記憶のメカニズムから考えられた記憶力を高める訓練法

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。

  • 記憶とは一体何なのか。
  • どういう仕組みで記憶されるのか。
  • 年をとったら記憶力は衰えてしまうのか。
  • なぜ忘れてしまうのか。

記憶に関してはたくさんの謎であふれています。確かに記憶に関しては謎がたくさんです。この記事では記憶に関する研究を紹介しながら、記憶力を高める方法についてお伝えします。

記憶力とは何なのか

記憶力を高める方法を理解するためには「記憶力とはそもそも何なのか」を知っておく必要があります。そこで、まずはじめに記憶力について説明します。記憶力の特徴は次のとおりです。

  • 記憶力には個人差はほとんどない
  • 記憶には長期記憶と短期記憶がある
  • 年齢によって得意な記憶がある
  • 人間は忘れるようにできている

記憶力には個人差はほとんどない

記憶力には個人差はほとんどないと考えられています。また、年齢による衰えもほとんどないということが分かってきています。確かに10%ほど衰えるようですが、この程度であれば10%多く勉強すればいいだけなのでそれほど大きなハンデとは言えません。

年を取ることで記憶力が落ちたと感じる理由は、年齢を重ねることで色々なことに新鮮味がなくなって興味が持てなくなることで覚えにくくなっていくからです。興味さえ持てれば若い頃と大きくは変わらない記憶力で身につけることができるのです。

ちなみに、経験的に記憶力のいい人、悪い人がいたと感じる人もいるでしょうが、これは記憶力そのものではなく記憶の質の違いです。記憶の質が高くて忘れにくいのです。「理解して覚えたものは忘れにくい」「理解してないものは忘れやすい」ということです。

つまり、「記憶力のいい人はよく理解している」「記憶力の悪い人はあまり理解していない」ということだと言えます。

記憶には長期記憶と短期記憶がある

一言に記憶と言っても、記憶には「短期記憶」と言われるものと「長期記憶」と言われるものがあります。

短期記憶

短期記憶とはすぐに忘れてしまうもので、「電話をかけるときに電話番号を押すまでの間の記憶」や「黒板をノートに写す時に黒板を見てからノートに書くまでの間の記憶」などがあたります。

短期記憶は「数字」や「意味がない文字列」で7つが限界と言われています。つまり、一度に多くは覚えられないのです。

長期記憶

長期記憶とは長い時間忘れない記憶のことで、今この瞬間に記憶していることの大半は長期記憶だと思います。長期記憶は文字通り「長期間忘れない」という特徴があります。

簿記を勉強するときに大切なのは長期記憶の方です。数秒間しか記憶できない短期記憶は役には立ちません。なので長期記憶として記憶しなければ意味がありません。勉強するときは「長期記憶」を意識することが大切です。

長期記憶には「知識記憶(意味記憶・丸暗記)」と「経験記憶(エピソード記憶・論理だった記憶)」があります。

知識記憶(意味記憶・丸暗記)

知識記憶とは言葉などを暗記した記憶で「鎌倉幕府を開いたのは源頼朝」といったような記憶のことを言います。

知識記憶には「意識的には思い出すことができない」という特徴があります。これは先ほどの例で言うと「鎌倉幕府を開いたのは誰ですか?」と問われるか、自分で問うかしなければ源頼朝という言葉は思い出せないということを意味します。

意味記憶には思い出す「きっかけ」が必要なので、その「きっかけ」を増やすことで意味記憶でも思い出しやすくなります。その「きっかけ」を増やす一つの方法が多くのことを結びつけて覚えるということで、こうすることで意味記憶の性能も上がります。

経験記憶(エピソード記憶・論理だった記憶)

経験記憶というのは「思い出」などの記憶のことで、論理だった記憶も経験記憶に含まれます。

経験記憶は忘れにくく、また、知識記憶と違って意識的に思い出すことができるという特徴があります。

これらの特徴を踏まえると、思い出しやすくするためには経験記憶にした方がいいということが言えます。そのためには、つまり、知識記憶を経験記憶にするためには、論理的に理解し、また、具体的にイメージすることが効果的です。

そのための具体的な方法として誰かに説明するのもいいと思います。そうすることで、説明するという思い出にすることができるからです。

また、覚えたいことは黙読だけでなく音読するのも効果的です。

黙読は目だけの記憶になるので経験記憶にはなりにくいのに対して、音読することで耳と口も動くことになり、経験記憶になりやすくなるからです(経験とは五感でするものなのでできるだけ多くの感覚器官を使う方が経験記憶になりやすくなります。)。

ちなみに、記憶には「似たものをよく理解しないまま無理やり覚えようとすると、お互いが混ざってしまう」という性質があります。これは「混同」や「勘違い」の原因にもなり、こうなるくらいなら覚えない方がよかったということにもなりかねません。

