工業簿記の目的と原価計算の目的

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では工業簿記の目的と原価計算の目的について解説します。

工業簿記の目的

商業簿記、工業簿記に関わらず、簿記の目的は『企業の財政状態と経営成績を明らかにすること』です。そして、企業の財政状態は「決算日における」財政状態、経営成績は「会計期間における」経営成績です。

つまり、簿記の目的は次の2つだと言えます。

  • 企業の決算日における財政状態(どのように資金を調達し、運用しているのか)を明らかにすること
  • 企業の会計期間における経営成績(どれくらい利益や損失が出たのか)を明らかにすること

工業簿記に原価計算が必要な理由

商品販売業では次のような感じで利益や損失は比較的簡単に分かります。

商品販売業

しかし、製造業では次のような感じになってしまい、利益や損失は分かりません。

製造業

つまり、経営成績を明らかにできません。また、財政状態についても、商品販売業では商品の仕入原価が分かっているので期末商品棚卸高が簡単に分かります。

しかし、製造業では、製造原価が商業簿記だけでは分からないので、期末製品棚卸高も分かりません。財政状態も製造業では明らかにできないのです。

では、製造業で財政状態と経営成績を明らかにするためには何が必要なのでしょうか。それは「販売する製品の製造原価(その製品を作るのにかかった費用)」です。

製品の製造原価が分かれば、どれだけの利益や損失が出たのかも明らかにできます。また、製品の製造原価が分かれば期末製品棚卸高も明らかにできるのです。

工業簿記の目的を達成するためには製品の製造原価の計算(原価計算)が必要なのです

原価計算の目的

原価計算の目的は次の2つです。

  • 企業の財政状態と経営成績を明らかにするため
  • 原価管理や経営判断のために必要な情報を得るため

企業の財政状態と経営成績を明らかにするため

この目的については先ほど解説しました。具体的には、次のような金額を計算するためです。

  • 損益計算書に計上する「期首製品棚卸高」「製品の売上原価」「期末製品棚卸高」など
  • 貸借対照表に計上する「製品」など

原価管理や経営判断のために必要な情報を得るため

製品の製造原価が高くなることは企業の利益を減少させることになるため企業にとっては好ましくありません。そこで、企業は企業の製造活動を管理し、原価の上昇を抑える必要があります。これを原価管理といいます。

原価管理は企業にとって重要な経営活動の一つです。しかし、製品の製造原価が分からなければ原価管理なんてできるはずがありません。原価管理をするためにも製造原価が必要なのです

また、販売する製品の価格を決めたり、販売を中止したりといった経営判断も企業にとって重要です。しかし、製品の製造原価が分からないのにその製品の値段は決められません。

利益や損失がどれだけ出ているのか分からないのに販売の中止といった判断ができるわけがありません。合理的な経営判断を行うためにも製造原価が必要なのです

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“工業簿記の目的と原価計算の目的” への8件のフィードバック

  1. みかん より:

    こんにちは、いつもお世話になっております。

    工業簿記で材料の先入先出をおこなう場合
    について教えて下さい。

    <月初在庫なし>

    1月1日
    材料100gを@100で購入
    材料10,000買掛金10,000

    1月2日
    材料50gを@80で購入
    材料4,000買掛金4,000

    1月3日
    材料30gを直接材料費として庫出
    仕掛品3,000材料3,000

    1月4日
    材料70gを直接材料費として庫出
    仕掛品7,000材料7,000

    1月5日
    材料30gを直接材料費として庫出
    仕掛品2,400材料2,400

    1月6日
    1月3日に庫出した材料が20g戻ってきた。
    材料2,000仕掛品2,000

    1月7日
    材料30gを直接材料費として庫出
    仕掛品2,800材料2,800

    計算方法
    単価100×20g+単価80×10g

    1月6日の仕訳については1月3日に単価100円
    で庫出しているので単価100円で逆仕訳をおこなったという考え方で仕訳したのですが、あっているでしょうか?
    またその後1月7日にまた庫出ししたのですが、そのときはやはり、1月6日に戻ってきた単価100のものから消費するという考え方で問題ないでしょうか?

    すみませんが考え方があっているかどうかみてください。よろしくお願いします。

  2. みんと より:

    リョウさん
    おはようございます。

    工業簿記の記事、楽しくなってきましたね(^-^)
    読むのが楽しみでワクワクです♪

    先週末から就活やらでばてていまして・・・(笑)過去問がお留守になっていましたが、また今日からチャレンジします。

    過去問を解きながら苦手論点などなど複数のことを解析しているので過去問2巡目に役立てたいなと思いながら残り3回分、がんばります!!

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。

      簿記の勉強順調そうで何よりです。この調子でメキメキ実力をつけていきましょう。簿記の学習応援しています。私も工業簿記の記事の更新がんばります。

  3. みかん より:

    ■おはようございます。

    おはようございます。
    たびたび質問をしてすみません。

    予定消費賃率をつかって直接工の消費賃金を予定で計算した場合、直接工の間接作業時間と手待ち時間も予定で計算されることになります。

    製造間接費を予定配賦した場合も製造間接費の中に直接工の間接作業と手待ち時間のが含まれることになります。

    月末に実際と比較して差異を求めるのですが、上記の両方を予定で計算していた場合、賃金給料勘定にも賃率差異がでてきますし、製造間接費勘定にも製造間接費差異がでてくることになります。

    つまり差異の金額が2重に集計されることになるのですが、これはどのように処理することになるのでしょうか?

    すみませんが教えて下さい。
    よろしくお願いします。

    • dokuboki より:

      賃率差異勘定も製造間接費差異勘定も出てくるのですが、二重に集計されるというわけではありません。

      製造間接費の実際発生額として与えられる金額は予定消費賃率に基づいた金額になるからです。

  4. みかん より:

    お答えありがとうございます。

    なるほどです。大変わかりやすかったです。

    原価計算期間に発生すると予定されていた製造間接費が間接労務費だけだったとして、

    間接労務費が1000円予定していた。
    間接労務費が1200円実際発生した。

    この場合、製造間接費の貸方も1000円で予定され、借方も1000円になる。

    なので賃率差異が200円借方で発生して
    製造間接費差異は発生しない。

    このたびはお答えいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

    • dokuboki より:

      そういうことですね。理解が早くて素晴らしいです。工業簿記は原価が振替られていくので、その振替のイメージをT字勘定や勘定連絡図でイメージしていくと、たいていの疑問は解決できると思います。

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