- 工業簿記を勉強している基準操業度っていう言葉が出てきたんだけど……
- 基準操業度がたくさんあって違いがよく分からない
- 基準操業度について教えて!
工業簿記を勉強していると基準操業度という言葉が出てきます。基準操業度は4種類もあって混乱してしまう方が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん基準操業度についても熟知しています。
この記事では4つの基準操業度について、それぞれの求め方を解説します。
この記事を読めば基準操業度について深く理解できるようになるので、簿記2級で基準操業度に関する出題がされても自信を持って解答できるようになります。
結論を一言で言うと、操業度とは生産設備の稼働割合のことで、基準操業度とはある期間における予定配賦基準数値の合計のことです。
基準操業度の求め方には「理論的生産能力」「実際的生産能力」「平均操業度(正常操業度)」「期待実際操業度(予定操業度)」の4種類があります。
操業度とは:生産設備の稼働割合のこと
操業度とは生産設備の稼働割合のことです。操業度が100%なら、生産設備がフル稼働している状態で、操業度が0%なら生産設備が全く動いていない状態です。
フル稼働させると1ヶ月に10,000個の製品を作ることができる生産設備があって、今月製品を7,500個作った場合、今月の生産設備の操業度は(今月の生産量7,500個÷フル稼働した場合の生産量10,000個=)75%になります。
基準操業度とは一定期間における予定配賦基準数値の合計
一定期間における予定配賦基準数値の合計のことを基準操業度といいます。
例えば、一定期間を1年、配賦基準が機械運転時間とすると、基準操業度は「1年間で行うと予想される機械運転時間」となります。
基準操業度の求め方には「理論的生産能力」「実際的生産能力」「平均操業度」「期待実際操業度」の4種類があります。
理論的生産能力:完璧な効率で作業が全く中断されずに達成される操業水準
理論的生産能力とは、完璧な効率で作業が全く中断されずに達成される操業水準をいいます。理論的生産能力における操業水準を超えることは理論上できません。
理論的生産能力における操業水準はあくまでも理論値なので、実際には達成不可能になります。よって、理論的生産能力を基準操業度として採用することはありません。
理論的生産能力は、次にご説明する実際的生産能力を計算するためのベースの数字として使われます。
実際的生産能力:理論的生産能力から避けられない停止時間を差し引いて計算される操業水準
実際的生産能力とは、理論的生産能力から機械の故障やメンテナンスなど、避けられない停止時間を差し引いて計算される操業水準をいいます。実現可能な操業水準としては最大の操業水準です。
実際的生産能力は生産技術のみで決められています。
需要の増減が全く考えられていないので、需要が非常に大きく、作れば作るだけ売れるような特殊な状況を除いて基準操業度として採用することはありません。
平均操業度(正常操業度):季節的な変動や景気変動の影響による生産量の増減を考慮した操業度
平均操業度(正常操業度)とは、予想される季節的な変動や景気変動の影響による生産量の増減を考慮した操業度をいいます。
通常は季節的な変動や景気変動による生産量の増減は5年程度を平均して計算するので平均操業度といいます。
平均操業度(正常操業度)は通常の生産では合理的な操業度となります。しかし、変化が激しい業界では5年の平均が時代遅れとなる場合も多く、そのような場合には次の期待実際操業度が使われます。
期待実際操業度(予定操業度):次の1年間に予想される操業水準
期待実際操業度(予定操業度)とは、次の1年間に予想される操業水準をいいます。
あくまでも予想なので平均操業度に比べて合理的とはいいづらいのですが、変化が激しい業界では平均操業度よりも正確な場合も多いです。
これらの4つの基準操業度の中から、その企業の現実に最も適した基準操業度を選択します。
【まとめ】基準操業度【4種類の求め方をわかりやすく解説】
基準操業度の求め方には次の4種類があります。
- 理論的生産能力:完璧な効率で作業が全く中断されずに達成される操業水準
- 実際的生産能力:理論的生産能力から避けられない停止時間を差し引いて計算される操業水準
- 平均操業度(正常操業度):季節的な変動や景気変動の影響による生産量の増減を考慮した操業度
- 期待実際操業度(予定操業度):次の1年間に予想される操業水準
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