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簿記1級と税理士簿記論はどっちが難しい?出題範囲や勉強時間を徹底比較!

  • 簿記2級に合格したから簿記1級か税理士簿記論に挑戦しようと思っているんだけど……
  • 簿記1級と税理士簿記論のどっちに挑戦したらいいのか分からない
  • 簿記1級と税理士簿記論の違いについて教えて!

簿記2級に合格した人がステップアップする場合、簿記1級と税理士簿記論が候補にあがります。しかし、どういう試験なのか知られていないのでどっちに挑戦するべきか判断できない方が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん簿記1級についても税理士試験についても熟知しています。

この記事では簿記1級と税理士簿記論の違いや、あなたがどっちに挑戦すべきか、挑戦する場合のポイントなどを解説します。

この記事を読めば、簿記1級と税理士簿記論の違いが分かり、あなたがどっちの試験に挑戦すべきなのかも判断できるようになります。

結論を一言で言うと、簿記1級には工業簿記と原価計算が含まれますが、税理士簿記論には含まれません。しかし、難易度は税理士簿記論の方が高いです。

将来税理士になるつもりの人には税理士簿記論を、そうでない人には簿記1級がおすすめです。

簿記1級と税理士簿記論の違い

日商簿記2級に合格した人がステップアップしようとした場合、日商簿記1級と税理士簿記論の2つの選択肢があります。

公認会計士もありえますが、現実的ではありません。公認会計士を目指すのであれば、最初から公認会計士を目指し、簿記2級は通過点と設定しておくべきです。

また、米国公認会計士は個人の英語力に差がありすぎるので何とも言えません。税国公認会計士の合格に必要な簿記の力は日商簿記1級と同程度です。

簿記1級と税理士簿記論の違いを表でまとめると次のようになります。

簿記1級税理士簿記論
解答時間3時間2時間
実施回数年2回(6月と11月)年1回(8月)
合格率約10%約20%
受験資格なしあり
試験範囲商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算商業簿記のみ
勉強時間(簿記2級が完璧な状態から)約537時間個人差大
試験問題の特徴時間内に全問解答可能時間内の全問解答不可能
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日商簿記1級の難易度については「簿記1級の難易度と簿記1級の挑戦前にすべき2つのチェック」で詳しく解説しています。

総合的に見て、税理士簿記論の方が日商簿記1級よりもかなり難易度が高いと言えます。

試験時間:簿記1級は3時間、税理士簿記論は2時間

簿記1級の試験時間は3時間です。商業簿記と会計学合わせて90分、15分ほど休憩をはさんで工業簿記と原価計算合わせて90分です。

税理士簿記論の試験時間は2時間です。

実施回数:簿記1級は年2回、税理士試験は年1回

日商簿記1級は年2回、6月と11月に行われます。対して税理士簿記論は年1回、8月に行われます。

日商簿記1級は年に2回チャンスがありますが、税理士簿記論は年に1回しかチャンスがないという意味では税理士簿記論の方が難しいと言えます。

合格率:簿記1級は約10%、税理士簿記論は約20%

日商簿記1級の合格率は約10%、税理士簿記論の合格率は約20%です。日商簿記1級も税理士簿記論も傾斜配点により合格率が調整されています。

傾斜配点により、正解率が高い問題に多くの点数が、正解率が低い問題には少ない点数が割り当てられます。

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傾斜配点については「簿記1級の合格率に隠された2つの真実から分かる合格への道」で詳しく解説しています。

税理士簿記論の試験問題が難しいことが多いので、税理士簿記論の方が日商簿記1級よりも傾斜が大きくつけられることが多いです。

合格率だけを見れば日商簿記1級の方が難しいですが、受験者層に大きな違いがあるので単純比較はできません。

受験資格:簿記1級はなし、税理士試験はあり

日商簿記1級に受験資格はありません。誰でも受験することができます。

対して税理士試験は受験資格があります。代表的な受験資格は次のとおりです。

  • 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
  • 大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
  • 専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
  • 法人又は事業を営む個人の会計に関する事務に通算2年以上従事した者
  • 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務に通算2年以上従事した者
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税理士試験の受験資格については「【完全網羅】税理士の受験資格【受験資格がない人の対策もあり】」で詳しく解説しています。

