度外視法と非度外視法

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では度外視法と非度外視法について解説します。

度外視法と非度外視法

正常仕損費・正常減損費の処理に関する具体的な計算方法として、度外視法と非度外視法があります。

度外視法

正常仕損・正常減損を無視することで自動的に完成品や期末仕掛品に配分してしまう方法が度外視法です。度外視法では完成品のみに負担させる方法と完成品と期末仕掛品の両方に負担させる方法で計算が異なります。

完成品のみに負担させる場合

完成品のみに負担させる場合、仕損費・減損費を一度計算して完成品に足すことで計算を行います

  • 月末仕掛品材料費=(月初仕掛品材料費+当月材料費)÷(完成品数量+月末仕掛品数量+仕損・減損数量)×月末仕掛品数量
  • 月末仕掛品加工費=(月初仕掛品加工費+当月加工費)÷(完成品数量+月末仕掛品数量×加工進捗度+仕損・減損数量×発生点)×月末仕掛品数量×加工進捗度

計算式は上のようになりますが、この計算式は覚えるものではありません(一応書いただけです)。計算式の意味をきちんと理解しておくことが重要です(この計算式は平均法を想定していますが、先入先出法であっても考え方は同じです)。

完成品と期末仕掛品の両方に負担させる場合

完成品と期末仕掛品の両方に負担させる場合、仕損費・減損費を完全に無視して計算することで自動的に両方に負担させることになります

  • 月末仕掛品材料費=(月初仕掛品材料費+当月材料費)÷(完成品数量+月末仕掛品数量)×月末仕掛品数量
  • 月末仕掛品加工費=(月初仕掛品加工費+当月加工費)÷(完成品数量+月末仕掛品数量×加工進捗度)×月末仕掛品数量×加工進捗度

計算式は上のようになりますが、この計算式は覚えるものではありません(一応書いただけです)。計算式の意味をきちんと理解しておくことが重要です(この計算式は平均法を想定していますが、先入先出法であっても考え方は同じです)。

度外視法では、計算式の分母に「完成品のみに負担させる場合には仕損量・減損量を入れる」「完成品と期末仕掛品の両方に負担させる場合には仕損量・減損量を入れない」という形で2つの方法の違いを区別しています

非度外視法

正常仕損・正常減損を無視せずに、正常仕損費・正常減損費を一度計算してから完成品や期末仕掛品に再度配分する方法が非度外視法です。簿記1級の範囲なので割愛します。簿記2級では度外視法のみ理解しておけば大丈夫です。

度外視法(先入先出法・完成品のみに負担させる場合)の具体例

資料

1.生産データ

月初仕掛品 500個(40%)
当月投入  2,500個
計     3,000個
正常仕損   400個
月末仕掛品 600個(50%)
完成品   2,000個

  • カッコ内の数字は加工進捗度を示している。
  • 材料は始点投入である。
  • 仕損は全て正常なものである。
  • 月末仕掛品原価は先入先出法により計算する。
  • 仕損は終点で発生する。

2.原価データ

材料費 加工費
月初仕掛品 500,000円 200,000円
当月製造費用 1,250,000円 1,000,000円
1,750,000円 1,200,000円

この資料をもとに完成品原価と月末仕掛品原価を求めてみましょう。

考え方

まずは正常仕損を完成品のみに負担させるのか完成品と期末仕掛品の両方に負担させるのかについて判断しましょう

正常仕損は終点で発生しています。終点で発生ということは加工進捗度100%、つまり完成と同時に仕損が発生しているということになります。期末仕掛品はまだ50%しか完成していません。

ということは、期末仕掛品に仕損は全く影響しないということです(期末仕掛品をさらに50%加工を行い、完成すると同時に仕損が発生することになります)。よって、正常仕損は完成品のみに負担させることになります。

完成品のみに負担させるので、仕損は一応考慮します。仕損の金額を計算したあとにその金額を完成品原価に加えるということになります。

では、ボックス図を作っていきましょう。この資料から分かる数字を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・完成品のみ負担)

次に、月初仕掛品に含まれる加工費(数量)と月末仕掛品に含まれる加工費(数量)を求めましょう。

  • 月初仕掛品に含まれる加工費(200個)=月初仕掛品数量(500個)×月初仕掛品加工進捗度(40%)
  • 月末仕掛品に含まれる加工費(300個)=月末仕掛品数量(600個)×月末仕掛品加工進捗度(50%)

