- 170回の日商簿記1級の試験を受験してきたんだけど……
- どの問題を解くべきで、どの問題を捨問にすべきかわからない
- 合格するための過去問の解き方や復習のコツを教えてほしい!
日商簿記1級の本試験の問題で、どうやって合格点を取ったらいいのか分からずに悩んでいる人は多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。日商簿記1級に合格するためにどのように本試験問題に取り組んだらいいのかも分かっています。
この記事では日商簿記1級170回の本試験問題の解き方、どの設問を解くべきか、合格点を取るために普段の勉強にどう取り組むべきかを解説します。
この記事を読めば、簿記1級の本番で合格点を取るために必要な考え方、やるべきことが分かります。
結論を一言で言うと、日商簿記1級で合格点を取るためには、枝葉末節の論点に惑わされずに基本的な考え方をしっかりと身につけ、ミスを減らすことが大切です。
日商簿記1級(170回)の各科目の傾斜配点予想
傾斜配点は実際の採点結果をもとに配点を操作することで行われます。実際の配点は外部から知ることはできませんので、受験生の得点状況から推測したものになります。
商業簿記の傾斜配点
商業簿記の配点は次のようなものになると考えられます。
- 問1:解答欄15か所のうち5か所が2点、10か所が1点(どこが2点になるかはわかりません)
- 問2:5点(各1点)
問1の解答欄が15か所、問2の解答欄が5か所で、合計20か所あります。25点満点なので、ほとんどの解答欄が1点、5か所だけ2点になると考えるのが自然です。
この問題の難易度はかなり高いです。どの5か所の解答欄が2点になるのかは正直分かりませんが、問1の中で正答率が高かったところになると思われます。
会計学の傾斜配点
会計学の配点は次のようなものになると考えられます。
- 第1問:4点(各1点)
- 第2問:5点(減損損失・帳簿価額セットで各1点)
- 第3問:問1が6点(「0」以外の解答欄に各1点、「工事原価」には配点なし)、問2が8点(各1点)、問3が2点(各1点)
第1問の解答欄が4か所で、各2点だと大きすぎるので各1点が妥当です。第2問は減損損失が分かれば帳簿価額は簡単に求まるので、減損損失と帳簿価額はセットで各1点と考えました。
第3問の問1は解答欄が15か所ありますが、「0」の解答欄には配点がないと考えられます。また、工事原価は問題文にそのまま書いてあるので配点はないでしょう。
第3問の問2は解答欄が8か所あります。問題文にそのまま書かれている数字もありますが、それなりに考えることもあるので、全ての解答欄に1点あると考えています。第3問の問3は、各1点でしょう。
この問題の難易度は第1問が枝葉末節の知識を問う問題でやや難しいですが、第2問と第3問はやや易しいです。ただ、第2問と第3問は、解答の序盤で計算ミスをしてしまうと、それから先で連鎖的にミスをしてしまう可能性があります。
問題は比較的易しいですが、ミスには要注意です。連鎖的なミスをした受験生が多すぎるケースを除いて、大きな傾斜配点はないと考えられます。
第2問は減損会計、第3問は工事契約です。どちらも標準的な難易度で、ミスが勝敗を分けそうです。第3問の「工事損失引当金」が少し難しいですが、それ以外は全て得点したいところです。
第1問はやや税理士試験受験生に有利な問題だと感じます。簿記1級のテキストの中には「繰延法」や「資産負債法」といった言葉すら出てこないものも多いです。
工業簿記の傾斜配点
工業簿記の配点は次のようなものになると考えられます。
- 全ての解答欄各1点
工業簿記は解答欄が25か所ぴったりです。おそらく意図的にそうしています。難易度はやさしめですので、傾斜配点はおそらくかからないでしょう。
原価計算の傾斜配点
原価計算の配点は次のようなものになると考えられます。
- 第1問:8点(各2点)
- 第2問:問1が5点(解答欄のいずれか5か所に1点ずつ)問2が2点、問3が4点(各1点)問4が6点(1と2が各2点、3と4が各1点)
問題の難易度は標準的なのですが、第2問の問2の「加重平均資本コスト率」をミスしてしまうと問3と問4を全て間違えます。
原価計算はこのように一つミスをしてしまうと、そのミスが原因で多くの解答欄を失点してしまうケースが多いです。ミスを徹底的に減らして試験に臨み、試験中もミスを減らすことに最大の注意を払うことが大切です。
