部門別計算の手続~原価計算基準~

Pocket

こんにちは、簿記合格請負人の平野です。簿記1級では原価計算基準についての理論問題が出題されることがあります。なので原価計算基準を読むことが望ましいのですが、この原価計算基準は非常に難解な文章となっています。

そこで、これからしばらくにわたって原価計算基準の解説を行っていこうと思います。今回は原価計算基準の第二章の十八ある「部門別計算の手続」についてお伝えしていきます。

部門別計算の手続

(一) 原価要素の全部又は一部は、まずこれを各製造部門および補助部門に賦課又は配賦する。

口語訳
原価要素の全部または一部を、最初に各製造部門と補助部門に賦課または配賦する。

解説
原価要素を製造部門と補助部門に、部門個別費は賦課、部門共通費は配賦します

この場合、部門に集計する原価要素の範囲は、製品原価の正確な計算および原価管理の必要によってこれを定める。

口語訳
この場合、部門に集計する原価要素の範囲は、「製品原価の正確な計算」と「原価管理」に必要かどうかで決める。

たとえば、個別原価計算においては、製造間接費のほか、直接労務費をも製造部門に集計することがあり、総合原価計算においては、すべての製造原価要素又は加工費を製造部門に集計することがある。

口語訳
たとえば、個別原価計算においては、製造間接費だけでなく、直接労務費も製造部門に集計することがある。

また、総合原価計算においては、「すべての製造原価要素」または「加工費」を製造部門に集計することがある。

解説
個別原価計算で部門別計算を採用する場合、製造間接費のみを部門に集計するのが一般的です。個別原価計算は原価を直接費と間接費に分類し、直接費は製品に賦課するので、部門別計算に集計するのは間接費だけになるからです。

もし部門に集計する原価要素の範囲を決める理由が「製品原価の正確な計算」だけならば、「個別原価計算の場合は製造間接費のみを集計する」とだけしておけば十分です。

しかし、部門に集計する原価要素の範囲を決める理由が「原価管理」にもあるならば、そうとは言い切れません。部門別計算を行うことで、原価の発生を部門別に管理することができるからです。

原価管理を目的に部門別計算を行うのであれば、製造間接費だけでなく、直接労務費も部門に集計する原価の範囲に含めても構わないといえます。

また、総合原価計算で部門別計算(工程別総合原価計算)を採用する場合、全ての原価要素を部門(総合原価計算なので正確には「工程」)に集計するのが一般的です。

しかし、加工費だけを製造部門に集計するのでも構わないと書かれています。これは原価計算基準の二六の「加工費工程別総合原価計算」で詳しく出てきます。

各部門に集計された原価要素は、必要ある場合には、これを変動費と固定費又は管理可能費と管理不能費とに区分する。

口語訳
必要であれば、各部門に集計された原価要素を、「変動費と固定費」や「管理可能費と管理不能費」に区分する。

解説
補助部門費を実際配賦する場合、ある製造部門の原価が「他の製造部門の補助部門の用益消費量」に影響を受けます。他の製造部門は管理不能なので、補助部門費を変動費と固定費をまとめて実際配賦するのは原価管理という点では問題点が多いです。

そこで、各部門に集計された原価要素を、「変動費と固定費」に分け、変動費は実際消費量、固定費は消費能力にもどついて配賦することも認められています。つまり、ここで書かれているのは簿記1級で学習する「複数基準配賦法」です。

(二)次いで補助部門費は、直接配賦法、階梯式配賦法、相互配賦等にしたがい、適当な配賦基準によって、これを各製造部門に配賦し、製造部門費を計算する。

口語訳
次に、「直接配賦法」「階梯式配賦法」「相互配賦法」などにしたがって、補助部門費を適当な配賦基準で各製造部門に配賦し、製造部門費を計算する。

解説
部門別計算の第2次集計についての記述です。直接配賦法、階梯式配賦法、相互配賦法については詳しくは工業簿記で出てきます。

一部の補助部門費は、必要ある場合には、これを製造部門に配賦しないで直接に製品に配賦することができる。

口語訳
必要であれば、一部の補助部門費を製造部門に配賦せずに直接製品に配賦することができる。

解説
補助部門費は他の補助部門や製造部門に配賦されるのが通常です。しかし、補助部門費によっては適切な配賦基準が見当たらないものもありえます。

この場合に強引に不適切な配賦基準で配賦してもあまり意味がなく、手間をかけてまでするほどのことではありません。そこで、製造部門に配賦せず、直接製品に配賦することも認められています。

(三)製造部門に集計された原価要素は、必要に応じさらにこれをその部門における小工程又は作業単位に集計する。

口語訳
必要であれば、製造部門に集計された原価要素をさらに「小工程」や「作業単位」に集計する。

解説
これまで行ってきた部門区分だけでは部門別計算の目的(正確な製品原価の計算、原価管理)が達成できない場合には、さらに活動区分である小工程や作業単位に区分して原価を集計します。

この場合、小工程又は作業単位には、その小工程等において管理可能の原価要素又は直接労務費のみを集計し、そうでないものは共通費および他部門配賦費とする。

口語訳
この場合、小工程や作業単位には、その小工程や作業単位において管理可能な原価要素や直接労務費のみを集計し、そうでないものは共通費や他部門配賦費とする。

解説
この場合、小工程や作業単位には管理可能費や直接労務費のみを集計します。管理不能費をわざわざ小工程や作業単位に集計する必要はないからです。

ちなみに、他部門配賦費とは、他部門から配賦された費用です。管理不能費はここに含めてもよいとされています。

これで原価計算基準の第二章の十八である「部門別計算の手続」は全て終了です。原文は非常に読みづらいのでできるだけ分かりやすく解説(口語訳)しました。このような形で意味を理解しながら原文を何度も読み込むことで、徐々に原価計算基準を自分のものにしていってください。

メルマガ登録フォーム

簿記革命メルマガ「簿記革命通信~簿記1級にラクラク合格する方法~」の登録フォームです。



お名前(名字のみ漢字でお願いします)

メールアドレス

Pocket

タグ:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ページトップへ