日商簿記2級の合格率の低下の理由について

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。近年、日商簿記2級の合格率が低下しています。以前は簿記2級の合格率は平均で30%程度はあったのですが、4回連続で合格率はこの30%に届いていません(第141回~第144回)。

そして、第144回ではついに合格率が13.4%にまで下がっています(第141回も11.8%です)。この記事では、合格率の低下の理由についてお伝えします。

日商簿記2級の合格率の低下の現状

以前は日商簿記2級の合格率は平均で30%程度ありました。そのため、それほど難関というイメージはなかったかと思います。ですが、ここ数回、4回連続して合格率はこの30%に届いていません。そして、ついに直近の第144回で合格率が13.4%にまで下がっています。

この合格率の低下とタイミングが一致しているのが、日商簿記2級の試験範囲の大幅な変更です。試験範囲の大幅な変更と合格率の低下は無関係ではないと私は考えています。

日商簿記2級の試験範囲の大幅な変更の経緯

そもそも日商簿記2級の試験範囲の大幅な変更が行われたのは「日商簿記2級の合格者に簿記の能力が備わっていないことが多いから」です。以前から問題視されていたことですが、簿記2級の合格者が経理課に配属されても期待どおりの働きができないのです。

そのため、企業側からは「簿記2級に合格していても経理で役に立たない」と評価され、それが学習者側の「簿記2級を持っていても就職に役立たない」という不満につながっていました。

その結果、日商簿記を取得するの意味があまりなくなってしまい、日商簿記の受験者数が大きく落ち込んでいたのです。

この状況を何とかしようと考えての日商簿記2級の試験範囲の大幅な変更です。この変更により、近年の実務でよく行われる取引や仕訳を日商簿記2級の試験範囲に取り入れることにしたのです。

試験範囲だけ改定しても意味がない

ですが、試験範囲の変更だけでは「日商簿記2級の合格者が企業の求める人材になる」という目的を達成することは難しいことが分かります。なぜなら「試験合格者が試験範囲の内容をきちんと身につけているとは言い切れないから」です。

以前、簿記3級の合格者を採用したところ、その合格者が現金出納帳を全く記入することができなかったという出来事がありました(聞いた話です。私個人の経験ではありません)。

しかし、この出来事の原因は「現金出納帳が簿記3級の試験範囲ではなかったから」ではないのです。はるか昔から簿記3級の試験範囲に現金出納帳は含まれています。

本当の原因は「簿記3級の試験が現金出納帳を記入する能力がなくても合格する試験だった」ということなのです。

なので本当に日商簿記2級の合格者が企業が求める人材になるためには「試験範囲を現在の実務に合わせる」だけでは足りず、「企業が求める能力を持った学習者が合格でき、そうでない学習者は不合格になる試験を行うこと」が必要です。

その「企業が求める能力を持った学習者が合格でき、そうでない学習者は不合格になる試験を行う」の部分が合格率の低下、つまりは合格者の大幅な減少につながっていると考えられます。

企業が求める人材とは…

では企業が求める人材とはどんな人材なのでしょうか。企業が求める人材を一言で言うと「簿記・会計の考え方をきちんと理解できている人」です。

考え方をきちんと理解できていれば、新しいタイプの取引やその企業独特の取引が出てきても対応できますし、実務で身につけるべきこともスムーズに身につけていけます。

決して「多くの仕訳を暗記している人」ではありません。もしそういう人が必要なのであれば「仕訳処理ハンドブック」や「実務でよくある仕訳集」のようなものを買ってくれば事足ります。わざわざ日商簿記の合格者を雇う必要はありません。

このように考えると、「企業の求める人材」だけを合格させるためには「仕訳を暗記しているだけの人」を不合格にし、「簿記・会計の考え方をしっかりと身につけている人」を合格させなければならないということになります。

こういった視点で日商簿記の問題を見てみると、試験範囲の大幅な改定が行われた後の試験問題は明らかにそのような出題へと変わってきていることが分かります。

では次回、日商簿記2級の合格率の低下を踏まえて、これからの日商簿記2級に合格するために必要な勉強の姿勢についてお伝えします。

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“日商簿記2級の合格率の低下の理由について” への4件のフィードバック

  1. マサ より:

    勉強と実務での差異があり、簿記2級の難易度が上がっているのですね。
    最近は様々な予想問題での対策やTwitterなどで簿記検定受験者同士の情報共有も出来て、一人でもある程度の対策が出来るのもあり難易度が上がっているのだと思っていました。

    それと最近は簿記検定受験者(特に1級)の受験者が著しく減少しているのも難しくなり受けることすら難しくなっているように感じます。

    • admin より:

      コメントありがとうございます。返信遅れて申し訳ありません。

      簿記2級の難易度が上がっていますね。昔は簿記2級までは試験範囲を暗記するだけでも何とかなることもあったのですが、現在はそれではまず不可能です。

      やはり実務に耐えうる実力を持った人に合格してもらわないと採用する企業にとっても受験者にとっても試験主催者側にとってもいいことはないということなのではないかと思います。

  2. 匿名 より:

    違うでしょ
    大問2の問題が事実上不可能になった。
    114回以前と同様、様々なパターンが出るようになった。

    あと最近は11月の試験では大問3つが過去問レベル、大問2つが激ムズレベルで
    過去問復習満点組は大問3つを満点取って40点中10点取る試験になった。
    それ以外は大抵が撃沈して運よく合格を拾って十数パーセントという合格率になっている

    2月は全体的に満点を取るのは難しくして総崩れを狙ってくるタイプ
    あと137回から初見の決算整理事項が出るようになった。

    • admin より:

      コメントありがとうございます。

      匿名さんがおっしゃるよう、過去問演習を中心とした丸暗記で合格を目指すのであれば、そのような形になると思います。11月(第144回)の試験は第3問、第4問、第5問で満点を取り、第1問と第2問で10点取りに行くということですよね。

      ただ、その勉強の形での合格は逆に難しく、ギャンブルになってきていると感じるのです。3つの大問で満点をとらなければならないというのは不可能ではないにしろ大変なプレッシャーで、もちろんその形で合格されている方もいらっしゃると思いますが、それよりも「簿記・会計の考え方」を理解して、過去に出題がないパターンの問題でもそれなりに得点できる力をつける勉強をした方がはるかにスムーズに合格できる問題になっていると思います。きちんと理解していれば、141回から144回の全ての大問において、得点できない問題はありませんので。

      匿名さんがおっしゃるように、様々なパターンが出題されるようになったことが過去問対策・丸暗記での合格を難しいものにしています。そう考えると、私がこの記事でお伝えしている内容とさほど矛盾するものではないと感じるのですが、どうでしょうか。

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