【超具体的】日商簿記1級170回本試験問題の解き方の流れ
ここでは本試験問題を実際にどのように解くべきか、私の答案作成をベースに超具体的に解説します。試験本番で苦戦している人はぜひ参考にしてください。
商業簿記・会計学
「商業簿記・会計学」の90分の使い方の概要は次のとおりです。
- 解答開始と同時に試験問題全体を眺め、分量と出題論点を確認し、大雑把な時間配分を決める(1分)
- 会計学の第1問を解く(4分)
- 会計学の第2問を解く(6分)
- 会計学の第3問を解く(13分)
- 商業簿記を解く(57分)
- 解答総チェック(9分)
では早速、超具体的にお伝えしていきます。
1.解答開始と同時に試験問題全体を眺め、分量と出題論点を確認し、大雑把な時間配分を決める(1分)
まず最初に商業簿記と会計学の全ての問題をざっと眺めます。読む必要はありません。把握すべきは「問題のおおまかな分量と予想解答時間」です。
過去問練習を十分にしておけば分量と解答時間は想像がつくのですが、それでも今回だけ特別に異なる可能性はあります。
試験の性質上、商業簿記と会計学のどちらも最低10点取らなければいけませんので、時間配分のミスは致命傷になってしまいます。
最初に「問題のおおまかな分量と予想解答時間」を把握しておくことが大切です。
今回(170回)は商業簿記で「損益計算書」「貸借対照表(一部)」が出題されています。分量は普通からやや多めといったところです。
会計学では「選択問題」「減損会計」「工事契約」が出題されています。分量は通常通り、選択問題は短時間での解答が可能なので、時間も少なめで済みそうです。
ざっくりと「商業簿記:60分」「会計学30分」といった計画を立てます。問題文の熟読はまだしません。
ここまでを1分で行いました。
2.会計学の第1問を解く(4分)
会計学の第1問が選択問題なので、短時間での解答が可能です。最初に解いて勢いをつけようと考えました。よって会計学から解答していきます。
第1問はかなり枝葉末節のところが問われていて、解きにくいと感じました。迷った場合は時間を使いすぎないように意識しています。
手ごたえとしては「3」は自信があるが、それ以外は何とも言えないという状況でした。2問正解と想定しておきます。
ここまでで5分です。
3.会計学の第2問を解く(6分)
第2問では「減損会計」が問われています。きちんと学習していればなく解けます。計算ミスに気をつけながら解答しました。
解く手順が問題文に書かれている上に解きやすい問題だったので手ごたえはかなりありました。全問正解できていると感じています。
4.会計学の第3問を解く(13分)
ここまでで11分です。我ながらいいペースです。引き続き会計学の第3問を解いていきます。
問1を解く(7分)
じっくりと問題文を読んでいきます。収益認識と組み合わさっていますが非常に標準的な問題です。第1期から第4期まであるので、第1期でミスしてしまうと第2期以降答えが合わないものもありそうです。
時間的には比較的余裕があるのでていねいに解いていきます。
表でまとめながら丁寧に解くと7分かかりました。ここまでで18分です。
問2を解く(5分)
引き続きじっくりと問題文を読みながら解答していきます。問題自体は基本的なので、ミスに気をつけてあわてずに解答します。
問3を解く(1分)
第1問の選択問題には自信がありませんが、それでもここまでで18点くらいは得点できていると感じています。ここまでで時間は23分経過しています。時間に余裕はありますが、少しでも時間がかかりそうだと感じたら商業簿記を解き始めようと考えていました。
問3を読んでみるとすぐに解けそうだったので飛ばさずに解きました。
問3を解き終えた時点で24分経過しています。おそらく20点くらいは取れているだろうという手ごたえは感じています。
5.商業簿記を解く(57分)
問題全体の把握(3分)
次は商業簿記です。まずは設問分を読み、何を問われているのかを確認します。
特殊商品売買が出題されていること、分量は標準的だが複雑な計算が必要な問題が多そうだと感じます。
各設問の解答(54分)
資料2を見ながら解きやすそうなものから解いていきます。私の場合、1から順番に読みながら「10秒以内に仕訳の道筋が頭に浮かぶ問題」だと思ったら解き、そうでなければ後回しにします。
結果、解答順は「2→5→6→7→8→1→3→4→9」となりました(9は捨てました)。
