製造部門費の製品(製造指図書)への配賦(第3次集計)

Pocket

こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では製造部門費の製品(製造指図書)への配賦について解説します。

製造部門費の製品(製造指図書)への配賦

製造間接費を各部門へ集計(第一次集計)し、補助部門費を製造部門へ配賦(第二次集計)したことで、切削部門や組立部門といった各製造部門には製造間接費が集計されています。

この各製造部門に集計されている製造間接費を製品(この時点ではまだ未完成なので仕掛品)に配賦します。この手続を行うことで製造間接費が仕掛品に振り替えられます。

製造部門費の製品(製造指図書)への配賦には実際配賦と予定配賦があります。

製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦

実際配賦の場合は、各製造部門に集計された実際額をそのまま製品(製造指図書)に配賦します配賦の方法は、製造部門費の合計をその製造部門の配賦基準数値の合計で割ることで配賦率を求め、この配賦率をもとに製品ごとに配賦額を決めます

  • 切削部門の配賦率=切削部門費合計÷切削部門の配賦基準数値の合計
  • 組立部門の配賦率=組立部門費合計÷組立部門の配賦基準数値の合計
  • 製品に配賦する切削部門の配賦額=切削部門の配賦率×その製品に対する切削部門の配賦基準数値
  • 製品に配賦する組立部門の配賦額=組立部門の配賦率×その製品に対する組立部門の配賦基準数値

製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦の仕訳

上記の切削部門と組立部門から仕掛品へのは配賦の仕訳は、切削部門費と組立部門費を仕掛品勘定に振り替えることになるので次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 ××× 切削部門費
組立部門費
×××
×××

この仕訳を切ることで、各製品が切削部門と組立部門から受けた作業の割合に応じて各製品に製造間接費を配賦する計算手続が完了します。

また、この仕訳だけでは各製品にいくらずつ製造間接費が配賦されたのか分かりませんが、製造指図書にはきちんと配賦額が記入されます。

製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦の具体例

資料(補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)(直接配賦法)の続き)

製造部門費 配賦基準
切削部門費 226,400円 機械時間
組立部門費 217,100円 機械時間
切削部門 組立部門
A製品の製造のために要した機械時間 230時間 70時間
B製品の製造のために要した機械時間 170時間 60時間

上の資料をもとに各製造部門の配賦率と配賦額を求めてみましょう。

各製造部門の配賦率

  • 切削部門の配賦率(566円/時間)=切削部門費合計(226,400円)÷切削部門の配賦基準数値の合計(230時間+170時間)
  • 組立部門の配賦率(1,670円/時間)=組立部門費合計(217,100円)÷組立部門の配賦基準数値の合計(70時間+60時間)

配賦率はその部門が1時間作業をするのにいくらの原価が発生するのかを表していることを確認しておいてください。

各製品に配賦する製造部門費の配賦額

  • A製品に配賦する切削部門の配賦額(130,180円)=切削部門の配賦率(566円/時間)×A製品に対する切削部門の配賦基準数値(230時間)
  • B製品に配賦する切削部門の配賦額(96,220円)=切削部門の配賦率(566円/時間)×B製品に対する切削部門の配賦基準数値(170時間)
  • A製品に配賦する組立部門の配賦額(116,900円)=組立部門の配賦率(1,670円/時間)×A製品に対する組立部門の配賦基準数値(70時間)
  • B製品に配賦する組立部門の配賦額(100,200円)=組立部門の配賦率(1,670円/時間)×B製品に対する組立部門の配賦基準数値(60時間)

切削部門の配賦額の合計が切削部門費(226,400円)に、組立部門の配賦額の合計が組立部門費(217,100円)になることを確認しておいてください。

製造部門費を製品(製造指図書)へ配賦する仕訳

切削部門費も組立部門費も仕掛品勘定に振り替えるので、仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 443,500 切削部門費
組立部門費
226,400
217,100

この仕訳を切るだけなら配賦率の計算も配賦額の計算も不要なのですが、製造原価をきちんと計算するためには必要です。

製造部門費を製品(製造指図書)へ配賦する仕訳の勘定連絡図での流れ

上の仕訳を勘定連絡図で表すと次のようになります(この勘定連絡図の製造部門の借方は補助部門費の製造部門への配賦からつながっています。)。

勘定連絡図(第3次配賦)

勘定がどのように流れているのかをきちんと理解しておくことが大切です。

製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦

予定配賦の場合は、各製造部門ごとに予定配賦率を使って製品(製造指図書)に配賦します。配賦差額が発生した場合には、月末に製造間接費配賦差異勘定に振り替えます。

  • 製品に配賦する切削部門の配賦額=切削部門の予定配賦率×その製品に対する切削部門の配賦基準数値
  • 製品に配賦する組立部門の配賦額=組立部門の予定配賦率×その製品に対する組立部門の配賦基準数値

