原価部門の設定~原価計算基準~

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。簿記1級では原価計算基準についての理論問題が出題されることがあります。なので原価計算基準を読むことが望ましいのですが、この原価計算基準は非常に難解な文章となっています。

そこで、これからしばらくにわたって原価計算基準の解説を行っていこうと思います。今回は原価計算基準の第二章の十六である「原価部門の設定」についてお伝えしていきます。

原価部門の設定

原価部門とは、原価の発生を機能別、責任区分別に管理するとともに、製品原価の計算を正確にするために、原価要素を分類集計する計算組織上の区分をいい、これを諸製造部門と諸補助部門とに分ける。

口語訳
原価部門は次の2つの目的で原価要素を分類して集計する計算組織上の区分である。

  1. 原価の発生を機能別、責任区分別に管理するため
  2. 製品原価の計算を正確にするため

原価部門は製造部門と補助部門に分ける。

解説
原価部門は「計算組織上の」区分です。これは「計算上の区分で構わない」、つまり「実際に存在していなくても構わない」ということです。

実際に存在しない原価部門であっても、部門別計算に必要であれば、「計算上の」部門を設定しても構わないということになります。

また、原価部門を設定する目的は「原価管理(上記1)」と「正確な製品原価の計算(上記2)」だということも言っています。

製造および補助の諸部門は、次の基準により、かつ、経営の特質に応じて適当にこれを区分設定する。

解説
原価部門は製造部門と補助部門に分けます。分けるときには次の基準と経営の特徴や性質で判断します。

「次の基準」については、文字通り、次に出てきます。経営の特徴・性質についてですが、これは「次の基準」を一律で適用するのではなく、経営の実質的な内容も考慮に入れるということです。

例えば、「次の基準」によれば修繕部は補助部門ですが、修繕が「製品の加工」と言えるならばそれは補助部門ではなく製造部門です。

このように「次の基準」だけで決めるのではなく、経営の実態に応じて決めるということです。

(一)製造部門
製造部門とは、直接製造作業の行なわれる部門をいい、製品の種類別、製品生成の段階、製造活動の種類別等にしたがって、これを各種の部門又は工程に分ける。

口語訳
直接製造作業が行われる部門が製造部門である。製造部門は「製品の種類」「製品の『生成段階』や『製造活動』の種類」などの区別にしたがって、部門や工程に分ける。

解説
製品の製造作業を直接行うのが製造部門です。製造部門は次のような形で設定します。

  • 製品種類別の部門:A製品製造部、B製品製造部など
  • 製品の製造段階、製造活動の種類別の部門:切削部、組立部、塗装部など

ちなみに、「部門」は個別原価計算での言い方、「工程」は総合原価計算での言い方です。

たとえば機械製作工場における鋳造、鍛造、機械加工、組立等の各部門はその例である。

解説
機械を製作する工場では「鋳造(金属を溶かして型に流し込み、作りたい形のものにすること)」「鍛造(金属を叩いて鍛えること)」「機械加工(機械を使って加工すること)」「組立」などが製造部門の例となります。

副産物の加工、包装品の製造等を行なういわゆる副経営は、これを製造部門とする。

解説
本業ではないが、経営の一部であるものを「副経営」と言います。

「本業の製造過程で副次的に出てきた『副産物』の加工」や「本業で製造している製品を包装する包装紙やダンボールなどの製造」は本業そのものではありません。しかし、経営の一部であることは間違いありません。

そういった「副経営」も製造部門に含めるということです。

製造に関する諸部門は、必要ある場合には、さらに機械設備の種類、作業区分等にしたがって、これを各小工程又は各作業単位に細分する。

解説
製造部門は、必要であれば、さらに細かく分類します。

例えば、「A製品製造部」としていたけれど、部門別計算の目的を達成するためにはこれでは大雑把すぎるという場合、さらに「A製品加工部」「A製品塗装部」といった形でさらに細かく分類します。

