製造間接費配賦差異

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では製造間接費配賦差異について解説します。

製造間接費配賦差異

製造間接費の予定配賦を行っている場合、製造間接費の実際発生額と予定配賦額との間に差額が発生します。この差額のことを製造間接費配賦差異といいます。

この製造間接費配賦差異をさらに細かく分析し、原価管理を行うための資料にします。製造間接費配賦差異は大まかに予算差異と操業度差異に分けられます。

ちなみに、製造間接費配賦差異のような原価差異は、原則として損益計算書の売上原価の内訳科目の欄に記載します。

予算差異

予算差異は予定よりも無駄が多かったり少なかったりしたことによる差異です。予算差異は次の計算式で求めます。

予算差異=(変動費率×実際操業度+固定費予算額)-実際発生額

「変動費率×実際操業度+固定費予算額」の部分が、実際の操業度における予定通りの原価の消費額になります。

この金額が実際発生額よりも大きい場合、実際に発生した額が予定よりも小さいので、無駄が予定よりも少なかったということになります。予算差異はプラスとなり、有利差異となります。

逆に、この金額が実際発生額よりも小さい場合、実際に発生した額が予定よりも大きいので、無駄が予定よりも多かったということになります。予算差異はマイナスとなり、不利差異となります。

予算差異のシュラッター図による考え方

まずはシュラッター図を描きながらそれぞれの場所が何を意味しているのかを考えていきましょう。公式法変動予算が簿記検定では圧倒的に多く出題されるので、これからは公式法変動予算のみ取り扱っていきます。

公式法変動予算におけるシュラッター図

まずはここまでシュラッター図を描きます(このシュラッター図は製造間接費予算で解説したものと同じです)。

予算差異

このシュラッター図に実際操業度における製造間接費の実際発生額を書き込むと次のようなシュラッター図になります(便宜上、実際発生額は大きめに、実際操業度は基準操業度よりも小さくなるように設定しています)。

予算差異

まずはこの図の1の部分の意味を考えてみましょう。1の部分の金額は、実際の操業度における予定通りの原価の消費額を表しています。実際操業度において予定よりも無駄が多くも少なくもない場合の金額ということです。図に書き込むと次のようになります。

予算差異

これは予算差異を求める公式の「変動費率×実際操業度+固定費予算額」だということを確認しておいてください。

では、今度は次の図の2の金額の意味を考えてみましょう。

予算差異

2の金額は1の金額よりも実際発生額がどれだけ大きいかを表しています。1の金額は実際の操業度において予定よりも無駄が多くも少なくもない金額を意味しています。

ということは2の金額は予定よりも多くなってしまった金額、つまり無駄な金額を表しているということになります。よって、この2の金額が予算差異ということになります。

次の予算差異を求める計算式と下の図の関係をしっかりと理解しておいてください

予算差異=(変動費率×実際操業度+固定費予算額)-実際発生額

予算差異

操業度差異

操業度差異は予定よりも操業度が多かったり少なかったりしたことによる差異です。操業度差異は次の計算式で求めます。

操業度差異=(実際操業度-基準操業度)×固定費率

固定費率は操業度1時間あたりの固定費で、固定予算額を基準操業度で割って求めます。固定費率は操業度1時間あたりの固定費なので必ずプラスになります。

よって、(実際操業度-基準操業度)がプラスのとき、つまり「実際操業度>基準操業度」のときには操業度差異はプラスとなり有利差異となります。基準操業度よりも実際の操業度の方が大きいことにより、操業度1時間当たりの固定費が少なくなることで有利になります。

また、(実際操業度-基準操業度)がマイナスのとき、つまり「実際操業度<基準操業度」のときには操業度差異はマイナスとなり不利差異となります。基準操業度よりも実際の操業度の方が小さいことにより、操業度1時間当たりの固定費が大きくなることで不利になります。

操業度差異のシュラッター図による考え方

まずはシュラッター図を描きながらそれぞれの場所が何を意味しているのかを考えていきましょう。

公式法変動予算におけるシュラッター図

まずはここまでシュラッター図を描きます(ここまでは製造間接費予算でお伝えしたものと同じです)。

予算差異

このシュラッター図に実際操業度における製造間接費の実際発生額を書き込むと次のようなシュラッター図になります(便宜上、実際発生額は大きめに、実際操業度は基準操業度よりも小さくなるように設定しています)。