製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦の仕訳

上記の切削部門と組立部門から仕掛品への配賦の仕訳は、切削部門費と組立部門費を仕掛品勘定に振り替えることになるので次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 ××× 切削部門費
組立部門費
×××
×××

また、配賦差額が出た場合、その配賦差額が借方差異(不利差異)の場合は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
製造間接費配賦差異 ××× 切削部門費
組立部門費
×××
×××

貸方差異(有利差異)の場合は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
切削部門費
組立部門費
×××
×××
製造間接費配賦差異 ×××

これらの仕訳を切ることで、各製品が切削部門と組立部門から受けた作業の割合に応じて各製品に製造間接費を配賦する計算手続が完了します。

また、これらの仕訳だけでは各製品にいくらずつ製造間接費が配賦されたのか分かりませんが、製造指図書にはきちんと配賦額が記入されます。

製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦の具体例

資料(補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)(直接配賦法)の続き)

製造部門費(実際額) 配賦基準 予定配賦率
切削部門費 226,400円 機械時間 550円
組立部門費 217,100円 機械時間 1,700円
切削部門 組立部門
A製品の製造のために要した機械時間 230時間 70時間
B製品の製造のために要した機械時間 170時間 60時間

上の資料をもとに各製品への予定配賦額を求めてみましょう。

各製品に配賦する製造部門費の配賦額

  • A製品に配賦する切削部門の配賦額(126,500円)=切削部門の配賦率(550円/時間)×A製品に対する切削部門の配賦基準数値(230時間)
  • B製品に配賦する切削部門の配賦額(93,500円)=切削部門の配賦率(550円/時間)×B製品に対する切削部門の配賦基準数値(170時間)
  • A製品に配賦する組立部門の配賦額(119,000円)=組立部門の配賦率(1,700円/時間)×A製品に対する組立部門の配賦基準数値(70時間)
  • B製品に配賦する組立部門の配賦額(102,000円)=組立部門の配賦率(1,700円/時間)×B製品に対する組立部門の配賦基準数値(60時間)

製造部門費を製品(製造指図書)へ配賦する仕訳

切削部門費の合計額は(126,500円+93,500円=)220,000円、組立部門費の合計額は(119,000円+102,000円=)221,000円です。切削部門費も組立部門費も仕掛品勘定に振り替えるので、仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 441,000 切削部門費
組立部門費
220,000
221,000

また、予定配賦を行った後、月末に実際額の情報が各製造部門から送られてきます。その仕訳は次のようになります(貸方の明細は資料からは不明です)。

借方 金額 貸方 金額
切削部門費
組立部門費
226,400
217,100
諸口 443,500

それぞれ配賦差額が出ているので、製造間接費配賦差異勘定に振り替えます。切削部門費は借方が(226,400円-220,000円=)6,400円多くなっています。この6,400円を製造間接費配賦差異勘定に振り替えるので仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
製造間接費配賦差異 6,400 切削部門費 6,400

借方に製造間接費配賦差異勘定が出てきているので借方差異です。また、予定配賦額が220,000円、実際配賦額が226,400円なので、予定額以上に実際の金額がかかってしまっています。このように考えて不利差異ということもできます。

次は組立部門費です。組立部門費は貸方が(221,000円-217,100円=)3,900円多くなっています。この3,900円を製造間接費配賦差異勘定に振り替えるので仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
組立部門費 3,900 製造間接費配賦差異 3,900

貸方に製造間接費配賦差異勘定が出てきているので貸方差異です。また、予定配賦額が221,000円、実際配賦額が217,100円なので、予定額以下の金額ですんでいます。このように考えて有利差異ということもできます。

この仕訳を切るだけなら配賦率の計算も配賦額の計算も不要なのですが、製造原価をきちんと計算するためには必要です。

製造部門費を製品(製造指図書)へ配賦する仕訳の勘定連絡図での流れ

この仕訳を勘定連絡図で表すと次のようになります(この勘定連絡図の製造部門の借方は補助部門費の製造部門への配賦からつながっています。)。

勘定連絡図(第3次)

勘定がどのように流れているのかをきちんと理解しておくことが大切です。

メルマガ登録フォーム

簿記革命メルマガ「簿記革命通信~簿記1級にラクラク合格する方法~」の登録フォームです。



お名前(名字のみ漢字でお願いします)

メールアドレス

Pocket

タグ:,

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ページトップへ