受験資格がない人は日商簿記1級か全経簿記上級のどちらかに合格してから税理士試験を受験する必要があります。

試験範囲:簿記1級は4科目、税理士簿記論は商業簿記のみ

日商簿記1級の試験範囲は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4つです。対して税理士簿記論の試験範囲は商業簿記のみです。

このように見ると税理士簿記論は日商簿記1級の4分の1であるように思えますが、実際は商業簿記と会計学の試験範囲は同じですので、税理士試験に含まれないのは工業簿記と原価計算の2つだけです。

また、同じ商業簿記でも日商簿記1級と税理士簿記論で微妙に試験範囲が異なります。具体的には次のとおりです。

日商簿記1級には含まれないが、税理士簿記論には含まれるもの(一例)

決算振替仕訳(大陸式)、個人事業主の会計処理、複数仕訳帳制、5伝票制、本支店会計における未達取引、商的工業簿記など

「税理士簿記論には含まれないけれど日商簿記1級には含まれるもの」は商業簿記ではありません。そういう意味で、商業簿記だけで見ると税理士簿記論の方が範囲は広いです。

また、試験範囲になっているという点では同じでも、細かさや難易度が大きく異なる内容もあります。

代表例として「連結会計は日商簿記1級の方が出題頻度、難易度ともに高い」「税効果会計は税理士簿記論の方が出題頻度、難易度ともに高い」です。

商業簿記だけを比較すると、日商簿記1級は税理士簿記論の試験範囲の80%から90%は含まれています。

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日商簿記1級の学習内容については「必見!日商簿記1級で学習する全内容と学習のポイント(商業簿記・会計学編)」で詳しく解説しています。

勉強時間:簿記1級は約537時間、税理士簿記論は目安なし

日商簿記1級の合格に必要な勉強時間は約537時間です。

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日商簿記1級の合格に必要な勉強時間については「【社会人向け】日商簿記1級合格に必要な勉強時間【最短で537時間】」で詳しく解説しています。

対して税理士簿記論の合格に必要な勉強時間は個人差が大きく、何とも言えません。

税理士簿記論は日商簿記1級と比較して、工業簿記と原価計算がないので、学習内容自体は少ないです。

簿記2級までが完璧であれば300時間から350時間あれば税理士簿記論の試験範囲の勉強を終えることができます。

しかし、税理士簿記論は日商簿記1級とは比較にならないくらい「試験のテクニック」が必要になります。簿記の解答テクニックではなく、純粋な「試験のテクニック」です。

純粋な「試験のテクニック」とは具体的には次のようなものです。

  • 問題全体を見て最適な時間配分を素早く見極める能力
  • 問題を読んで、実際に解く前に「その問題を解けるのか」「解けるのであれば何分くらいかかるのか」「配点が何点ぐらい付きそうか」を瞬時に見抜く能力
  • その問題を解くのにかかる時間と得られる点数を比較し、その問題を解くべきかを瞬時に判断する能力(決断力)

こういった能力は一種の「試験的な要領のよさ」で、できる人は特に対策しなくてもできますし、苦手な人ができるようになるためにはどれくらいの時間がかかるのかは目安すらありません。