ちなみに正常仕損に含まれる加工進捗度は終点発生なので100%です。よって、400個となります。

これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・完成品のみ負担)

次に、加工費の当月投入量を求めましょう。ボックスの左側の数字と右側の数字が同じになることに注目して求めます。

  • 加工費の当月投入量(2,500個)=完成品(2,000個)+正常仕損(400個)+月末仕掛品(300個)-月初仕掛品(200個)

これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・完成品のみ負担)

これで個数に関しては全て求まりました。あとは金額だけです。月末仕掛品の金額を求めます。次のようになります。

  • 月末仕掛品材料費(300,000円)=当月投入材料費(1,250,000円)÷当月投入材料数量(2,500個)×月末仕掛品材料数量(600個)
  • 月末仕掛品加工費(120,000円)=当月投入加工費(1,000,000円)÷当月投入加工費完成品換算数量(2,500個)×月末仕掛品加工費完成品換算数量(300個)

次に正常仕損の金額を求めましょう。

  • 正常仕損材料費(200,000円)=当月投入材料費(1,250,000円)÷当月投入材料数量(2,500個)×正常仕損材料数量(400個)
  • 正常仕損加工費(160,000円)=当月投入加工費(1,000,000円)÷当月投入加工費完成品換算数量(2,500個)×正常仕損加工費完成品換算数量(400個)

月初仕掛品は全て完成するとみなし、正常仕損の全ては当月投入分から発生すると考えます(月初仕掛品からの仕損の発生は考えないということです)。これは理論的には正しいと言えない面もあるのですが、簡便性を優先してこのような処理を行うことになっています。

計算式を覚えるのではなく、何を計算しているのかをきちんと理解することが重要です。ここまで記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・完成品のみ負担)

あとは完成品原価のみです。ボックスの左側の数字と右側の数字が同じになることに注目して求めます。

  • 完成品材料費(1,250,000円)=月初仕掛品材料費(500,000円)+当月投入材料費(1,250,000円)-正常仕損材料費(200,000円)-月末仕掛品材料費(300,000円)
  • 完成品加工費(920,000円)=月初仕掛品加工費(200,000円)+当月投入加工費(1,000,000円)-正常仕損加工費(160,000円)-月末仕掛品加工費(120,000円)

これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・完成品のみ負担)

あとは解答だけです。

解答

  • 完成品原価(2,530,000円)=完成品材料費(1,250,000円)+完成品加工費(920,000円)+正常仕損材料費(200,000円)+正常仕損加工費(160,000円)
  • 月末仕掛品原価(420,000円)=月末仕掛品材料費(300,000円)+月末仕掛品加工費(120,000円)

今回は正常仕損費を完成品に加えるという考え方をより表すため、あえて正常仕損費を計算した上で完成品原価に加えました。しかし、どうせ加えるのであれば、分けて計算せずに下のように考えて純粋な完成品原価と正常仕損費をまとめて計算することもできます。

  • (純粋な完成品原価+正常仕損費)=月初仕掛品原価+当月投入-月末仕掛品原価

この場合、月末仕掛品原価が求まった時点で上の式から(純粋な完成品原価+正常仕損費)が計算できます。正常仕損費をわざわざ計算する必要はありません。慣れてくるとこのような解き方もやってみるといいと思います。

仕訳

上のボックス図に関する仕訳を示すと次のようになります。

材料費と加工費を仕掛品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 2,250,000 材料費
加工費
1,250,000
1,000,000

完成品原価を仕掛品勘定から製品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
製品 2,530,000 仕掛品 2,530,000

月末仕掛品原価である420,000円に関しては特に仕訳は切りません。そのまま次月に繰り越されます。また、正常仕損費を考えた次のような仕訳も考えられなくもないですが、仕損を無視して考えるという度外視法を採用しているので、仕訳でも無視する方が一貫性があります。

材料費と加工費を仕掛品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 2,250,000 材料費
加工費
1,250,000
1,000,000