設問2:キャッシュフロー見積法(6分)
設問2は「キャッシュフロー見積法」です。電卓操作でミスが出やすい論点なので、丁寧に解いていきます。会計学を短時間で解いているので、余裕を持って解くことができています。
設問5:有価証券(3分)
設問5は有価証券です。その他資本剰余金を財源とする配当の処理が少し細かい論点ですが、それ以外は特に難しいことはありません。丁寧に解いていきます。
設問6:為替予約(6分)
設問6は為替予約の問題です。標準的な問題ですが、為替レートを使うときに計算ミスしやすいです。あわてず丁寧に解いていきます。
設問7:減価償却(8分)
設問7は減価償却です。圧縮記帳が出てきたり、改訂償却率が出てきたり、資産除去債務が出てきたりして、一筋縄ではいきません。一つ一つ丁寧に解いていきます。
設問8:新株予約権付社債(4分)
設問8は新株予約権付社債です。またしても計算が複雑で電卓ミスを誘う問題です。タイムスケジュールを描いて丁寧に解いていきます。
ここまでで求まった解答欄を埋める:3分
とりあえず時間がかかりそうな設問1の特殊商品売買と、設問1を解かなければ解けない設問3と設問4、全てを完璧に解かないと解けない設問9以外は全て解きました。
そこで、このタイミングで現時点で解答用紙に記入できる金額を記入しておきます。
この時点で57分が経過しています。現時点で10点から15点くらい得点できている手ごたえはあります。会計学と合わせて30点から35点くらいなので合格ラインには少し足りません。残りの時間で、後回しにしている「設問1」「設問3」「設問4」を解いていきます(設問9は捨てます)。
設問1:特殊商品売買(14分)
いよいよ設問1を解いていきます。一般商品売買と割賦販売と未着品売買が混ざって出題される難問です。
本来であれば設問1は後回しにしてこれまで解いた問題を確認すべきですが、ここまで丁寧すぎるくらい丁寧に解いてきているので特にミスはなさそうだと感じています。そのため、設問1にトライしています。
思った通り複雑な問題でしたが、何とか解答できました。ここを間違えてしまえば設問3と設問4も間違えてしまう可能性があるので特に丁寧に解きました。
ここまでで71分が経過しています。
設問3:貸倒引当金(7分)
設問3は貸倒引当金の問題です。特に難しいことはないのですが電卓ミスがしやすいので丁寧に解いていきます。今回は電卓ミスが発生しやすい問題だと感じています。
また、「割賦売掛金」と「貸倒引当金」が間違えていたら自動的に間違えてしまうので、先にこれらの金額が合っているのか確認し、それから解いています。
ここまでで78分が経過しています。
設問4:商品保証引当金(3分)
設問4は商品保証引当金です。問題自体は簡単なのですが、「売上高」の金額が間違えていると自動的に間違えてしまうので、先に売上高の金額が合っているのか確認し、それから解いています。
ここまでで81分が経過しています。9分を残して解答を全て終えました。
7.解答総チェック(9分)
本当は10分残したかったのですが、9分しか残せませんでした。残りの9分で解答の総チェックをします。途中で確認を入れながら解いていますし、ミスはまずないだろうとは思うのですが、念には念を入れて確認しました。
特に、1つのミスが複数の解答欄に影響するようなところは念入りに確認することが大切です。
これで時間終了です。
結果
私が推測した配点での結果は次のとおりです。
- 会計学:25点/25点
- 第1問:4点/4点
- 第2問:5点/5点
- 第3問:16点/16点
- 商業簿記:21点/25点→傾斜配点後23点/25点
- 問1:17点/20点→傾斜配点後19点/20点
- 問2:4点/5点→傾斜配点後4点/5点
商業簿記と会計学の合計で46点となりました。会計学の第1問が全問正解できたのは運がよかっただけです。
商業簿記では「貸倒引当金(総額)」「貸倒引当金繰入」「法人税、住民税及び事業税」を失点しました。「法人税、住民税及び事業税」は捨てたのでいいのですが、「貸倒引当金」は、貸倒懸念債権の貸倒引当金と売上債権の貸倒引当金を混ぜてしまい、間違えてしまいました。
凡ミスはありましたが、9割得点できたので、おおむね満足のいく結果です。
ちなみに、【簿記革命1級】の受講生の方が準備万端で解いた場合、ミスがなければ次のようになります。
- 会計学:22点/25点
- 第1問:1点/4点
