- 原価計算を具体的にイメージするのが難しい……
- 原価を計算するコツが分からない
- 原価計算を具体的に教えて!
教材での勉強だけでは原価計算のイメージがつかみにくいので、何となく言われたとおりに問題を解いている人が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん原価計算についても熟知しています。
この記事ではカレーを具体例に原価計算について解説します。
この記事を読めば原価計算についてより具体的にイメージできるので、原価計算の勉強をスムーズに進めることができるようになります。
カレーを具体例に考える原価計算
この記事では、身近な料理である「カレーライス」を使って製造原価について考えてみます。
カレーの製造原価(9人前)
製造原価の内訳は「材料費」「労務費」「経費」の3つです。それぞれについて考えていきましょう。
ちなみに、製造するカレーライスは「一般家庭で作るジャワカレースパイシーブレンド(9皿分)」だとします。
材料費:1,400円(9人前)
材料費はジャワカレースパイシーブレンドのレシピより、次のものが考えられます。
- 米…1kg
- ジャワカレースパイシーブレンド…1箱
- 肉…500g
- たまねぎ…中2個
- サラダ油…大さじ2
- 水…1,300ml
一般的なスーパーマーケットでの価格で計算すると次のようになりそうです。
- 米…1kg(400円)
- ジャワカレースパイシーブレンド…1箱(320円)
- 肉…500g(600円)
- たまねぎ…中2個(70円)
- サラダ油…大さじ2(10円)
- 水…1,300ml(0円)
合計で1,400円となっています。
労務費:1,000円(9人前)
一般家庭では労務費を考慮することは通常はありませんが、製造原価の計算のイメージのための例なので、労務費も考慮します。
カレーを作るのにかかる時間は、「洗米」「野菜や肉のカット」「煮込み」「皿洗い」など、合わせて1時間と見ておきましょう。また、時給は法定福利費なども含めて1,000円とします。
これらの情報より、労務費は(製造時間1時間×時給1,000円=)1,000円となります。
経費:520円(9人前)
材料費と労務費以外の製造原価が経費です。一般家庭では経費を考慮することは通常はありませんが、製造原価の計算のイメージのための例なので、経費も考慮します。
カレーライスを作るための経費は「建物の減価償却費」「設備の減価償却費」「水道光熱費」といったところでしょうか。
「建物の減価償却費」は「家賃1ヶ月分のうちの台所部分が15,000円」「9皿分なので3人家族で3食分(1日分)」という前提で考えて(1か月の家賃15,000円÷30日×1日=)500円としましょう。
「設備の減価償却費」は電気ジャーやコンロ、なべなどの減価償却費ですが、これは金額が少なそうです。全て合わせても10円程度な気がします。
「水道光熱費」は「皿洗いの水道代」「台所の電気代」「コンロのガス代」などです。これも金額が少なそうです。全て合わせても10円程度な気がします。
これらの情報より、経費は(1日あたりの家賃500円+1日あたりの設備費10円+水道光熱費10円=)520円となります。
製造原価:2,920円(9人前)
これまでの情報より、製造原価は(材料費1,400円+労務費1,000円+経費520円=)2,920円となります。この製造原価は9皿分なので、1皿分は(2,920円÷9≒)320円です。
これが製造原価の考え方です。
実際に販売する場合の販売価格は最低でも1人前600円
実際にカレー屋さんとして販売するのであれば、販売費や一般管理費が必要になりますし、いい場所に店を出すとなると賃料の減価償却費も大きくなります。
また、廃棄も考慮しなければなりません。
逆に大量生産することで効率がよくなり、カレー1皿あたりの固定費が下がることにもなります。
感覚としては、消費税10%込みで最低「1皿600円」で販売しなければ利益を出すのは厳しいと考えられます。
【まとめ】カレーを具体例に考える原価計算
製造原価を計算するときは「材料費」「労務費」「経費」をもれなく集計して合算します。
カレーの場合、製造原価は(材料費1,400円+労務費1,000円+経費520円=)2,920円になりました。この製造原価は9皿分なので、1皿分は(2,920円÷9≒)320円です。
もちろん重要なのは結果ではなく、考え方です。
コメント