簿記1級の難易度と簿記1級の挑戦前にすべき2つのチェック

  • 日商簿記1級に挑戦しようと思ってるんだけど……
  • 日商簿記1級の難易度が分からない
  • 日商簿記1級に独学で合格できるか教えて!

簿記1級の難易度は非常に高いと言われています。しかし、実際にどれくらい難しいのかについて語られることは少なく、簿記1級の具体的な難易度が分からないという方は非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。日商簿記1級の難易度についてももちろん精通しています。

この記事では簿記1級の難易度と簿記1級の挑戦前に確認すべき2つのポイントについて解説します。

この記事を読めば日商簿記1級に挑戦する前にあなたがやるべきことが分かります。

結論を言うと、簿記1級は簿記2級を完璧に身につけた人が537時間程度勉強すれば10人に1人が合格できる試験で、簿記1級の勉強に入る前に「簿記2級を完璧にすること」「これから最低1年間、平日2時間の勉強時間を作ること」が必要です

日商簿記1級の難易度

日商簿記1級の難易度を考えるために、まずは商工会議所が公開している難易度に関する情報について知っておきましょう。難易度に関する情報は次のとおりです。

  • 合格率:約10%
  • 合格基準:70%(ただし4科目全て40%以上の得点が必要)
  • 試験時間:3時間
  • 受験回数:6月、11月の年2回

合格率:約10%

日商簿記1級の合格率は約10%です。およそ10人に1人しか合格できない試験であると言えます。簿記3級の合格率40%~60%、簿記2級の合格率10%~30%と比較しても圧倒的に低いです。

もちろん合格率自体が試験の難易度を表すわけではないので参考程度に見ておくべきです。しかし、合格率が低いということは難易度が高いと考える要素の一つであることは間違いありません。

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簿記1級の合格率には勉強の戦略を決める上で重要なことが隠されています。詳しくは「簿記1級の合格率に隠された2つの真実から分かる合格への道」で解説しています。

合格基準:70%(ただし4科目全て40%以上の得点が必要)

日商簿記1級も、日商簿記2級や日商簿記3級と同じで70%得点すれば合格できます。

しかし、日商簿記2級や日商簿記3級と違って「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目のうちどれか1科目でも40%に満たない科目があると、全体で70%以上得点していたとしても不合格になります。

「どれか1科目でも40%に満たない科目があると不合格」という制度があるため、「得意科目で得点を稼ぐ」という勉強では合格が難しく、苦手科目を作らないという勉強を行う必要があります。

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表向きは70%以上得点すれば合格ということになっていますが、実際は上位10%が合格します。詳しくは「簿記1級の合格率に隠された2つの真実から分かる合格への道」で解説しています。

試験時間:3時間

日商簿記1級では「商業簿記と会計学で90分」試験があり、その後15分ほど休憩してから「工業簿記と原価計算で90分」試験があります。全体で試験時間は3時間です。

日商簿記2級や日商簿記3級では試験時間は2時間なので試験時間は1時間長くなっていますが、途中に休憩が入るため1度に集中しなければならない時間は30分短くなっています。

普段学習するときも、「90分間集中する力をつける」という意識で勉強することが大切です。

きちんと合格できる実力があれば時間内に完答できる分量です。特に特殊な対策は必要ありません。

税理士簿記論は絶対に時間内に解けない分量の問題になっています。

そのため「時間がかからない問題を解く前に見抜く能力」や「たとえ解ける問題でもあえて捨てる能力」などを磨く必要があります。

日商簿記1級ではそのような能力を磨く必要はありません。

また、試験時間が「商業簿記・会計学」と「工業簿記・原価計算」で時間が分かれているので、どちらかで多く時間を使うような戦略はとれません。

試験時間の面からも「苦手科目(時間がかかる科目)を作らない」という姿勢が重要です。

受験回数:年2回

日商簿記1級は年に2回受験するチャンスがあります。日商簿記2級や日商簿記3級より1回少なくなっていますが、年に1回しか試験がない税理士試験や公認会計士試験よりはチャンスが多くあります。

受験機会が多ければ多いほど1年での合格率は上がるので、税理士試験や公認会計士試験よりは合格を勝ち取りやすいと言えます。

日商簿記1級と「全経簿記」「全商簿記」との難易度比較

簿記検定には「日商簿記」以外にも「全経簿記」と「全商簿記」があります。これらの試験の中で日商簿記1級は最高難度です。全経簿記にも全商簿記にも日商簿記1級以上に難しい試験はありません。

