- 簿記1級で会計学っていう科目が新しく加わったんだけど……
- 会計学が商業簿記とどう違うのか分からない
- 会計学を効果的に身につける方法を教えて!
会計学は簿記1級で新しく加わる科目なので、どのように勉強したらいいのか不安に感じている人が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん会計学の効果的な勉強法についても熟知しています。
この記事では簿記1級で新しく加わる会計学を効果的に勉強する方法について解説します。
この記事を読んで実践すれば、最小の努力で最大の効果を得ることができます。もちろん簿記1級の合格も近づきます。
結論を一言で言うと、商業簿記は計算中心、会計学は理論中心です。試験範囲に大きな違いはありません。
商業簿記で行う「計算」の根拠を会計学の「理論」で勉強するスタンスで勉強をすると効果的に会計学を身につけることができます。
商業簿記は計算中心で広く浅い、会計学は理論中心で狭く深い
商業簿記と会計学はかなり似ています。商業簿記と会計学の試験範囲はほとんど同じです。試験範囲そのものについては区別する意味はありません。違いは次の2点です。
- 商業簿記は仕訳などの計算中心、会計学は理論中心
- 商業簿記は広く浅く問われる、会計学は狭く深く問われる
商業簿記は「計算」、会計学は「理論」
商業簿記は計算が中心です。商業簿記については簿記2級まで勉強してきた商業簿記をイメージしていただいて構いません。それに対して会計学は理論が中心です。
商業簿記で行う計算の理由を学ぶのが会計学だと言えます。
商業簿記は「広く浅い」、会計学は「狭く深い」
商業簿記は広い範囲が浅く出題されます。
それに対して会計学は、狭い範囲が深く出題されます。ただ、試験範囲が狭いのではなく、広い試験範囲の中の狭い部分が深く問われるので、ヤマを張ることはできません。
商業簿記の計算の根拠を会計学の理論で勉強するのが効果的
商業簿記と会計学の両方で得点するためには、商業簿記で行う「計算」の根拠を会計学の「理論」で勉強するといったように、どちらにも対応できるような勉強をしていくことが大切です。
試験範囲はほとんど変わらないからです。
また、計算(仕訳)を広く浅く練習しながら商業簿記の得点を狙い、その根拠については深く理解することで会計学の得点を狙います。
深い内容の計算(仕訳)の練習は控えめにしておくと効率的です。
商業簿記を勉強するときのポイント
商業簿記を勉強するときのポイントは次の通りです。
- 簿記2級までの範囲を完璧にする
- 仕訳を徹底的に身につける
- ボックス図などの図は仕訳をわかった上で使う
簿記2級までの範囲を完璧にする
簿記1級の内容に入っていく前に簿記2級までの範囲は完璧にしておくことが重要です。簿記2級までの範囲で身についていないところがあれば、簿記1級で同じ考え方を使う論点でつまずいてしまいます。
仕訳を徹底的に身につける
簿記1級であっても、最も重要なのは仕訳です。仕訳がわからなければ解答できませんし、仕訳が分かっていれば何とかなります。
解答テクニックに惑わされないで、しっかりと仕訳を身につける意識で学習してください。
ボックス図などの図は仕訳をわかった上で使う
簿記1級になると「特殊商品売買」「工事契約」「外貨建取引」「退職給付会計」などで図を使った解法を使うことが多くなってきます。
図を使うのはもちろんOKなのですが、必ず仕訳を意識しながら練習していくことが大切です。
図だけで問題を解くことによって、図だけが一人歩きをしてしまうと応用が利かなくなってしまいます。そうなると簿記1級では点数を取るのが難しくなってきます。
必ず仕訳を意識しながら学習してください。
会計学を勉強するときのポイント
会計学を勉強するときのポイントは次の通りです。
- 理論の丸暗記はしない
- 偶然○×問題があたってもきちんと復習する
理論の丸暗記はしない
理論問題は丸暗記すれば正解できそうなので、つい丸暗記に走りがちです。しかし、丸暗記は「非常に大変」「少し変えられただけで正解できない」といった欠点があります。
丸暗記は次の2つの条件を満たさない限り得点できないのです。
- 全く変えられず、条文がそのまま出題される
- その条文を正確に暗記している
