勉強計画を立てるときの考え方については簿記検定合格のために勉強計画を立てるときの4つのポイントでお伝えしました。
ちなみに、この記事を書いている私は日商簿記に合格するための通信講座を2012年から運営し、これまでに数百人の合格者を送り出させていただいています。もちろん私自身も簿記1級に合格しています。
こういった私が、具体的な勉強計画の立て方について解説していきます。
自分に合った勉強計画の具体的な立て方

自分に合った勉強計画を具体的に立てるときのポイントは次の2点です。
- 自分に合ったペース配分で勉強計画を立てること
- ざっくりとした勉強計画を勉強開始時に立て、30分刻みの勉強計画を前日に立てること
自分に合ったペース配分で勉強計画を立てること
勉強計画は自分に合ったものでなければなりません。勉強のペース配分には個人差があるので、自分に合った勉強計画を立てるためには、その個人差を考慮する必要があります。勉強のペース配分の個人差には次のようなものがあります。
- 平均型(学習期間を通じて同じペース)
- スタートダッシュ型(前半で60%終わらせる)
- スロースタート型(前半で40%終わらせる)
ちなみに、これ以上に前半または後半に学習内容を偏らせるのはお勧めしません。
平均型(学習期間を通じて同じペース)
平均型が最も多くの人にとって最適なペースだと思います。自分にとってどのようなペースが合うのか分からない人は、まずはこのペースでやってみることをお勧めします。
平均型だと、毎日の学習時間がおよそ同じになるので、学習を生活の一部に組み込みやすいという長所があります。
スタートダッシュ型(前半で60%終わらせる)
スタートダッシュ型では、学習期間の前半で約60%を終わらせます。結果、後半では約40%の内容をやることになるので、後半の方が楽になります。
このペースが合う人は「学習を始めてやる気があるときにがんばりたい人」「試験までにきちんと終わるかどうか不安な人」です。
先に多くをやるタイプなので、何か予想できないような出来事が起こっても比較的対応しやすいという長所があります。また、たいていは学習が進むにつれて難しくなっていきますが、そうなったときでも後半に余裕があるので安心できます。
この学習計画を採用するときに注意してほしいのは「油断しないこと」です。スタートダッシュ型だと学習内容が周囲よりも早いため、勉強仲間と比較すると自分の方ができると感じることも多いです。
ですが、これは学習ペースが早めだからなのであって、合格点を取る力を現時点で身につけているというわけではありません(もし合格する力があるのであれば素晴らしいことですが、確実にそうだとはいえません。)。
ここで油断してしまうとまずいことになるので、常に「合格する力を試験日までにつける」という意識を持つ必要があります。
スロースタート型(前半で40%終わらせる)
スロースタート型では学習期間の前半で約40%を終わらせます。結果、後半では約60%の内容をやることになるので、後半での追い込みが必要になります。
このペースが合う人は「試験が迫ってくることで集中力が増す人」「短期的なスパートに自信がある人」です。
同じ時間勉強するのであれば、試験日に近い時期に勉強した方が試験の点数は高くなる傾向があります。なので、この方法は「試験日が近づけば近づくほど勉強量が多くなる」という最も合理的なペースだと言えます。
ですが、想定外の出来事が起こったときに対応するのが難しくなりますし、また、試験日までに全ての範囲の学習が終わるかどうか分からないというプレッシャー もかかってきます。
そういった事情を上回るほどこの学習ペースが自分に合っていると思える方はこのような学習ペースがいいと思います。
こういった長所や短所を意識しながら、自分に合った勉強の計画を立ててみてください。
ざっくりとした勉強計画を勉強開始時に立て、30分刻みの勉強計画を前日に立てること
ざっくりとした勉強計画を勉強開始時に立てる
まずはざっくりとした勉強計画を勉強開始時に立てます。
計画を日ごと、几帳面な方は時間ごとに立てる人がいますが、細かすぎる計画は破綻します。急な予定や体調不良にも対応できるよう、計画は細かくても1週間単位で立てるようにします。
30分刻みの計画を前日に立てる
前日の段階ではある程度次の日の予定が分かっています。そこで、前日にある程度細かい計画を立てます。具体的には「朝起きてから寝る前の時間」を大学ノートの2行ぐらいのスペースを使ってシンプルに作ります。
そのときの手順は次のとおりです。