- 第2問:5点/5点
- 第3問:16点/16点
- 商業簿記:15点/25点→傾斜配点後19点/25点
- 問1:11点/20点→傾斜配点後15点/20点
- 問2:4点/5点→傾斜配点後4点/5点
商業簿記の特殊商品売買は【簿記革命1級】で非常に詳しく学習しています。しかし、今回の出題は非常にミスをしやすい問題だったので解答するのは難しかったと思います。そのため、ここでは設問1と設問3と設問4が全く解けなかったという前提で点数を出しています。
【簿記革命1級】の受講生の方が準備万端で解いた場合、ミスがなければ商業簿記と会計学の合計で37点(傾斜配点後41点)取ることができています。工業簿記と原価計算で大きなミスをしない限り合格できる得点です。
実際には、ノーミスというわけには行きませんが、商業簿記と会計学あわせて8点までの失点なら合格圏内です。
工業簿記・原価計算
「工業簿記・原価計算」の90分の使い方の概要は次のとおりです。
- 解答開始と同時に試験問題全体を眺め、分量と出題論点を確認し、大雑把な時間配分を決める(1分)
- 工業簿記を解く(20分)
- 原価計算の第1問を解く(13分)
- 原価計算の第2問を解く(21分)
- 解答総チェック(35分)
では早速、超具体的にお伝えしていきます。
1.解答開始と同時に試験問題全体を眺め、分量と出題論点を確認し、大雑把な時間配分を決める(1分)
まず最初に工業簿記と原価計算の全ての問題をざっと眺めます。読まなくて構いません。把握すべきは「問題のおおまかな分量と予想解答時間」です。
過去問練習を十分にしておけば分量と解答時間は想像がつくのですが、それでも今回だけ特別に異なる可能性はあります。
試験の性質上、工業簿記と原価計算のどちらも最低10点取らなければいけませんので、時間配分のミスは致命傷になりかねません。
最初に「問題のおおまかな分量と解答時間」を把握しておくことが大切です。
今回(170回)は工業簿記で「標準原価計算」が出題されています。問題文が長いのですが、計算はそれほど複雑ではなさそうな印象です。問題文の意味さえスムーズに読み取れれば時間はかからなさそうです。
原価計算では「業務的意思決定」「事業部制」が出題されています。どちらも条件設定が細かそうで、それなりに時間がかかりそうだと考えました。
ここまで確認したことをふまえて、ざっくりと「工業簿記:45分」「原価計算:45分」といった計画を立てました。仮に工業簿記を45分で解き終えることができなかったとしても、45分たったら残りは解かずに原価計算に移ることを意識しました。
問題文の熟読はまだしません。
ここまでで1分です。
2.工業簿記を解く(20分)
問題が文章の穴埋め形式なので、問題文をていねいに読みながら解答していきます。内容的には簿記2級レベルですが、かなり踏み込んだ内容まで問われていて、暗記では解答できない問題になっています。
ボックス図やシュラッター図を描きながら解きました。ミスに気をつけながらていねいに解いた結果、20分かかっていますが、当初の予定よりは大幅に早く解き終えています。
3.原価計算の第1問を解く(13分)
ここまでで21分経過しています。工業簿記では最低でも20点は得点できている(満点の自信もある)と感じていたので、かなり精神的に余裕がありました。
第1問が「業務的意思決定」、第2問が「事業部制」でしたが、私は「業務的意思決定」の方が得意なので、第1問から解くことにしました。
第1問の全体を確認する(1分)
まずは全体確認をします。重要な指示や数値にしるしをつけながら問題文を熟読します。
問1を解く(2分)
計画営業利益は問題文に与えられた資料を表にして求めていきます。後で見やすいように、表には計算式も書き残しておきます。時間に余裕があるので、ていねいに計算して解答しましたが、それでも2分で解けています。
ここまでで24分経過しています。
問2を解く(6分)
かなり複雑な資料が与えられています。総額で計算する方法と差額のみを計算する方法がありますが、時間に余裕があることと、イメージしやすいことから、総額で計算する方法を選びました。
「1人あたり受講料」をxとおいて方程式を立てる形で解きました。
資料を読み落とさないように気をつけながら丁寧に解きました。
ここまでで30分が経過しています。
問3を解く(4分)