操業度差異

ここまでは予算差異のシュラッター図による考え方と同じです。

操業度差異では固定費率というものを考えます。固定費率というのは固定費予算額を基準操業度で割ったもので、操業度1時間あたりの固定費予算額になります。固定費率を図に書き込むと次のようになります。

操業度差異

この図の1の部分の意味を考えてみましょう。この部分の金額は、実際の操業度における固定費予算です。実際の操業度における変動費予算部分と合わせると、製造間接費配賦額となります。

操業度差異

製造間接費の予定配賦でお伝えした予定配賦率と予定配賦額について、次の2つを公式と見比べて確認しておいてください。

  • 予定配賦率が変動費率と固定費率の合計になっているということ
  • 予定配賦額が製造間接費配賦額部分の金額になっているということ

では、次は下の図の2の部分の意味を考えてみましょう。

操業度差異

この金額は(固定費予算額-実際操業度における固定費予算)を意味します。もし実際操業度と基準操業度が同じであれば、2の部分は0になります。

つまり、この2の部分の金額は実際の操業度が基準操業度に足りていないから発生した差異だと考えられます。よって、この2の金額が操業度差異ということになります。

次の操業度差異を求める計算式と下の図の関係をしっかりと理解しておいてください

操業度差異=(実際操業度-基準操業度)×固定費率

操業度差異

ちなみに、2つの固定費率は平行線の錯角にあたるため図形的に等しくなります。また、公式では「実際操業度-基準操業度」、図では「基準操業度-実際操業度」というように引く数と引かれる数が逆になっています。

引く数と引かれる数が逆になることでプラスマイナスが逆になりますが、数の大きさ(絶対値)は変わりません。

予算差異と操業度差異とシュラッター図のまとめ

予算差異と操業度差異がシュラッター図においてどの位置になるのかまとめると次のようになります。

予算差異と操業度差異

また、製造間接費の予定配賦でお伝えした予定配賦率と予定配賦額の計算式は次の2つです。

  • 予定配賦率=(一定期間の製造間接費予算額)÷(同期間の予定配賦基準数値合計)
  • 予定配賦額=予定配賦率×製品ごとの実際配賦基準数値

この2つの式がシュラッター図の中でそれぞれどこを表しているのかも記入すると次のようになります。

予算差異と操業度差異

公式とシュラッター図の関係をしっかりと理解しておくことが重要です。

予算差異と操業度差異の具体例

例題

  • 製造間接費予算(公式法変動予算)
    • 変動費率:500円/時
    • 固定費予算(月間):4,000,000円
    • 基準操業度(月間):2,500時間
    • 配賦基準数値:直接作業時間
  • 当月の実績
    • 当月実際作業時間:2,300時間
    • 製造間接費実際発生額:6,000,000円

これらの資料を元に、「予定配賦率」「予定配賦額」「予算差異」「操業度差異」を求めてみましょう。

シュラッター図の作成

資料からシュラッター図を作成します。作成の流れは次のようになります。

1.シュラッター図のひな形を描く

シュラッター図のひな形を描きます。予算差異や操業度差異が有利差異なのか不利差異なのかを考える必要は特にありません。ひな形を作成すると次のようになります。

シュラッター図

2.計算の必要がない数値をまず記入する

「変動費率」「固定費予算」「基準操業度」「当月実際作業時間」「製造間接費実際発生額」は計算の必要はありません。これらの数値をまず記入します。シュラッター図は次のようになります。

シュラッター図

3.固定費率を計算して記入する

予定配賦率は変動費率と固定費率の合計です。よって、予定配賦率を求めるためには固定費率を求める必要があります。

固定費率は固定費予算(月間)を基準操業度(月間)で割って求めます。次のようになります。

4,000,000円÷2,500時間=1,600円/時

この固定費率を記入します。また、この時点で予定配賦率が(500円/時+1,600円/時=)2,100円/時と求まります。

ここまで記入したシュラッター図は次のようになります。

シュラッター図

4.予定配賦額を計算して記入する

予定配賦額は予定配賦率に実際操業度をかけて求めます。次のようになります。

2.100円/時×2,300時間=4,830,000円

この予定配賦額を記入します。また、実際操業度における変動費予算と実際操業度における固定費予算も求めておきましょう。

  • 実際操業度における変動費予算=変動費率500円/時×実際操業度2,300時間=1,150,000円
  • 実際操業度における固定費予算=固定費率1,600円/時×実際操業度2,300時間=3,680,000円