- 勉強にあてることが不可能な部分を先に斜線で消す
- 空白の部分に「勉強」と「息抜き」を書き込んでいく
- 2の結果、どうしても勉強時間が確保できない場合、1で「斜線で消した」部分は本当に勉強できないか考えてみる
- 計画と実績を比較し、次に活かす
1.勉強にあてることが不可能な部分を先に斜線で消す
1日の全ての時間を勉強にあてることはできません。どうしても外せないものがあります。「仕事(残業含む)」「食事」「風呂」「睡眠」などです。こういった勉強にあてることが不可能な部分を先に斜線で消しておきます。
2.空白の部分に「勉強」と「息抜き」を書き込んでいく
次に空白の部分に「勉強」と「息抜き」を書き込んでいきます。このときのポイントは次のとおりです。
- 長めの時間が取れるところは「総合問題演習」など時間がかかるものにあてる
- 短めの時間しかとれないところは「テキスト読み」や「個別問題演習」など細切れにできる勉強にあてる
- 勉強時間と休憩(予備)時間の日を2:1としておく(1回での勉強時間は60分程度が集中力の観点からは望ましいので「60分勉強したら30分休む」としておきます。そして、その勉強時間内に予定していた勉強量が終わらなければ予備時間に食い込ませる形にしておきます)(その勉強時間内に予定していた勉強量が終われば休憩時間は全部休めます)
- 1回に集中する最長の勉強時間は90分までにしておく(まとまった時間がある場合でも「90分勉強+45分休憩」を1セットとして、これを数セット繰り返す)
- 1回90分の勉強時間は1日に2回までにしておく
- 寝る前は暗記の時間にあてる
- 起きた直後は暗記したことの確認の時間にあてる
- 勉強の開始時から難易度は徐々に上げていく
- 作業興奮により脳が活性化していて、あまり疲れていない状態のときに「新しい内容」「難しい問題」をあてる
こういったことを意識しながら空白の部分を埋めていきます。
3.2の結果、どうしても勉強時間が確保できない場合、1で「斜線で消した」部分は本当に勉強できないか考えてみる
1で「斜線で消した」部分の中で何とかして勉強できる時間がないか考えます。例えば次のような勉強はどうでしょうか。
- 朝食(昼食・夕食)を食べながらテキストを読む
- 移動時間にテキストを読む
- 入浴中に自作の音声教材を聞いたり、濡れないように工夫したテキストを読んだりする
このあたりが勉強できそうです。食事をしながら勉強するのはあまりいいことではないのでおすすめできませんが、一人で食事する場合はいいかもしれません。
ちなみに、簿記は電卓を使わなければならない勉強も必要なので、勉強に集中できる環境での勉強時間もしっかりと取る必要があります。
4.計画と実績を比較し、次に活かす
これは正確には勉強計画を立てることにはなりませんが、次の日の勉強計画を立てるときに今日の勉強計画どおりに勉強できたかを確認します。そして勉強計画どおりにできなかったのであれば原因を確認し、原因を取り除けるようであれば取り除きます。
勉強量が多すぎて休憩時間に食い込むことが多い場合、勉強計画そのものに無理がある可能性があります。そうだと思われる場合は勉強時間に対して勉強量を少なめに予定する必要があります。
逆に勉強時間内に勉強量がすべて終わり勉強時間が余ることが多い場合、勉強計画そのものに余裕がありすぎる場合があります。そうだと思われる場合は勉強時間に対して勉強量を多めに予定する必要があります。
このように勉強計画の方に無理があった場合は勉強計画の立て方を工夫していきます。こうやって計画と実績を比較していくことで計画の立て方もうまくなっていきます。
1日の理想的な勉強計画

先ほど勉強計画の立て方のポイントをお伝えしましたが、理想的な1日の勉強計画を示しておきます。できるならば早起きした後、出社までこの流れで勉強して下さい。
- 朝早く起きる
- ウォーミングアップ…電卓版ハノン
- フル活動前の勉強…復習
- フル活動時の勉強…新しい内容、難しい内容
- フル活動後の勉強…今日学習した内容で間違えた問題の解きなおし
- 休憩…息抜き
1.朝早く起きる
最も脳に疲労が少ない状態が朝なので、朝勉強するのがベストです。仕事をしている人もできれば朝早く起床して勉強することをお勧めします。
2.ウォーミングアップ…電卓版ハノン
朝早起きしたら、所用(洗顔など)を済ませて机に向かいます。そして電卓版ハノンを行います。電卓版ハノンにかかる時間は電卓操作の慣れ具合で変わってきますが、慣れてくると1分程度で終了します。