仕掛品勘定を正常仕損費に振り替える

借方 金額 貸方 金額
正常仕損費 360,000 仕掛品 360,000

正常仕損費を完成品原価に加える

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 360,000 正常仕損費 360,000

完成品原価を仕掛品勘定から製品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
製品 2,530,000 仕掛品 2,530,000

よって、正常仕損費という勘定科目が出てこない上の仕訳の方が適切だといえます。

工業簿記で仕訳の問題はあまり出題されませんが、仕訳は簿記では重要です。学習するときにはときどき仕訳を確認するといいです。ボックス図をしっかりと書ければ仕訳は切ることができます。

度外視法(先入先出法・完成品と期末仕掛品の両方に負担させる場合)の具体例

資料

1.生産データ

月初仕掛品 500個(40%)
当月投入  2,500個
計     3,000個
正常仕損   400個
月末仕掛品 600個(50%)
完成品   2,000個

  • カッコ内の数字は加工進捗度を示している。
  • 材料は始点投入である。
  • 仕損は全て正常なものである。
  • 月末仕掛品原価は先入先出法により計算する。
  • 仕損は始点で発生する。

2.原価データ

材料費 加工費
月初仕掛品 500,000円 200,000円
当月製造費用 1,260,000円 1,050,000円
1,760,000円 1,250,000円

この資料をもとに完成品原価と月末仕掛品原価を求めてみましょう。

考え方

まずは正常仕損を完成品のみに負担させるのか完成品と期末仕掛品の両方に負担させるのかについて判断しましょう

正常仕損は始点で発生しています。始点で発生ということは加工進捗度0%、つまり製造開始と同時に仕損が発生しているということになります。ということは、期末仕掛品は正常仕損が発生したあとさらに加工をすすめていると考えられます。

よって、正常仕損は完成品と期末仕掛品の両方に負担させることになります。完成品と期末仕掛品の両方に負担させるので、仕損は無視します。完全に無視することで自動的に完成品と期末仕掛品の両方に負担させることになります。

では、ボックス図を作っていきましょう。この資料から分かる数字を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・両者負担)

気をつけなければならないのは当月投入の欄です。資料では当月投入は2,500個となっていますが、ボックス図の当月投入欄に2,500個と書いてしまうとボックス図の左右の個数が合わなくなってしまいます。右側の正常仕損の欄が無視されるからです。

よって当月投入の欄には左右のボックス図の個数が同じになるように正常仕損の400個を資料の当月投入量2,500個から引いた2,100個と書くことになります。

次に、月初仕掛品に含まれる加工費(数量)と月末仕掛品に含まれる加工費(数量)を求めましょう。

  • 月初仕掛品に含まれる加工費(200個)=月初仕掛品数量(500個)×月初仕掛品加工進捗度(40%)
  • 月末仕掛品に含まれる加工費(300個)=月末仕掛品数量(600個)×月末仕掛品加工進捗度(50%)

ちなみに正常仕損に含まれる加工進捗度は始点発生なので0%です。よって、0個となります。これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・両者負担)

次に、加工費の当月投入量を求めましょう。ボックスの左側の数字と右側の数字が同じになることに注目して求めます。

  • 加工費の当月投入量(2,100個)=完成品(2,000個)+月末仕掛品(300個)-月初仕掛品(200個)

正常仕損は無視するところが重要です。これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・両者負担)

これで個数に関しては全て求まりました。あとは金額だけです。月末仕掛品の金額を求めます。次のようになります。

  • 月末仕掛品材料費(360,000円)=当月投入材料費(1,260,000円)÷当月投入材料数量(2,100個)×月末仕掛品材料数量(600個)
  • 月末仕掛品加工費(150,000円)=当月投入加工費(1,050,000円)÷当月投入加工費完成品換算数量(2,100個)×月末仕掛品加工費完成品換算数量(300個)

計算式を覚えるのではなく、何を計算しているのかをきちんと理解することが重要です。ここまで記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・両者負担)

あとは完成品原価のみです。ボックスの左側の数字と右側の数字が同じになることに注目して求めます。

  • 完成品材料費(1,400,000円)=月初仕掛品材料費(500,000円)+当月投入材料費(1,260,000円)-月末仕掛品材料費(360,000円)
  • 完成品加工費(1,100,000円)=月初仕掛品加工費(200,000円)+当月投入加工費(1,050,000円)-月末仕掛品加工費(150,000円)

これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(先入先出法・両者負担)

正常仕損費が完全に無視されているという点が重要です。

解答

  • 完成品原価(2,500,000円)=完成品材料費(1,400,000円)+完成品加工費(1,100,000円)
  • 月末仕掛品原価(510,000円)=月末仕掛品材料費(360,000円)+月末仕掛品加工費(150,000円)

正常仕損費が完全に無視されているという点が重要です。

仕訳

上のボックス図に関する仕訳を示すと次のようになります。

材料費と加工費を仕掛品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 2,310,000 材料費
加工費
1,260,000
1,050,000

完成品原価を仕掛品勘定から製品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
製品 2,500,000 仕掛品 2,500,000

月末仕掛品原価である510,000円に関しては特に仕訳は切りません。そのまま次月に繰り越されます。

工業簿記で仕訳の問題はあまり出題されませんが、仕訳は簿記では重要です。学習するときにはときどき仕訳を確認するといいです。ボックス図をしっかりと書ければ仕訳は切ることができます。

度外視法(平均法・完成品のみに負担させる場合)の具体例

資料

1.生産データ

月初仕掛品 500個(40%)
当月投入  2,500個
計     3,000個
正常仕損   400個
月末仕掛品 600個(50%)
完成品   2,000個

  • カッコ内の数字は加工進捗度を示している。
  • 材料は始点投入である。
  • 仕損は全て正常なものである。
  • 月末仕掛品原価は平均法により計算する。
  • 仕損は終点で発生する

2.原価データ

材料費 加工費
月初仕掛品 550,000円 350,000円
当月製造費用 1,250,000円 1,000,000円
1,800,000円 1,350,000円

この資料をもとに完成品原価と月末仕掛品原価を求めてみましょう。

考え方

まずは正常仕損を完成品のみに負担させるのか完成品と期末仕掛品の両方に負担させるのかについて判断しましょう

正常仕損は終点で発生しています。終点で発生ということは加工進捗度100%、つまり完成と同時に仕損が発生しているということになります。期末仕掛品はまだ50%しか完成していません。

ということは、期末仕掛品に仕損は全く影響しないということです(期末仕掛品をさらに50%加工を行い、完成すると同時に仕損が発生することになります)。

よって、正常仕損は完成品のみに負担させることになります。完成品のみに負担させるので、仕損は一応考慮します仕損の金額を計算したあとにその金額を完成品原価に加えるということになります。

では、ボックス図を作っていきましょう。この資料から分かる数字を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・完成品のみ負担)

次に、月初仕掛品に含まれる加工費と月末仕掛品に含まれる加工費を求めましょう。

  • 月初仕掛品に含まれる加工費(200個)=月初仕掛品数量(500個)×月初仕掛品加工進捗度(40%)
  • 月末仕掛品に含まれる加工費(300個)=月末仕掛品数量(600個)×月末仕掛品加工進捗度(50%)

ちなみに正常仕損に含まれる加工進捗度は終点発生なので100%です。よって、400個となります。これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・完成品のみ負担)

次に、加工費の当月投入量を求めましょう。ボックスの左側の数字と右側の数字が同じになることに注目して求めます。

  • 加工費の当月投入量(2,500個)=完成品(2,000個)+正常仕損(400個)+月末仕掛品(300個)-月初仕掛品(200個)

これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・完成品のみ負担)

これで個数に関しては全て求まりました。あとは金額だけです。月末仕掛品の金額を求めます。次のようになります。

  • 月末仕掛品材料費(360,000円)={月初仕掛品材料費(550,000円)+当月投入材料費(1,250,000円)}÷{月初仕掛品材料数量(500個)+当月投入材料数量(2,500個)}×月末仕掛品材料数量(600個)
  • 月末仕掛品加工費(150,000円)={月初仕掛品加工費(350,000円)+当月投入加工費(1,000,000円)}÷{月初仕掛品加工費数量(200個)+当月投入加工費完成品換算数量(2,500個)}×月末仕掛品加工費完成品換算数量(300個)