なので、無理して多くを覚えようとしないという姿勢も必要です。特に試験直前は無理して詰め込みがちになるので特に注意が必要です。理解したところだけを確実に覚えるようにすることをお勧めします。

年齢によって得意な記憶の種類がある

年齢に応じて得意な記憶の種類があります。例えば、「絶対音感は子どものときに身につけないと身につかない」と言われますが、これは「子どもの頃が音感の記憶が得意だから」です。

また、「大人になって外国語を身につけるのは非常に大変だ」とも言われますが、これも「年齢」と「得意な記憶」に関係があります。

脳科学的には「年齢」と「得意な記憶」に関しては次のように言われます。

  • 絶対音階の記憶は3~4歳までに身につけなければ身につかない
  • 言語は6歳くらいまでに身につけなければ身につかない
  • 小学生までは意味記憶が得意
  • 中学生になると経験記憶(論理だった記憶力)が発達してくる
  • 高校生以降は経験記憶(論理だった記憶力)が強い

絶対音階の記憶は3~4歳までに身につけなければ身につかない

絶対音感は3~4歳までに身につけなければ身につけることはできません。

言語は6歳くらいまでに身につけなければ身につかない

言語は6歳くらいまでに身につけなければ本当の意味で身につけることはできないと言われています。もちろんそれ以降でも身につけることはできるのですが、それはあくまでも「外国語」としてであって、「母国語」や「ネイティブ」と言われる形で身につけることはできないのです。

これに関しては才能もあるとも言えますので、絶対的なものではないようですが、子どもの頃に身につけることに比べて、身につけるのが格段に難しくなることは間違いありません。

小学生までは意味記憶が得意

小学生までは意味記憶が得意です。なので九九のように理屈抜きに記憶するような勉強を小学生のうちに行うように学校教育のカリキュラムは組まれています。

大人になってから九九を覚えるのは至難の技なのですが、それも脳の特性によるものです。

中学生になると経験記憶(論理だった記憶力)が発達してくる

中学生になると経験記憶(論理だった記憶力)が発達してくるのですが、意味記憶もまだ強いので丸暗記でも何とかなります。中学生は個人差が大きいので、人によっては経験記憶の方が強くなり、そういった人は丸暗記が苦痛になっていきます。

高校生以降は経験記憶(論理だった記憶力)が強い

高校生になると、圧倒的に経験記憶の力が強くなってきます。なので、高校生以降の意味記憶(丸暗記)は効率が悪いだけでなく、苦痛を伴うのが通常です。

よく中学生までは勉強が得意だったのに高校生になって勉強が苦手になる人がいますが、それは中学生までは通用した意味記憶(丸暗記)が高校生になると通用しなくなるからです。

このように年齢に応じて得意な記憶と言うものがあります。年齢によって記憶力が落ちていると言うことではなく、得意な記憶が変わっているのです。

簿記を勉強するときには、こうした記憶の性質も踏まえてするといいと思います。

人間は忘れるようにできている

人間は忘れるようにできています。パソコンのように一度保存したら削除しない限り残り続けるようにはできていないのです。なので、人間は覚えても忘れるようにできているということを前提に勉強を考える必要があります

人間は覚えた瞬間からどんどん忘れていきます。最初は確かな記憶が時間がたつごとに曖昧になっていくのはそのためです。

忘れにくくするために必要なこと

人間は覚えても忘れるようにできています。なので忘れないように対策をする必要があります。記憶の特徴から考えると、忘れにくくするためには次の2つの方法が効果的だと言えます。

  • きちんと理解すること
  • 覚えていることを思い出すこと

きちんと理解すること

「理解して覚えたものは忘れにくい」「理解してないものは忘れやすい」ので、忘れにくくするためにはしっかりと理解することが必要です。丸暗記で大量に反復する勉強法では、ある程度の分量がある試験では厳しいといえます。

覚えていることを思い出すこと

忘れないための唯一の対策法が「思い出すこと」です。思い出せば思い出すほど忘れていくことにブレーキをかけることができます。

この「思い出すこと」が復習になります。復習は忘れてしまったことをやり直すことではありません復習はまだ覚えていることを忘れないようにするためのものなのです。ここは非常に誤解されているところなのでぜひ押さえておいてください。

復習の2つの方法

「復習はまだ覚えていることを忘れないようにするためのもの」という前提から考えると、復習は次の2つが考えられます。

  • ただ単に学習した内容を頭の中で思い出す
  • 学習したことを使って問題を解く

ただ単に学習した内容を頭の中で思い出す

勉強が終わったあとなど、学習が一段落ついたタイミングで、そこまでの内容を思い出します。「テキストを読み、何も見ずに思い出そうとして思い出せなければテキストで確認する」といった形でやってみるのがいいと思います。