この電卓版ハノンには「単純作業を行うことで脳のやる気が出る」という作業興奮と言われる効果を狙っています。これを勉強前に行うことでスムーズに勉強に入っていく状態を作り出します。
3.フル活動前の勉強…復習
電卓版ハノンを行うことで脳にやる気を出させるといっても、よほど切り替えの早い人でない限り「朝起きた直後の脳」を「能力を全開出し切れる脳」にすることは難しいです。
なので、最初は「前日の復習」や「1週間前の復習」など、復習を中心に行います。復習は以前できていた内容で、そこまで脳を使わなくても行うことができ、この状態の脳に適した勉強になります。
4.フル活動時の勉強…新しい内容、難しい内容
復習が終わったあたりで脳の活動が高まり、脳が全開で動き始めるようになっています。そこで、新しい内容に入ります。
新しい内容は、脳に大きな負担をかけるので、このタイミングで勉強するのが効果的です。
5.フル活動後の勉強…今日学習した内容で間違えた問題の解きなおし
新しい内容の勉強が終わる頃には脳の集中力も下がってきているので、勉強の負荷を落とします。そこで、「今日学習した内容で間違えた問題の解きなおし」を行います。
4で新しい内容を学習し、問題を解いていますが、ここで間違えてしまった場合、その日のうちにもう一度解き直す必要があります。間違えてしまったところを確認し、それで終わりとしている人がいますが、これではあまり実力がつきません。
実力をつけるためには「1ヶ所でも間違えていれば最初から最後まで全て自力で解きなおす」「最初から最後まで自力で解けるようになるまで何度でも繰り返す」ことが必要です。
この「解き直し」は、ついさっき解いたばかりの問題をもう一度解くことになるので脳への負荷はそれほど高くありません。これをやりながら脳をクールダウンさせることになります。
6.休憩…息抜き
5まで終わったら必ず休憩を入れてください。休憩しないと脳が休まりません。疲れる前に休憩する意識で、積極的に休憩してください。社会人の方はここから出社することになります。
これが理想的な勉強の流れです。
勉強時間の捻出例

勉強は時間ではなく量が大切です。なので勉強時間を長くとらなくても合格することはできます。しかし、そうはいっても確実に合格するためには平日に1日2時間の勉強時間を作りたいところです。
しかし、フルタイムで働いていると平日にまとめて2時間の勉強時間を作るのは難しいです。そこで、1日のうちで30分を4回作ることを考えます。
- 早朝の30分
- 通勤時間の30分
- 昼休みの30分
- 寝る前の30分
これで2時間です。通勤時間は15分×2回(行きと帰り)となると思います。このように時間を作るのがベストだと思います。
早朝の30分
早朝の30分でやることのお勧めは「復習」です。朝起きた状態で電卓版ハノンを行って頭を起こしたら、前日の復習からやっていきます。早朝の30分で復習の全てが終われば理想的です。
通勤時間の30分
通勤時間の30分でやることのお勧めは「テキストで理解」です。通勤時間にできることは限られています。電卓を使った問題練習などまず不可能です。
通勤時間には「テキストを読む」「暗記不要の簿記独学講座のような勉強できるウェブサイトをスマートフォンなどで見る」などがお勧めです。
昼休みの30分
昼休みの30分でやることは「早朝や通勤時間にできなかった分」です。復習が全て終わらなかったのであれば、電卓を使って復習をするのもいいですし、テキストで理解できなかったり時間が足りなくて読めなかった場合はテキストを読んで理解すればいいでしょう。
予定通り終わっていれば休んでもいいと思 います。
寝る前の30分
寝る前の30分でやることは「問題を解く」です。通勤時間や昼休みに理解した内容を使って問題を解きます。解けなければ再度テキストを読んで解きます。0から解答までを自分だけの力でやるのです。
これは30分で終わらないこともあると思います。なのでできるのであればより多くの時間を使いたいところです。翌日に疲れを残すのはいけませんが、がんばって問題を解くことが大切です。
まとめ

- 自分に合ったペース配分で勉強計画を立てる。
- ざっくりとした勉強計画を勉強開始時に立て、30分刻みの勉強計画を前日に立てる。
- 勉強計画は常に反省と改善を繰り返し、計画そのものの精度を上げていく。
- 忙しい人も何とかして「早朝の30分:復習」「通勤時間の30分:テキストで理解」「昼休みの30分:早朝や通勤時間にできなかった分」「寝る前の30分:問題練習」という形で平日に2時間の勉強時間を作る。
コメント