「試験のテクニック」が必要な理由は「簿記論の問題が絶対に試験時間内に解き終わらない分量になっているから」です。

試験時間内に絶対に解き終わらないということは「かかる時間の割に点数が少なそうなら、仮にその問題が解けるとしてもあえて解かない」という判断が必要になります。

試験問題の特徴:簿記1級は時間が余るが、税理士簿記論では絶対に余らない

先ほどもお伝えしましたが、日商簿記1級と税理士簿記論は問題の分量が大きく異なります

日商簿記1級は商業簿記と会計学を合わせて4ページ程度ですが、簿記論は15~25ページあります。試験時間は簿記論の方が30分長いですが、分量は5倍前後あります。

しかも、簿記論では必要な資料がまとまっていないことが多く、「この情報が加わることで解答が変わってくる」という情報が後ろのページから出てくることもあります。

このような問題構造になっているので非常に解きづらく、簿記論の本試験問題を初見で全ての解答欄を時間内に埋めることができる人はおそらく一人もいません。

時間内に絶対に解き終わらないので、簿記論では「解くのに必要な時間と正解することで得られる点数」を解く前に瞬時に推定し、解いていくことになります

日商簿記1級と税理士簿記論では試験範囲の差よりも試験問題の性質の差の方が大きいです。

税理士になるなら簿記論を、そうでないなら簿記1級を目指すべき

簿記2級まで合格した人がステップアップする場合、「税理士簿記論」と「簿記1級」の2つが考えられます。

税理士簿記論と簿記1級のどちらを目指すべきかですが、判断基準は1つしかありません。「将来税理士になりたいのか否か」です。

将来税理士になりたいのであれば、税理士簿記論は必須になります。

簿記1級に合格しても税理士簿記論が免除されることはありません。税理士になるなら簿記1級に合格していても簿記論にも合格する必要があります。

逆に、将来税理士になるつもりがないのであれば、税理士簿記論を取る必要はありません。社会の評価は税理士簿記論1科目よりも日商簿記1級の方が高いです。

日商簿記1級の知名度が高いというのもありますし、税理士全科目合格ならともかく、簿記論だけであればあくまでも「科目合格」なので、「税理士試験に合格する途中」という印象になってしまいます。

日商簿記1級の方が合格しやすく評価が高いのに簿記論を目指す意味はありません。

例外的に、会計事務所では税理士科目合格者は評価されます。しかし、税理士になるつもりがない人に会計事務所への就職はあまりおすすめできません。

もちろん、税理士を目指す人は簿記論と財務諸表論に合格してから会計事務所に就職するのはおすすめです。

簿記2級→簿記1級→簿記論と勉強するときのポイント

簿記2級→簿記1級→簿記論と勉強するときは次の3つがポイントです。

  • 簿記2級までの内容は完璧にする
  • 簿記論と財務諸表論は同時受験を考える
  • (税理士試験の受験資格がない人は)全経簿記上級も受験する

簿記2級までの内容は完璧にする

完璧の目安は「日商簿記2級の過去問を90分以内に90点以上取れる実力をつけること」です。

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簿記2級の過去問については「【簿記2級】過去問の選び方と使い方【傾向と対策あり】」で詳しく解説しています。

簿記2級までの内容を完璧にしておくことで簿記1級や簿記論の内容をスムーズに身につけていくことできます。

また、簿記論でも簿記2級の範囲から出題される問題もあります。簿記2級レベルの問題は絶対に失点できません。

簿記2級レベルの問題は傾斜配点により多くの配点が与えられます。他の受験生もほぼ正解します。

簿記2級レベルの問題を1問でも間違えたら合格は非常に厳しいと考えてください。

簿記論と財務諸表論は同時受験を考える

簿記1級の合格のあとに簿記論を目指す場合、新しい内容はほとんどありません。時間的にも余裕があります。

簿記論と財務諸表論には「簿記論は計算中心」「財務諸表論は理論中心」といった違いはありますが内容に違いはほとんどないので並行して勉強するのは効果的です。

簿記論と財務諸表論は同時受験をおすすめします。

簿記論も財務諸表論もかなり運の要素があり、実力をしっかりとつけていても不合格になってしまうことは多々あります。

税理士試験は日商簿記検定に比べて悪問が多いです。条件が不足していたり、指示が曖昧だったりして運任せのケースが結構あるのです。

運の要素が高い税理士試験において「1科目ずつ着実に合格していく」というスタイルだと受験期間が長期化します。

税理士試験と財務諸表論を同時に受験して、「両方とも合格できればベスト」「片方だけ合格した場合は、再受験する科目の負担を見ながら税法科目を勉強に追加する」というスタンスがおすすめです。