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日商簿記・全経簿記・全商簿記の難易度比較については「日商簿記・全経簿記・全商簿記の難易度比較【価値比較なら日商が最強】」で詳しく解説しています。

日商簿記1級は簿記資格の中で最高峰ですが、就職や転職のときには難易度に見合った評価はされません。

もちろん簿記の実力の証明にはなりますが、資格よりも実務能力が求められているというのが現状です。

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日商簿記1級と就職(新卒)については「【新卒者向け】簿記1級は就職活動に有利?意味ない?」で詳しく解説しています。

また、日商簿記1級と転職については「簿記1級で転職に成功する考え方【経営15年目の社長が解説】」で詳しく解説しています。

就職や転職に役立てるという意味からは日商簿記2級の方がコスパ的にはおすすめです。

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転職に有利な簿記資格については「【実務未経験者向け】経理への転職に有利な資格3選+1」で詳しく解説しています。

日商簿記1級に合格するための勉強時間は約537時間(8ヶ月~1年)

日商簿記1級の勉強時間の目安は約537時間(平日2時間の勉強で1年強、平日3時間の勉強で8ヶ月強)です。

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日商簿記1級の勉強時間については「【社会人向け】簿記1級の合格に必要な勉強時間の目安」で詳しく解説しています。

日商簿記1級の挑戦前に確認すべき2つのポイント

日商簿記2級の過去問を「1時間30分以内で90点以上」取れること

日商簿記1級に合格するためには「基本をしっかりと身につけること」が極めて重要です。

日商簿記1級における基本は「日商簿記2級までに学習した内容の全て」です。日商簿記2級までであれば「難問」「捨問」にあたるものでも、日商簿記1級では全て基本にあたります。

そう考えると日商簿記2級の過去問は最低でも90点をとる力が必要だと言えます。

また、日商簿記2級の試験時間は2時間ですが、日商簿記2級の内容を完璧に身につけているかどうかという視点で見ると、2時間かかってしまうようではまずいです。

日商簿記2級の過去問を遅くとも1時間30分で解き終えるスピードが必要です。

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簿記2級の過去問は「TAC:合格するための過去問題集 日商簿記2級」がおすすめです。

簿記2級の過去問については「【簿記2級】過去問の選び方と使い方【傾向と対策あり】」で詳しく解説しています。

平日に1日2時間勉強できる環境を10ヶ月作れること

日商簿記1級に合格するのに特殊な才能は特に必要ありません。難易度は高いのですが、きちんとやるべきことをやれば合格することができます。

しかし、「やるべきこと」が日商簿記2級や日商簿記3級とは比べ物にならないほど多いので、相応の環境は必要です。

日商簿記1級は土日と祝日だけの勉強では合格はほぼ不可能です。平日に2時間の勉強時間を確保する必要があります。

また、日商簿記1級は長丁場になりますので1年はその環境を維持する必要があります。

「平日1時間の勉強時間を2年行う」というスケジュールでも構いません。しかし、長丁場になりますのでモチベーションを維持する難易度が上がる点に注意が必要です。

「平日3時間の勉強で8ヶ月」というスケジュールもおすすめです。平日にまとまった時間が取れる人にとってはベストです。

1日あたりの勉強時間をこれ以上に増やすのはお勧めしません。理解が定着する前に次の論点に進むことになり、だんだんと理解が難しくなっていくからです。

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日商簿記1級の勉強時間については「【社会人向け】簿記1級の合格に必要な勉強時間の目安」で詳しく解説しています。

簿記1級は簿記2級を完璧に身につけた人が約537時間勉強すれば10人に1人が合格できる

日商簿記1級は日商簿記2級までよりはるかに難しい試験です。しかし、特別な「生まれつきのセンス」や「才能」は必要ありません。

基本を重視し、苦手科目を作らない姿勢で勉強をしていけば、誰でも合格することができます。

日商簿記1級の勉強を身につけるためには日商簿記2級の内容を完璧に身につけている必要があります。

日商簿記2級の内容を完璧に身につけているかどうかの目安は「日商簿記2級の過去問を1時間30分以内で90点以上取れること」です。

また、日商簿記1級に合格するためには平日に2時間の勉強を1年間続ける必要があります。平日に2時間の勉強を1年間続ける環境を準備することが必要です。

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コメント

  1. 簿記太郎 より:

