- 仕訳ってどうやって勉強したらいいんだろう……。
- 仕訳が今まで勉強したどれとも似ていなくて、どうしたらいいのか分からない
- 仕訳を効果的に身につけるコツを教えて!
仕訳は他のどの学問とも似ていないので、どうやって勉強したらいいのか分からずに途方に暮れてしまう人が非常に多いです。
私は日商簿記に合格するための通信講座を2012年から運営し、これまでに数百人の合格者を送り出させていただいています。もちろん仕訳をどうやって勉強したらいいのかも熟知しています。
この記事では簿記の勉強を始めてぶつかる最初の壁である「仕訳」の勉強のコツを解説します。
この記事を読めば、仕訳を勉強するときに意識すべきことが分かるので、簿記の勉強をスムーズに進めることができ、どんどん簿記が楽しくなっていきます。
結論を一言で言うと、仕訳を勉強するときには「仕訳は資産・負債・資本・収益・費用の増減を表すものだという意識を常に持つこと」「問題文からその増減額を読み取ることを考えること」が大切です。
仕訳の要素は勘定科目と金額だけ

最も基本的な「1行しかない仕訳」を考えてみましょう。これは次のような形になります。
(借)勘定科目 ×××/(貸)勘定科目 ×××
つまり仕訳をきちんと切るために必要なのは次の4つだと分かります。
- 借方の勘定科目
- 借方の金額
- 貸方の勘定科目
- 貸方の金額
この4つが分かれば仕訳は切れるのです。この4つを求めるために資産・負債・資本・費用・収益の増減を読み取る。ただこれだけです。仕訳を難しく考えすぎないようにしましょう。
仕訳が複数行になっても本質は変わりません。4つが6つになったり8つになったりするだけです。
仕訳を勉強するときの考え方:資産・負債・資本・費用・収益の増減を読み取る

仕訳を作るためには、「借方の勘定科目」「借方の金額」「貸方の勘定科目」「貸方の金額」の4つをきちんと求める力が必要です。
この「仕訳を切る力」は「どれだけの勘定科目を覚えているか」でも「どれだけの仕訳を暗記しているか」でもありません。「暗記」や「記憶」、「思い出す」という意識ではなく「作る」という意識が大切です。
そのためには「4つの要素を一つずつ分解して身につけていくこと」も大切です。
例えば、現金の増加の仕訳について身につけるときも次のようにして考えます。
- 現金は資産である
- 資産の増加は借方に記入する
- 現金の増加は借方に記入する
「借方・貸方」と「資産・負債・資本・費用・収益の増減」の関係については「【日商簿記3級】仕訳のコツ【仕訳のルールと書き方をわかりやすく】」で詳しく解説しています。
このように身につけることで「現金の増加は借方に記入する」とまとめて身につけるよりもはるかに応用がきくようになります。
もちろん、練習量をしっかりと積むことで、3だけが頭に浮かぶようになりますが、それは3だけ覚えているというわけではなく、1や2は当たり前すぎて考える必要がないということなのです。
この「当たり前すぎて考える必要がない」というレベルまで身につけてこそ、その知識や理解を応用することができます。
仕訳を考える方法

見たこともない取引が登場した場合は仕訳を考える必要があります。そのときの仕訳を考える手順は次のとおりです。
- 資産・負債・資本・収益・費用のどれが増減したのかを考える
- 増減した金額を考える
- 勘定科目を考える
1.資産・負債・資本・収益・費用のどれが増減したのかを考える
仕訳は簿記上の取引が発生したときに切ります。「簿記上の取引」とは「資産・負債・資本・収益・費用の増減」です。つまり、これらが増加したり減少したりしたときに仕訳を切るのです。
なので仕訳を切るときに最初に考えるべきことは「資産・負債・資本・収益・費用のどれが増減したのか」です。これが分かれば仕訳の大枠でのイメージはつかめます。
2.増減した金額を考える
次に考えるべきことは「増減した金額」です。勘定科目は後回しで構いません。この増減した金額を考えます。
借方と貸方の金額が一致していれば、あとは勘定科目を決めるだけです。もし一致していなければ何か「資産・負債・資本・収益・費用の増減」を見落としているので、それを考えます。
3.勘定科目を考える
最後に勘定科目を考えます。取引の内容を適切に表す勘定科目を考えればおおむね正解にたどり着けます。
これが仕訳を考えるということです。このように考える力をつけることが大切です。
勘定科目に対する考え方

勘定科目は言葉なので、最終的には覚えていく必要があります。
しかし、勘定科目には絶対的な答えのようなものはありません。
同じものでも別の勘定科目を使うことがありますし、本来は勘定科目を分けるところを重要性が低いためにまとめて一つの勘定科目で表すこともあります。同じものでも複数の勘定科目があることもあります。
- 「小口現金」「小払現金」はどちらも企業が日々の買い物に使う小額の現金を表す
- 「有価証券評価益」と「有価証券売却益」を分けるほどでもないときは「有価証券運用益」と一つにまとめる
- 「貸倒引当金繰入」と「貸倒引当金繰入額」と「貸倒償却」は全て同じ意味である
このように勘定科目はある程度企業が自由に決めることができます。極端なことを言えば「企業内部で分かれば何でもいい」ということになります。
勘定科目については細かいことを気にしないことも大切です。
仕訳を通して考える習慣をつける

仕訳問題や精算表、試算表などの問題は仕訳を通して考えている人がほとんどです。仕訳を通さずに問題を解こうとしている人が多いのは次のような論点です。
- 補助簿
- 伝票
このような論点であっても、常に仕訳を意識しましょう。仕訳を意識することで分かりやすくなるからです。
仕訳とは結局のところ、資産・負債・資本・収益・費用の増減を記録するもので、極めてシンプルなものです。このシンプルな「仕訳の考え方」を使うことで、複雑な論点がシンプルに見えてきます。
シンプルに見えてくると理解もスムーズに進みます。単純に考えるために仕訳を通して考えるのです。
【まとめ】簿記3級から意識すべき仕訳の勉強の5つのコツ

仕訳を勉強するときに最も重視すべきコツは「仕訳を切るときには借方と貸方の勘定科目と金額を求めるために、資産・負債・資本・費用・収益の増減を問題文から読み取る」という意識を常に持っておくことです。決して覚えたものを思い出そうとしてはいけません。
仕訳を勉強するときの2つ目のコツは「現金は資産である」「資産の増加は借方に記入する」「現金の増加は借方に記入する」といったように、自分が理解できる部分まで分解して勉強することです。最初は面倒ですが、仕訳に慣れればすぐに「現金の増加は借方に記入する」と頭に浮かぶようになります。
仕訳を勉強するときの3つめのコツは「資産・負債・資本・費用・収益の増減→増減した金額→勘定科目」という流れで考えていくことです。慣れてくれば勘定科目は最初に頭に浮かぶようになるので、そうなったら、この流れにこだわる必要はありません。
仕訳を勉強するときの4つ目のコツは「勘定科目については細かく気にしないこと」です。ある程度おおざっぱで構いません。試験では使うべき勘定科目が指定されるので、その勘定科目を使えば大丈夫です。
仕訳を勉強するときの5つ目のコツは「補助簿や伝票を勉強するときでも仕訳を考えること」です。簿記の勉強で仕訳と無関係のものは基本的にありません。補助簿でも元の仕訳があります。仕訳を意識すればするほど簿記も上達します。
仕訳を勉強し始めたときはこれら5つのコツを意識すればスムーズに勉強を進めることができます。仕訳に慣れたら、これらのコツにこだわる必要はありません。最初だけ5つのコツを意識してください。

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