オペレーティング・リース

オペレーティング・リースとは

逆説的な言い方になりますが、ファイナンス・リース以外のリースのことをオペレーティング・リースと言います

ファイナンス・リースとは、簡単に言うと「形式的にはリース取引だけど、実質的には資金を調達し、その資金でリース物件を購入しているのと同じ取引である」とみなされるリースです。

リース取引(概論)
ファイナンス・リース取引の会計処理
ファイナンス・リース取引の会計処理(利子込み法)の具体例
ファイナンス・リース取引の会計処理(利子抜き法)の具体例

つまり、オペレーティング・リースは「資金調達とはみなされないリース取引」と言えます。

オペレーティング・リースの仕訳

オペレーティング・リースの仕訳は非常にシンプルです。例えば、「車をオペレーティング・リース取引でリースし、リース料100,000円を現金で支払った」という取引の場合、仕訳は次のようになります。

借方金額貸方金額
支払リース料100,000現金100,000

現金100,000円を支払っているので『(貸)現金100,000』、支払リース料として支払っているので『(借)支払リース料100,000』というわけです(リース料を支払っているだけなので「車両」という勘定科目が出てこない点に注意が必要です)。

オペレーティング・リースを節税に使う方法

オペレーティング・リースは節税に使えますが、これは貸手側の話です。自分で固定資産を取得し、リース資産として貸し出すことで節税効果があります。

このオペレーティング・リースでよく使われるは航空機ですので、航空機を例に解説します(実際は航空機は巨額なので、複数の企業が共同で匿名組合などを利用して行うことになります)。

一般的な大型航空機は新品で約300億円、法定耐用年数(法律で定められた耐用年数)が10年、経済的耐用年数(実際に使える年数)が約30年です。

法定耐用年数に比べて経済的耐用年数が非常に長いため、法定耐用年数が終了しても、中古市場でかなりの高値で売却することができます。

この例でリース料と減価償却費を計算して見ます(計算の簡略化のため、定額法を採用することとします。定率法だとより節税効果が大きくなります)。

  • 1年目の減価償却費:取得原価300億円÷法定耐用年数10年=30億円
  • 1年目の受取リース料:(取得原価300億円-10年後の資産価格200億円)÷10年=10億円

この航空機のオペレーティング・リースの仕訳は次のようになります(実際には仕訳に「億」は使いませんが、便宜上このようにしています)。

借方金額貸方金額
減価償却費
現金など
30億
10億
減価償却累計額
受取リース料
30億
10億

受取リース料(収益)が10億円なのに対し、減価償却費(費用)は30億円なので、差し引きで20億円費用が発生しています。これが損金として計上されることで、法定実効税率が40%だった場合、(20億円×40%=)8億円の節税が可能になります。

この節税が10年間続くことになるので、10年間で(8億円×10年=)80億円の節税効果があります。

ただし、これは税金を先送りしているだけなので、航空機の売却時には次の取引が発生します。

  • 航空機売却時の売却益=航空機の売却価格200億円-航空機の帳簿価額0円=200億円

これは益金となるので、法定実効税率が40%の場合、売却時の税額が(200億円×40%=)80億円となります。

つまり、10年間で節税された金額が売却時に一気に課税されることになります。

オペレーティング・リースを節税目的で行うメリット

節税にはたくさんの方法がありますが、他の節税方法と比較してオペレーティング・リース取引には次の3つのメリットがあります。

  • 節税効果が高い
  • 支払は最初の1回だけ

節税効果が高い

オペレーティング・リースを節税目的で行う場合、最大で1年目に約80%、2年目に残りの20%を損金算入することができます。このような節税効果が得られる節税方法は他にないのではないかと思われます。

支払は最初の1回だけ

このオペレーティング・リース取引で支払を行うのは、最初の航空機の購入時のみです。それ以降の現金の支払は全くありません。なので、将来の資金繰りの心配をする必要がなく、現時点でその資金を出せるかどうかだけを考えればいいということになります。

ただし、途中解約は通常はできないので、将来現金が必要になっても航空機の購入代金はリース取引が終了するまで回収できません。そういう意味での将来の資金繰りは考えておく必要はあります。

オペレーティング・リースを節税目的で行うリスク

航空機でこのような節税が可能になるのは航空機に次のような特徴があるからです。

  • 法定耐用年数と経済的耐用年数の差が大きい:このことが法定耐用年数終了時の中古価格が高い理由になる
  • 中古市場が発達しているので、中古での売却が容易:中古での売却が難しければ節税額以上に損失が出る可能性が高くなる

これは逆から言うと、次のようなリスクがあるということになります。

  • 税制が改正されるリスク
  • 中古市場での売却価格が下落するリスク

税制が改正されるリスク

例えば、「減価償却費を損金として認めない」「法定耐用年数が引き上げられる」「定額法のみしか認めない」などの税制改正があった場合、節税効果が非常に限定的になってしまいます。

それほど可能性が高いものではないですが、今の税制が永遠に続くわけではないということを知っておくことは大切です。

中古市場での売却価格が下落するリスク

航空機は安全性を非常に重視するため、常日頃から完璧なメンテナンスが行われています。それが中古の航空機の品質を保証していることで中古価格が安定しています。

ですが、経済状況や社会情勢によっては航空機の中古価格が下落する可能性はあります。特に現在(2020年9月)は新型コロナの影響で中古価格は下落していると思われます。

※他にも「取引先(航空会社)の倒産」や「為替リスク(外貨建の場合)」「中途解約ができない」などのリスクもありますが、これらは航空機のオペレーティング・リース取引に固有のリスクではないので省略します。

節税目的のオペレーティング・リースで失敗しないためにはリスクをしっかりと考えてから行うことが大切です。

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