ここまで記入したシュラッター図は次のようになります。

シュラッター図

5.操業度差異を求める

操業度差異は固定費予算から実際操業度における固定費予算を引くことで求めます。次のようになります。

固定費予算4,000,000円-実際操業度における固定費予算3,680,000円=320,000円

ここまで記入したシュラッター図は次のようになります。

シュラッター図

操業度差異は実際操業度と基準操業度の違いから発生するもので、実際操業度が基準操業度よりも小さいと不利差異、大きいと有利差異となります。不利差異なのか有利差異なのかの判断は図からではなく、実際操業度と基準操業度の大小関係から考えると分かりやすいです。

この例の場合、実際操業度は2,300時間、基準操業度は2,500時です。実際操業度の方が基準操業度よりも200時間小さいので不利差異となります。

6.予算差異を求める

予算差異は実際発生額から固定費予算と実際操業度における変動費予算を引くことで求めます。次のようになります。

実際発生額6,000,000円-固定費予算4,000,000円-実際操業度における変動費予算1,150,000円=850,000円

ここまで記入したシュラッター図は次のようになります。

シュラッター図

予算差異は製造時における無駄が原因で発生するものです。よって、実際発生額が固定費予算と実際操業度における変動費予算の合計額よりも大きければ不利差異、小さければ有利差異となります。

この例の場合、実際発生額が6,000,000円、固定費予算と実際操業度における変動費予算の合計額が5,150,000円なので不利差異となります。

それぞれの計算式は一応公式として挙げていますが、シュラッター図から感覚的に求められるようにしておきましょう。また、製造間接費配賦額に予算差異と操業度差異を加えた金額が製造間接費実際発生額となっていることも確認しておいてください。

解答

  • 予定配賦率:2,100円/時
  • 予定配賦額:4,830,000円
  • 予算差異:850,000円(不利差異)
  • 操業度差異:320,000円(不利差異)

予算差異と操業度差異は必ず有利差異なのか不利差異なのかも書かなければなりません。金額が分かっても有利差異なのか不利差異なのかが分からなければ何の意味もないからです。

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“製造間接費配賦差異” への6件のフィードバック

  1. ちび より:

    シュラッター図はぶち当たり、何回も
    紙に書いてようやく理解してきました。
    今回書いて下さった記事は、
    自分にとって理解を深める&確認する
    のに最適な記事でした!
    いつも分かりやすい記事をありがとうございます。

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。

      シュラッター図は慣れるまでが大変ですよね。きちんと理解すれば面倒な公式を覚えずにすみますし、感覚的に解けるようにもなります。

      お役に立てて嬉しいです。しばらくはシュラッター図の記事が続きますのでよかったら参考にしてください。

  2. みんと より:

    お久しぶりです。
    シュラッター図は覚えてしまうとかなりの強みなので2級学習中の方には是非覚えてほしいですね。
    2級学習中は差異分析問題はシュラッター図のお陰で工業簿記では一番得意になりました。

    現在1級の学習再開で工業簿記からやっていますがシュラッター図はかなりの時間短縮になっています。

    リョウさんの記事は本当に分かりやすく、私も確認のために参考にさせて頂いてます。

    いつもありがとうございます!
    私も頑張ろう☆彡

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。こちらこそいつもありがとうございます。

      シュラッター図は本当に使いこなせると楽ですね。公式を覚えるよりもはるかに楽で、感覚的に使えます。

      簿記の勉強楽しめていらっしゃるようでよかったです。あまり追い込まずマイペースで頑張ってください。応援しています。

  3. kapociko より:

    2級を勉強しだしました。すごく難しいと言われている工業から入りました。
    早速ブチ当たりました。ココで…(泣)
    今もまださっぱりわかりません。図の中に問題文の中の数字を拾い当てはめるまではわかりますが、計算の仕方がイマイチ…
    早く頭の中に「!」が出てくるように今から何回も読んで頑張ります。

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。返信遅れて申し訳ありません(見落としていました)。

      工業簿記は勘定の流れをしっかりとイメージしながら考えるのがポイントです。「材料・労務費・経費」が「売上原価」へと流れていく様子をイメージできれば少しずつ理解できるようになると思います。

      簿記の勉強がんばってください。応援しています。

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