次に正常仕損の金額を求めましょう。

  • 正常仕損材料費(240,000円)={月初仕掛品材料費(550,000円)+当月投入材料費(1,250,000円)}÷{月初仕掛品材料数量(500個)+当月投入材料数量(2,500個)}×正常仕損材料数量(400個)
  • 正常仕損加工費(200,000円)={月初仕掛品加工費(350,000円)+当月投入加工費(1,000,000円)}÷{月初仕掛品加工費数量(200個)+当月投入加工費完成品換算数量(2,500個)}×正常仕損加工費完成品換算数量(400個)

計算式を覚えるのではなく、何を計算しているのかをきちんと理解することが重要です。ここまで記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・完成品のみ負担)

あとは完成品原価のみです。ボックスの左側の数字と右側の数字が同じになることに注目して求めます。

  • 完成品材料費(1,200,000円)=月初仕掛品材料費(550,000円)+当月投入材料費(1,250,000円)-正常仕損材料費(240,000円)-月末仕掛品材料費(360,000円)
  • 完成品加工費(1,000,000円)=月初仕掛品加工費(350,000円)+当月投入加工費(1,000,000円)-正常仕損加工費(200,000円)-月末仕掛品加工費(150,000円)

これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・完成品のみ負担)

あとは解答だけです。

解答

  • 完成品原価(2,640,000円)=完成品材料費(1,200,000円)+完成品加工費(1,000,000円)+正常仕損材料費(240,000円)+正常仕損加工費(200,000円)
  • 月末仕掛品原価(510,000円)=月末仕掛品材料費(360,000円)+月末仕掛品加工費(150,000円)

今回は正常仕損費を完成品に加えるという考え方をより表すため、あえて正常仕損費を計算した上で完成品原価に加えました。しかし、どうせ加えるのであれば、分けて計算せずに下のように考えて純粋な完成品原価と正常仕損費をまとめて計算することもできます。

  • (純粋な完成品原価+正常仕損費)=月初仕掛品原価+当月投入-月末仕掛品原価

この場合、月末仕掛品原価が求まった時点で上の式から(純粋な完成品原価+正常仕損費)が計算できます。正常仕損費をわざわざ計算する必要はありません。慣れてくるとこのような解き方もやってみるといいと思います。

仕訳

上のボックス図に関する仕訳を示すと次のようになります。

材料費と加工費を仕掛品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 2,250,000 材料費
加工費
1,250,000
1,000,000

完成品原価を仕掛品勘定から製品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
製品 2,640,000 仕掛品 2,640,000

月末仕掛品原価である510,000円に関しては特に仕訳は切りません。そのまま次月に繰り越されます。

また、正常仕損費を考えた次のようにする仕訳も考えられなくもないですが、仕損を無視して考えるという度外視法を採用しているので、仕訳でも無視する方が一貫性があります。

材料費と加工費を仕掛品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 2,250,000 材料費
加工費
1,250,000
1,000,000

仕掛品勘定を正常仕損費に振り替える

借方 金額 貸方 金額
正常仕損費 440,000 仕掛品 440,000

正常仕損費を完成品原価に加える

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 440,000 正常仕損費 440,000

完成品原価を仕掛品勘定から製品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
製品 2,640,000 仕掛品 2,640,000

よって、正常仕損費という勘定科目が出てこない上の仕訳の方が適切だといえます。

工業簿記で仕訳の問題はあまり出題されませんが、仕訳は簿記では重要です。学習するときにはときどき仕訳を確認するといいです。ボックス図をしっかりと書ければ仕訳は切ることができます。

度外視法(平均法・完成品と期末仕掛品の両方に負担させる場合)の具体例

資料

1.生産データ

月初仕掛品 500個(40%)
当月投入  2,900個
計     3,400個
正常仕損   400個
月末仕掛品 600個(50%)
完成品   2,400個

  • カッコ内の数字は加工進捗度を示している。
  • 材料は始点投入である。
  • 仕損は全て正常なものである。
  • 月末仕掛品原価は平均法により計算する。
  • 仕損は始点で発生する

2.原価データ

材料費 加工費
月初仕掛品 550,000円 350,000円
当月製造費用 1,250,000円 1,000,000円
1,800,000円 1,350,000円

