000,000円)=5,010,000円となります。1個あたりの製造原価は(5,010,000円÷100個=)50,100円となります。

10,000個生産した場合

10,000個生産するので、変動費は(100円×10,000個)=1,000,000円となります。また、固定費は生産量に関わらず5,000,000円です。

よって、この月における製造原価は(1,000,000円+5,000,000円)=6,000,000円となります。1個あたりの製造原価は(6,000,000円÷10,000個=)600円となります。

固定費がない場合

次の例を考えてみましょう。

  • 変動費:1個あたり100円
  • 固定費:0円

固定費が0円というのは少々考えにくいですが、生産量に応じて家賃が決まるといったような特殊な契約で生産している場合には起こりえます(通常はありません。あくまでも例です。)。

では、この例で「100個生産した場合」と「10,000個生産した場合」について考えてみましょう。

100個生産した場合

100個生産するので、変動費は(100円×100個)=10,000円となります。また、固定費はありません。よって、この月における製造原価は10,000円となります。1個あたりの製造原価は(10,000円÷100個=)100円となります。

10,000個生産した場合

10,000個生産するので、変動費は(100円×10,000個)=1,000,000円となります。また、固定費はありません。よって、この月における製造原価は1,000,000円となります。1個あたりの製造原価は(1,000,000円÷10,000個=)100円となります。

固定費がなければ変動費が1個あたりの製造原価になります。

このように、固定費が大きければ大きいほど生産量の変化に対して1個あたりの製造原価が大きく変動することになります

製造間接費の予定配賦の計算手順

製造間接費の予定配賦は次のような計算手順で行います。

  1. 予定配賦率の計算
  2. 予定配賦額の計算
  3. 実際配賦額と予定配賦額の差額の把握と分析

1.予定配賦率の計算

次の計算式で予定配賦率を求めます。

予定配賦率=(一定期間の製造間接費予算額)÷(同期間の予定配賦基準数値合計)

また、予定配賦基準数値合計のことを基準操業度といいます。この計算式の意味を理解するために具体例で考えてみましょう。

  • 1年間の製造間接費予算額:5,000,000円
  • 予定配賦基準:直接作業時間
  • 1年間の直接作業時間:2,500時間

このような状況があったとします。この場合、予定配賦率は(5,000,000円÷2,500時間=)2,000円/時となります。この数値は直接作業時間1時間あたり2,000円の製造間接費が発生すると見積もっているいうことを意味しています。

2.予定配賦額の計算

次の計算式で予定配賦額を求めます。

予定配賦額=予定配賦率×製品ごとの実際配賦基準数値

この計算式の意味を理解するために上の例の続きを考えてみましょう。

  • 予定配賦率:2,000円/時
  • A製品の直接作業時間:80時間
  • B製品の直接作業時間:120時間

このような状況があったとします。この場合、A製品の予定配賦額は(2,000円/時×80時間=)160,000円となり、B製品の予定配賦額は(2,000円/時×120時間=)240,000円となります。この数値は予定配賦率にもとづいて配賦した製造間接費になります。

3.実際配賦額と予定配賦額の差額の把握と分析

予定配賦額というのはあくまでも予定の配賦率を見積もって求めた金額です。よって、通常は実際にかかった費用との差額が発生します。この差額がどのような性質のものなのかを分析することで原価管理を行います。

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