この2つの条件を満たさなければ得点できないような勉強は効率的ではありません。理論問題も「なぜそのような会計基準があるのか」という理由(趣旨)を意識しながら理解することが大切です。
会計学を丸暗記せずに身につけていくには次の流れで勉強するのが効果的です。
- 暗記はせず、テキストなどで基本的な考え方を身につける
- 理論的な内容については一言で説明できるようにする
- 企業会計原則や企業会計基準を読み込む
- 直前になってもどうしても理解できなかったところについてだけ、割り切って暗記する(ほとんどありません)
1.暗記はせず、テキストなどで基本的な考え方を身につける
会計の基本的な考え方をテキストなどで理解していきます。
「会計がどんな目的で行われているのか」「その目的を達成するためにはどのような処理をするのが合理的なのか」といった視点で考えていくと会計の考え方や会計処理の理由も理解しやすくなります。
暗記しようとしてはいけませんが、自然と覚えてしまう分には構いません。「理解するためにテキストを読んでいるうちに重要なところは覚えてしまった」という感じです。
特に文章を暗記するのは厳禁です。全く役に立たない上に応用も利きません。
2.理論的な内容については一言で説明できるようにする
たとえば「発生主義とは?」と聞かれたときどう答えるでしょうか。もしここで次の企業会計原則に書かれている「発生主義の原則」を暗記して、それをそのまま答えると考えている人は要注意です。
すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。ただし、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。前払費用及び前受収益は、これを当期の損益計算から除去し、未払費用及び未収収益は、当期の損益計算に計上しなければならない。
文章を暗記しても、何がどのような意味で書かれているのか分かっているとは限りません。分かっていなければ一言で答えることもできません。
一言で、そして自分の言葉で答えられるかどうかで理解できているかどうかが分かります。そして、一言自分の言葉で答えられるようになっていれば会計学の点数は取れます。
3.企業会計原則や企業会計基準を読み込む
企業会計原則や企業会計基準は簿記や会計にとって辞書や六法全書のようなものです。
非常に重要なものなので、1の「暗記はせず、テキストなどで基本的な考え方を身につける」の段階を終えた方は会計基準を読み込むことが大切です。
覚えようとする必要はありません。あくまでも理解しようとする意識で読んでください。特に企業会計基準の「結論の背景」の重要部分はしっかりと読み込んでください。
きちんと理解できれば覚えなくても会計学の問題に正解できます。
4.直前になってもどうしても理解できなかったところについてだけ、割り切って暗記する
3の「企業会計原則や企業会計基準を読み込む」までをきちんとこなせば暗記しなくても会計学を正解できるようになっているはずです。
しかし試験直前になっても正解できない、理解できていないところも少しはあると思います。
そういった「試験直前になっても正解できない、理解できていないところ」については合格のために割り切って覚えるのもありです。
試験が終わった後は忘れてしまっているかもしれませんが、合格のための努力として無駄ではありません。
偶然○×問題が正解してもきちんと復習する
○×問題は、何にも考えず適当に選んでも50%の確率で正解します。しかし、正解できたからといって理解できているとは限りません。
○×問題は、正解できることはもちろん「なぜ○なのか」「なぜ×なのか」という理由までしっかりと理解できるまで復習することが大切です。
簿記1級で新しく加わる会計学の勉強法:まとめ
商業簿記は計算中心で広く浅く出題されます。会計学は理論中心で狭く深く出題されます。
商業簿記と会計学の試験範囲はほとんど同じなので、「商業簿記で行う計算の根拠を会計学の理論で勉強する」という勉強法が効果的です。
商業簿記では仕訳を徹底的に身につけること、会計学では暗記を極力しないことが勉強のコツです。
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