この資料をもとに完成品原価と月末仕掛品原価を求めてみましょう。

考え方

まずは正常仕損を完成品のみに負担させるのか完成品と期末仕掛品の両方に負担させるのかについて判断しましょう

正常仕損は始点で発生しています。始点で発生ということは加工進捗度0%、つまり製造開始と同時に仕損が発生しているということになります。ということは、期末仕掛品は正常仕損が発生したあとさらに加工をすすめていると考えられます。

よって、正常仕損は完成品と期末仕掛品の両方に負担させることになります。完成品と期末仕掛品の両方に負担させるので、仕損は無視します完全に無視することで自動的に完成品と期末仕掛品の両方に負担させることになります。

では、ボックス図を作っていきましょう。この資料から分かる数字を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・両者負担)

気をつけなければならないのは当月投入の欄です。資料では当月投入は2,900個となっていますが、ボックス図の当月投入欄に2,900個と書いてしまうとボックス図の左右の個数が合わなくなってしまいます。右側の正常仕損の欄が無視されるからです。

よって当月投入の欄には左右のボックス図の個数が同じになるように正常仕損の400個を資料の当月投入量2,900個から引いた2,500個と書くことになります。

次に、月初仕掛品に含まれる加工費(数量)と月末仕掛品に含まれる加工費(数量)を求めましょう。

  • 月初仕掛品に含まれる加工費(200個)=月初仕掛品数量(500個)×月初仕掛品加工進捗度(40%)
  • 月末仕掛品に含まれる加工費(300個)=月末仕掛品数量(600個)×月末仕掛品加工進捗度(50%)

ちなみに正常仕損に含まれる加工進捗度は始点発生なので0%です。よって、0個となります。これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・両者負担)

次に、加工費の当月投入量を求めましょう。ボックスの左側の数字と右側の数字が同じになることに注目して求めます。

  • 加工費の当月投入量(2,500個)=完成品(2,400個)+月末仕掛品(300個)-月初仕掛品(200個)

正常仕損は無視するところが重要です。これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・両者負担)

これで個数に関しては全て求まりました。あとは金額だけです。月末仕掛品の金額を求めます。次のようになります。

  • 月末仕掛品材料費(360,000円)={月初仕掛品材料費(550,000円)+当月投入材料費(1,250,000円)}÷{月初仕掛品材料数量(500個)+当月投入材料数量(2,500個)}×月末仕掛品材料数量(600個)
  • 月末仕掛品加工費(150,000円)={月初仕掛品加工費(350,000円)+当月投入加工費(1,000,000円)}÷{月初仕掛品加工費数量(200個)+当月投入加工費完成品換算数量(2,500個)}×月末仕掛品加工費完成品換算数量(300個)

計算式を覚えるのではなく、何を計算しているのかをきちんと理解することが重要です。ここまで記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・両者負担)

あとは完成品原価のみです。ボックスの左側の数字と右側の数字が同じになることに注目して求めます。

  • 完成品材料費(1,440,000円)=月初仕掛品材料費(550,000円)+当月投入材料費(1,250,000円)-月末仕掛品材料費(360,000円)
  • 完成品加工費(1,200,000円)=月初仕掛品加工費(350,000円)+当月投入加工費(1,000,000円)-月末仕掛品加工費(150,000円)

これらの数値を記入したボックス図は次のようになります。

度外視法(平均法・両者負担)

正常仕損費が完全に無視されているという点が重要です。

解答

  • 完成品原価(2,640,000円)=完成品材料費(1,440,000円)+完成品加工費(1,200,000円)
  • 月末仕掛品原価(510,000円)=月末仕掛品材料費(360,000円)+月末仕掛品加工費(150,000円)

正常仕損費が完全に無視されているという点が重要です。

仕訳

上のボックス図に関する仕訳を示すと次のようになります。

材料費と加工費を仕掛品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 2,250,000 材料費
加工費
1,250,000
1,000,000

完成品原価を仕掛品勘定から製品勘定に振り替える

借方 金額 貸方 金額
製品 2,640,000 仕掛品 2,640,000

月末仕掛品原価である510,000円に関しては特に仕訳は切りません。そのまま次月に繰り越されます。

工業簿記で仕訳の問題はあまり出題されませんが、仕訳は簿記では重要です。学習するときにはときどき仕訳を確認するといいです。ボックス図をしっかりと書ければ仕訳は切ることができます。

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