    こんにちは。コメント失礼します。
    簿記2級の基礎があるかの確認をを151回の過去問をつかってみたのですが、第3問全滅で第1問の問4「追徴法人税等」の勘定科目を使うのが分からなくて74点でした。
    この場合だと1級に進むにはまだ早いのでしょうか。

    • 平野 より:

      コメントありがとうございます。第151回の第3問は難易度が簿記2級をはるかに超えているので高得点は難しいのですが、部分点は取れる問題なので全滅というのが少し気になります。それ以外は工業簿記も含めて心配ありません。

      第151回と第153回の第3問は簿記の実力を確認するのには役に立たない問題なので、これら以外の回を解いてみるのが一番だと思います。他の回で平均して90点程度取れるのであれば簿記1級に進まれて大丈夫だと思います。

      • 簿記太郎 より:

        ありがとうございます。
        他の回はこれから挑戦しようと考えております。
        第1問は、追徴法人税等という勘定科目を知らなくて法人税等調整額だと思ってしまい、解けませんでした。
        第3問は、問題に子会社が2つある、子会社間での取引がある、といった今まで見たことない取引だったので精算表が作成できずに点を失いました。

        追加で141回の第一問の問3の仕訳が仕入割戻の仕訳をしたとは問題に書かれていないので、割戻を行った段階からの仕訳を作成したら間違っていました。
        同回の問4も、研究開発費を備品と処理してしまいました。

        これらのミスがまだあるうちは厳しいでしょうか。

        • 平野 より:

          コメントありがとうございます。

          「追徴法人税等」はかなり重箱の隅をつついたような問題で、これを間違えてしまったからといって簿記の実力がないということにはなりません。

          第3問は難問でしたので失点は当然なのですが、部分点はとりたかったかなと思います。特に簿記1級ではこういった難問が珍しくありませんし、丸々失点してしまうとそれだけで不合格になってしまうので「部分点を取る」という意識は大切です。とはいえ、この「部分点を取る」という意識は簿記1級の勉強を始めてから身につけていくこともできますので、「部分点がとれなかったから簿記1級の勉強に入るべきではない」ということにはなりません。

          第141回の問3についてですが、これは問題文からの読み取りですね。「仕入割戻300,000円が未収入金に含まれている」と書かれている時点で仕入割戻の仕訳「(借)未収入金300,000/(貸)仕入300,000」は切っているということを読み取る必要があります。問4は「研究開発専用」とあるので研究開発費として処理することになります。

          「重箱の隅」「部分点の獲得」「問題文の読み取り」は簿記の実力とは直接的な関係はないのであまり気にしなくていいと思いますが、最後の研究開発については簿記の実力と直接的に関係ある部分です。ただの問題文の読み落としであればミスなのですが、「研究開発専用」という意味をしっかりと読み取ったうえで備品として処理してしまったのであれば、研究開発費についての理解がやや不足しているといえます。

          簿記太郎さんはそれなりの実力はありますので、多少の実力不足については簿記1級の勉強をしながら補っていくという意識でも大丈夫です。他に失点がないのであれば簿記1級に挑戦しても構わないと感じます。ただ、もし簿記1級の勉強をしていて理解不足を感じたら迷わず簿記2級の内容に立ち戻ることが大切です。

          このような形で勉強されるといいのではないでしょうか。

  2. 簿記太郎 より:

    丁寧にありがとうございます。
    部分点をとるという意識は今までなかったです。もしその考えがあったら151回は90点超えていたかもしれません。
    仕訳の問題に関しては、日本語の理解が乏しかったのと、「研究開発費用でも備品は備品」と間違った認識を持ってしまいましたので、ここは2級の基礎が抜けていたと思います。
    他の回については143回の減価償却や145回の繰越利益剰余金、未払法人税なんかの難問奇問を除けばコンスタントに90点は超えていますので、もう1週間くらい2級の基礎を固めてから1級に移行しようと思います。
    ただ今回の2級は第2問、3問と難しかったみたいなので、今後そういった回が出てくると不安になってしまいますね。。
    とはいえ自分の立ち位置が客観的に把握できでよかったです。
    相談に乗ってくださりありがとうございます。

    • 平野 より:

      ご返信ありがとうございます。お役に立ててよかったです。最近の簿記2級の試験はときどき難しすぎるときがあります。そういうときは高得点であるかどうかはあまり気にしなくていいかもしれません。

      簿記の勉強、応援しています。

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