1日の勉強時間を2時間確保できるなら、簿記論と財務諸表論の同時受験がおすすめです。

(税理士試験の受験資格がない人は)全経簿記上級も受験する

税理士試験の受験資格がない人は日商簿記1級だけでなく全経簿記上級も受験するのがおすすめです。

全経簿記上級も受験することで税理士試験の受験資格を得られるチャンスが年4回に増えます。

全経簿記上級でも税理士試験の受験資格は得られますし、全経簿記上級の方が日商簿記1級よりも難易度が低いです。全経簿記上級の対策は過去問練習のみで大丈夫です。

簿記2級→簿記論と勉強するときのポイント

簿記2級→簿記論と勉強するときは次の3つがポイントです。

  • 簿記2級までの内容は完璧にする
  • 簿記論と財務諸表論の同時受験は原則しない
  • ある程度の受験回数は覚悟しておく

簿記2級までの内容は完璧にする

簿記2級までの内容を完璧にしなければならないのは、日商簿記1級を勉強してから簿記論の勉強に入る人にも当てはまりますが重要なので繰り返します。

完璧の目安は「日商簿記2級の過去問を90分以内に90点以上取れる実力をつけること」です。

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簿記2級の過去問については「【簿記2級】過去問の選び方と使い方【傾向と対策あり】」で詳しく解説しています。

簿記2級までの内容を完璧にしておくことで簿記1級や簿記論の内容をスムーズに身につけていくことできます。

また、簿記論でも簿記2級の範囲から出題される問題もあります。簿記2級レベルの問題は絶対に失点できません。

簿記2級レベルの問題は傾斜配点により多くの配点が与えられます。他の受験生もほぼ正解します。

簿記2級レベルの問題を1問でも間違えたら合格は非常に厳しいと考えてください。

簿記論と財務諸表論の同時受験は原則しない

簿記論と財務諸表論を同時に勉強するのは効果的です。しかし、簿記2級からいきなり簿記論に入った場合は、簿記論の学習の負担が大きいです。

簿記論の学習と合わせて試験テクニックも身につけていかなければなりません。

勉強に専念できる環境にある方や、試験テクニックに自信がある方を除き、簿記論と財務諸表論の同時受験は現実的ではありません。

ある程度の受験回数は覚悟しておく

先ほどお伝えしたとおり、簿記2級からいきなり簿記論の勉強に入った人は簿記論と財務諸表論は1つずつ受験していくことになります。

簿記論も財務諸表論もかなり運の要素があり、実力をしっかりとつけていても不合格になってしまうことは多々あります。

税理士試験は日商簿記検定に比べて悪問が多いです。条件が不足していたり、指示が曖昧だったりして運任せのケースが結構あるのです。

簿記論と財務諸表論を同時受験しない以上、どうしても受験回数は多めになることを覚悟しておく必要があります。

簿記論に合格するまで財務諸表論の勉強を始めないというわけではありません。

仮に簿記論が不合格でもあと少しで合格できる手ごたえがあった場合は、次の年には簿記論と財務諸表論を同時に受験するという判断もありえます。

しかし、日商簿記1級を勉強せずに簿記論の勉強に入るスタンスで1回目の簿記論の受験からそこまでの実力に持っていくのはなかなか難しいのが現実です。

【まとめ】簿記1級と税理士簿記論

簿記1級と税理士簿記論の大きな違いは、「簿記1級には工業簿記と原価計算があるが簿記論にはない」という点と「簿記論は時間内に解き終わらないので試験テクニックが必要になる」という2点です。

簿記1級と税理士簿記論では税理士簿記論の方が難しいです。

簿記2級からステップアップする場合、将来税理士になるつもりの人は税理士簿記論を、そうでなければ簿記1級を目指すのがおすすめです。

税理士を目指す場合、簿記1級に合格してから簿記論を目指すか、最初から簿記論を目指すかはケースバイケースですが、ほとんどの人には簿記1級に合格してから簿記論を目指すことをおすすめします。

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