(二)補助部門
補助部門とは、製造部門に対して補助的関係にある部門をいい、これを補助経営部門と工場管理部門とに分け、さらに機能の種類別等にしたがって、これを各種の部門に分ける。

口語訳
製造部門を補助する部門が補助部門である。補助部門は「補助経営部門」と「工場管理部門」に分けられる。さらに機能の種類別などにしたがって各種の部門に分ける。

解説
直接製造はしないけれど、製造部門を補助する部門が補助部門です。補助部門は「補助経営部門」と「工場管理部門」に分けます。

ただし、「補助経営部門」「工場管理部門」といった部門があるわけではなく、その部門の機能などで区別して、具体的な部門に分けます。

補助経営部門とは、その事業の目的とする製品の生産に直接関与しないで、自己の製品又は用役を製造部門に提供する諸部門をいい、たとえば動力部、修繕部、運搬部、工具製作部、検査部等がそれである。

口語訳
補助経営部門とは、その部門で作った製品やサービスを製造部門に提供する部門であり、本業の製品の生産には直接関与しない。

補助経営部門の例として「動力部」「修繕部」「運搬部」「工具製作部」「検査部」などがある。

解説
補助経営部門は製造部門に製品やサービスを提供します。本業の製品には直接関与しないのが製造部門との違いです。

補助経営部門の例として次の5つが挙げられています。

  • 動力部:作った電力などを製造部門に提供(電力という製品を提供)
  • 修繕部:製造部門で稼動している機械などを修繕(修繕というサービスを提供)
  • 運搬部:製造部門で作っている仕掛品や製品などを運搬する(運搬というサービスを提供)
  • 工具製作部:製造部門で使用する工具を製作する(工具という製品を提供)
  • 検査部:製造部門が作った製品を検査する(検査というサービスを提供)

工具製作、修繕、動力等の補助経営部門が相当の規模となった場合には、これを独立の経営単位とし、計算上製造部門として取り扱う。

口語訳
工具製作、修繕、動力などの補助経営部門の規模が大きくなった場合には、その部門を独立の経営単位とし、計算上は製造部門として取り扱う。

解説
補助経営部門が一部門として計算するにはあまりにも巨大になる場合があります。

例えば、アルミの精製のような電力を非常に消費する工場の場合、動力部が発電所のようになります。紙を製作する工場などでも、動力部は非常に大規模になります。

このような場合、巨大な動力部を一補助部門として計算するのは経営の実態とかけ離れてしまいます。そこで、こういった場合には動力部を「電力という製品を提供する工場」とみなします(動力部をその工場の子会社とみなすイメージです)。

こうすることで動力部は電力という製品を直接製造する「製造部門」になります。

工場管理部門とは、管理的機能を行なう諸部門をいい、たとえば材料部、労務部、企画部、試験研究部、工場事務部等がそれである。

口語訳
工場管理部門は、管理的な役割を果たす部門である。工業管理部門の例として「材料部」「労務部」「企画部」「試験研究部」「工場事務部」がある。

解説
工場管理部門は補助経営部門と違って、製品やサービスを製造部門に提供することはありません。あくまでも「管理」という役割を持っている部門です。

工場管理部門の例として次の5つが挙げられています。

  • 材料部:材料の仕入や保管などの管理を行う
  • 労務部:工員などの人件費や福利厚生などの管理を行う
  • 企画部:製品の売上や需要などを分析し、生産量の管理などを行う
  • 試験研究部:「製品を大量生産するための試作」「製品の品質改良」や「製造工程における改善活動」などを行う(商業簿記で出てくる「試験研究費」に含まれるものはここには含みません)
  • 工場事務部:工場全体の事務的な管理を行う

これで原価計算基準の第二章の十六である「原価部門の設定」は全て終了です。原文は非常に読みづらいのでできるだけ分かりやすく解説(口語訳)しました。このような形で意味を理解しながら原文を何度も読み込むことで、徐々に原価計算基準を自分のものにしていってください。

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