数学的なセンスが要求される問題です。直接的には【簿記革命1級】では取り扱っていませんが、数学が得意な方は短時間で解答可能な問題です。数学が苦手な人は捨問にしても全く問題ありません。
この問題はかなり変則的な方法で解きました。ほとんどの人は私と同じ解き方はできませんので、一度飛ばしてください。捨問にしても構いません。
この記事は「私が解いた方法」についてお伝えしているので、私が解いた方法をそのまま書きますが、同じ解き方は採用しないことをおすすめします。
この問題は(準固定費を無視した)1人当たり貢献利益が11,190円となっています。そして、準固定費である講師給料が210,000円、事務アルバイト給料が84,000円です。
この情報から、講師給料を回収するためには(210,000円÷11,190円=)18.76……人、つまり、講師を1人増やした場合には19人受講者が増えなければ講師給料を回収できません。
同様に事務アルバイト給料を回収するためには(84,000円÷11,190円=)7.50……人、つまり、事務アルバイトを1人増やした場合には8人受講者が増えなければ事務アルバイト給料を回収できません。
ここまでを踏まえて講師と事務アルバイトの人数と受講者の人数の関係をそれぞれ見ていきます。
受講者数と講師の関係は次のとおりです。
| 受講者数 | 360人以下 | 390人以下 | 391人以上 |
| 講師 | 12人 | 13人 | 14人 |
講師を1人増やした場合、19人受講者が増えなければならないので受講者数が360人から361人になったとたんに講師が1人増え、その講師給料を回収できるのは受講者数が379人になったときです。
つまり、受講者数が361人以上378人以下の場合よりは360人の方が有利です。同様に391人から408人の間の場合よりは390人の方が有利です。
講師の人数との関係から考えた場合には379人から390人の間が有利な範囲です。講師が14人になったとき、講師給料を回収できるのは409人ですので、条件の範囲から外れてしまいます。
次は受講者数と事務アルバイトの関係は次のとおりです。
| 受講者数 | 330人以下 | 385人以下 | 386人以上 |
| 事務アルバイト | 6人 | 7人 | 8人 |
事務アルバイトを1人増やした場合、8人受講者が増えなければならないので受講者数が330人から331人になったとたんに事務アルバイトが1人増え、その事務アルバイト給料を回収できるのは受講者数が338人になったときです。
つまり、受講者数が331人から337人の間の場合よりは330人の方が有利です。同様に受講者数が386人から392人の間の場合よりは385人の方が有利です。
ここまでをまとめます。
- 391人以上408人以下の場合より390人の方が有利(講師人数との関係)
- 386人以上392人以下の場合より385人の方が有利(事務アルバイト人数との関係)
この2つの条件から、最も有利なのは385人だと分かります。それが分かれば、あとは問1と同じ要領で解答することができます。
この解法を使ったので、私は4分で解くことができました。この解法を思い浮かばない場合は、360人から400人の間の人数で5の倍数にあたる人数の計画営業利益を全て求めて比較するのが確実な解法です。
その場合、全部で9個の計画営業利益を求める必要があります。1つあたり2分で作るとして18分かかります。時間がかかるので後回しにして他の問題を全て解いてから解くことが大切です。
4.原価計算の第2問を解く(21分)
この時点で34分経過しています。時間的にはかなり余裕があります。
全体確認(2分)
まず全体を確認します。重要な指示や数値にしるしをつけながら問題文を熟読します。問2の加重平均資本コスト率を間違えてしまうと問3以降のほとんどを間違えてしまう構造になっていることを読み取りました。
問1を解く(3分)
問1は簿記2級レベルの問題です。絶対に失点できません。ていねいに解答します。
問2を解く(2分)
加重平均資本コスト率をていねいに計算します。念のため3回電卓で計算し、感覚と合っているかも確認します。
問3を解く(4分)
これまでどおり丁寧に解いていきます。表でまとめながら計算していきます。
問4を解く(10分)
特に難しいことはなかったはずですが、たくさんの数値に混乱してしまい必要以上に時間を使ってしまいました。時間をかけてしまいましたが、一応解けました。
5.解答総チェック(35分)