これはあくまでも例で、方法は何でも構いません。勉強した直後だけでなく、寝る前などでも構いません。「勉強した内容を思い出す」という復習をできるだけ多くの回数やってみてください。自然に覚えられている量が劇的に増えます。

学習したことを使って問題を解く

まず問題を解くのは勉強当日ですが、それだけではありません。翌日、1週間後といった形で何度も繰り返し問題を解いていきます繰り返せば繰り返すほど忘れにくくなっていきます

覚えずに身につけるための脳のメカニズムとそれを利用した勉強法を理解する

記憶力そのものをよくする方法

記憶力は「覚える」力ではありません。「思い出す」力です。まずはこの点を意識しておいて下さい。

人間の脳は1度見たり聞いたりしたものは忘れないといわれています(あくまでも一説ですが、そういう説があります)。数年前の、すっかり忘れたと思っていることを夢で見たりすることがあるのはそのためです。

「覚えられない」のではなく「思い出せない」のです。なので「覚えよう」とするのではなく「思い出せるようにしよう」というスタンスが正しいです。ちなみに、「歌にして覚える」「語呂合わせで覚える」というのも「いかに思い出すのか」という点を意識した覚え方です。

では思い出す力をつけるにはどうしたらいいでしょうか。それには「思い出す訓練をすること」が一番です。思い出す訓練を重ねれば思い出す力がついてきます。思い出す訓練の一例として次の方法を提案します。

  1. 読んだことがない本を用意する
  2. その本を1分だけ読む
  3. 1分たったら、直後に1分間で思い出せる単語をひたすら書き出す
  4. どれだけ合っていたか答え合わせをする

1.読んだことがない本を用意する

読んだことがない本を用意します。興味がある本や読もうと前から思っていた本、比較的読みやすい本などがいいと思います。いくら「思い出す力」をつけることが目的だといっても、全く興味がない本や難しい本を選んでもいいことはないのでお勧めしません。

ちなみに、企業会計原則や企業会計基準などを使えば会計学の勉強になりながら記憶力を高められて一石二鳥です。

2.その本を1分だけ読む

キッチン・タイマーを用意して、1分で音が鳴るように設定し、その1分間だけ本を読んでください。このとき「覚えよう」として本を読まないことが大切です。これは覚える訓練ではなく思い出す訓練です。本を読むときはいつもと同じように読んでください。

3.1分たったら、直後に1分間で思い出せる単語をひたすら書き出す

1分たったら、すぐにまた1分計りはじめながら、今読んだ本に出てきた「単語」をどんどん書き出します。

いくら単語とは言っても「助詞」や「助動詞」といった、それだけでは意味のない単語は書き出しません。「名詞」や「動詞」など、それだけで意味がある単語を書き出します。

もしできるのであれば「一文丸ごと」書き出しても構いません。この1分間では思い出すことに集中してひたすら書き出します。

4.どれだけ合っていたか答え合わせをする

1分たったら答え合わせです。書いた単語がいくつ合っていたか数えてみましょう。同じ単語を2つ書いていた場合は、1つと数えます。

個数の目安はおおよそ次のような感じになると思います。

  • 10個未満…思い出す力が低下している場合、このくらいの個数になると思います。気にしないで下さい。この訓練を続ければどんどん増えます。
  • 10個~20個…一般的な「思い出す力」を持っている人が初めてこれをやった場合、ここにあてはまります。これから訓練を続ければ個数が増えていきます。
  • 20個~40個…「思い出す力」がいい人は最初からこの個数を書き出せますが、普通はいきなりこの個数は出せません。かなりいい「思い出す力」です。
  • 40個~60個…このあたりが上限になってきます。なぜなら、1分間ひたすら単語を書き続ける状態でも60個以上書くのはかなり厳しいからです。この個数を安定して書き出せるようになったら、十分だと納得してもいいし、より高いレベルに挑戦するのであれば、2分間へと時間を延長して訓練を続けることもできます。

この訓練を1日1回継続して行ってみるといいと思います。どんどん書ける数が増えていきます。

まとめ

  • 興味を持って勉強することで、ご高齢の方でも若い人と同じように覚えることができる。
  • 論理的に理解し、具体的にイメージしながら勉強することで長期間覚えておくことができる。
  • 誰かに説明してみる、音読するのも長期間覚えておくのに効果的。
  • 無理して覚えようとせず、理解したところだけ確実に身につけていく。
  • できるだけ多くの回数を思い出す意識で復習する。
  • 思い出す力を訓練することで記憶力を強化できる。

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