ここまでで55分経過しています。かなり時間が残せました。残り35分で最終確認をしていきます。時間がかなりあるので、下書きを見ながら電卓で計算しなおしたりしながら一つ一つ確認しました。
これで時間終了です。
結果
私が推測した配点での結果は次のとおりです。
- 工業簿記:25点/25点
- 原価計算:25点/25点
- 第1問:8点/8点
- 第2問:17点/17点
工業簿記と原価計算の合計で50点となりました。完璧な結果でした。運がよかったです。
ちなみに、【簿記革命1級】の受講生の方が準備万端で解いた場合、ミスがなければ次のようになります。
- 工業簿記:24点/25点(「混合差異」という言葉は【簿記革命1級】で取り扱っていないので失点してしまったかもしれません。ただ、選択問題なので正答は十分に可能です)
- 原価計算:21点/25点
- 第1問:4点/8点(問3で失点)
- 第2問:17点/17点
【簿記革命1級】の受講生の方が準備万端で解いた場合、ミスがなければ工業簿記と原価計算の合計で45点取ることができます。9割得点できているので、商業簿記と会計学で大きなミスをしない限り合格できる得点です。
実際には、ノーミスというわけには行きませんが、工業簿記と原価計算あわせて10点までの失点なら許されます。原価計算の第2問で加重平均資本コスト率を間違えて第3問と第4問を全滅したりしなければ、合格圏内に十分入ります。
日商簿記1級に合格するために普段から心がけるべき勉強のスタンス
日商簿記1級で合格点を取るためには、次の3つを意識して勉強することが大切です。
- 出題論点にヤマを張って勉強しないこと
- 普段から計算ミスを徹底的に減らしておくこと
- 基本的な論点をきちんと理解して身につけておくこと
出題論点にヤマを張って勉強しないこと
170回の試験では、やや時代がかった論点である「特殊商品売買」が出題されました。特殊商品売買をを丸ごと捨てていた人にとっては厳しい試験になりました。
また、今回は連結会計が出題されませんでした。連結会計にヤマを張って勉強していた人は勉強の大部分が点数につながらなかった可能性が高いです。
どこが出題されるかは分かりません。「試験に出題されそうなところを勉強する」のではなく「簿記や会計を身につけるうえで重要な考え方を勉強する」という意識を持つことた大切です。
【簿記革命1級】は重要な考え方を確実に身につけることを重視して作成しています。
普段から計算ミスを徹底的に減らしておくこと
これまで見てきた通り、日商簿記1級であっても重要な論点をきちんと理解して身につけていれば合格はもちろん、80点以上の得点も十分可能です。
しかし、計算ミスをしてしまうと、特に他の解答欄に影響するところで計算ミスをしてしまうと、一気に点数を落とします。
実力があるにも関わらず不合格になってしまう原因の多くは、こういった「連鎖的な失点」にあるのです。連鎖的な失点さえしなければ、基本事項を完璧に身につけておくだけで70点は余裕で届きます。
連鎖的な失点をしないため、「普段の勉強からミスを徹底的に減らしておくこと」「試験中もあわてて解くのではなく、じっくりと基本問題を解き、難問はすぐに捨てること」が大切です。
試験本番でミスを減らすためには普段からミスノートを作っておくことが効果的です。ミスノートの作り方や使い方については「【簿記の勉強法】ノートの作り方【ルーズリーフがおすすめ】」で詳しく解説しています。
基本的な論点をきちんと理解して身につけておくこと
これまで何度もお伝えしてきましたが、本当に重要なのでもう一度お伝えします。
「基本的な論点をきちんと理解して身につけておくこと」「考え方を理解しておくこと」が大切です。
今回は特に暗記では解けない問題が出題されたと感じます。AIのものすごい進化の速さから、暗記することの価値が日に日に低下している現状を日商も意識しているのではないかと思います。
今回(170回)の工業簿記と原価計算の問題は暗記中心で勉強してきた人には合格点は厳しいです。しかし、しっかりと理解中心で勉強してきた人であれば楽に8割は得点できます。満点も狙えます。
明らかに暗記の勉強では合格はどんどん難しくなっています。
基本的な論点をきちんと理解し、ミスを減らしておけば日商簿記1級であっても合格できます。
こういった意識で勉強されてください。

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