原価計算期間と給与計算期間のズレの調整の取引と仕訳

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では原価計算期間と給与計算期間のズレの調整の取引と仕訳について解説します。

原価計算期間と給与計算期間のズレ

これまでは労務費を「賃金消費額」=「賃金支払額」と考えてきました。しかし、現実はこのようにはなりません。原価計算期間は、通常は1ヶ月で、1日から月末までの1ヶ月です。よって、労務費の計算をする場合もこの範囲の金額を計算することになります。

それに対して給与計算期間は、通常は前月の21日から当月の20日までの1ヶ月です。よって、賃金支払額と賃金消費額にもズレが出てきてしまうのです。このズレを図で示すと下のようになります。

給与計算期間と原価計算期間のズレ

1の部分と2の部分がズレています。

原価計算期間と給与計算期間のズレの調整

原価計算期間と給与計算期間のズレを調整するためには給与計算期間の金額(賃金支払高)に2を足して1を引かなければなりません。この調整を公式として示すと次のようになります。

賃金消費高=実際支払高+当月未払高-前月未払高

1が前月未払高、2が当月未払高ということになります。原価計算を正確に行うためには、このズレを調整する必要が出てくるのです。このズレを調整する方法には未払賃金勘定を使用する方法と未払賃金勘定を使用しない方法の2つの方法があります。

なお、仕訳の考え方については簿記3級で出てきた費用の見越しと同じです。ちなみに、未払賃金勘定を使用しない方法は費用の見越しの簡便的な方法です。

ちなみに、どちらの方法を用いるのかは問題文に指示があるのが通常です。もしなければ未払賃金勘定のあるなしで判断します。

原価計算期間と給与計算期間のズレの調整の取引と仕訳(未払賃金勘定を使用する場合)

次の取引と仕訳は前提として「給与計算期間:前月21日から当月20日まで、毎月25日に支給」だと考えます。

未払賃金の再振替

「前月の賃金未払高が20,000円ある(未払賃金勘定を使用する)」場合の仕訳について考えてみましょう。

これは商業簿記で学習した費用の見越しにおける再振替仕訳と同じ考え方です。原価計算期間は1ヶ月なので、費用の見越し計上も毎月行います。

では仕訳について考えていきます。前月末に20,000円を賃金の見越し計上しています。この仕訳は次のようになっているはずです。

借方 金額 貸方 金額
賃金 20,000 未払賃金 20,000

この仕訳の再振替仕訳を行います。よって次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
未払賃金 20,000 賃金 20,000

賃金の支払い

「当月の賃金200,000円を現金で支払った」場合の仕訳について考えてみましょう。

現金で200,000円分支払っているので『(貸)現金200,000』となります。また、賃金を200,000円分支払っているので『(借)賃金200,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
賃金 200,000 現金 200,000

未払賃金の計上

「当月の賃金未払高が40,000円ある(未払賃金勘定を使用する)」場合の仕訳について考えてみましょう。

これは商業簿記で学習した費用の見越しと同じ考え方です。

借方 金額 貸方 金額
賃金 40,000 未払賃金 40,000

賃金の消費

「当月消費額のうち75%が直接労務費、25%が間接労務費だった」場合の取引と仕訳について考えてみましょう。

まずは当月消費額を確定します。前月未払高(前月21日から前月末まで)が20,000円、当月支払高(前月21日から当月20日まで)が200,000円、当月未払高(当月21日から当月末まで)が40,000円です。

当月消費高(当月1日から当月末まで)を求めるためには当月支払高に当月未払高を足して前月未払高を引かなければなりません。

この計算を行うと、当月消費高は(200,000円+40,000円-20,000円=)220,000円となります(賃金の勘定残高と同じになります)。この当月消費高が振り替えられるので、『(貸)賃金220,000』となります。

ちなみに、賃金勘定をT字勘定で表すと次のようになります。

賃金

このT字勘定と仕訳と上の計算の関係をしっかりと身につけておいてください。

では借方にいきましょう。当月消費高である220,000円の75%が直接労務費なので、『(借)仕掛品165,000』となります。直接労務費は仕掛品勘定に振り替えます。金額は(220,000円×75%=)165,000円で求めます。

また、当月消費高である220,000円の25%が間接労務費なので、『(借)製造間接費55,000』となります。間接労務費は製造間接費勘定に振り替えます。金額は(220,000円×25%=)55,000円で求めます。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品
製造間接費
165,000
55,000
賃金 220,000

原価計算期間と給与計算期間のズレの調整の取引と仕訳(未払賃金勘定を使用しない場合)

次の取引と仕訳は前提として「給与計算期間:前月21日から当月20日まで、毎月25日に支給」だと考えます。

未払賃金の再振替

「前月の賃金未払高が20,000円ある(未払賃金勘定を使用しない)」場合の仕訳について考えてみましょう。

これは商業簿記で学習した費用の見越しにおける再振替仕訳と同じ考え方です。しかし、この例では未払賃金勘定は使いません。

未払賃金勘定を使わないということは費用の見越し計上も行わないということになります。よって再振替仕訳もありません。「仕訳なし」となります(賃金勘定の貸方残高が20,000円という形で計上されています。)。

賃金の支払い

「当月の賃金200,000円を現金で支払った」場合の仕訳について考えてみましょう。

現金で200,000円分支払っているので『(貸)現金200,000』となります。また、賃金を200,000円分支払っているので『(借)賃金200,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
賃金 200,000 現金 200,000

これは未払賃金勘定を使用する場合と同じです。

未払賃金の計上

「当月の賃金未払高が40,000円ある(未払賃金勘定を使用しない)」場合の仕訳について考えてみましょう。

これは商業簿記で学習した費用の見越しと同じ考え方です。しかし、この例では未払賃金勘定は使いません。未払賃金勘定を使わないということは費用の見越し計上も行わないということになります。よって「仕訳なし」となります。

賃金の消費

「当月消費額のうち75%が直接労務費、25%が間接労務費だった」場合の取引と仕訳について考えてみましょう。

まずは当月消費額を確定します。前月未払高(前月21日から前月末まで)が20,000円、当月支払高(前月21日から当月20日まで)が200,000円、当月未払高(当月21日から当月末まで)が40,000円です。

当月消費高(当月1日から当月末まで)を求めるためには当月支払高に当月未払高を足して前月未払高を引かなければなりません。

この計算を行うと、当月消費高は(200,000円+40,000円-20,000円=)220,000円となります(賃金の勘定残高と同じになります)。この当月消費高が振り替えられるので、『(貸)賃金220,000』となります。

次は借方です。当月消費高である220,000円の75%が直接労務費なので、『(借)仕掛品165,000』となります。直接労務費は仕掛品勘定に振り替えます。金額は(220,000円×75%=)165,000円で求めます。

また、当月消費高である220,000円の25%が間接労務費なので、『(借)製造間接費55,000』となります。間接労務費は製造間接費勘定に振り替えます。金額は(220,000円×25%=)55,000円で求めます。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品
製造間接費
165,000
55,000
賃金 220,000

これは未払賃金勘定を使用する場合と同じです。未払賃金勘定を使用しない場合は、費用の見越しを未払賃金勘定ではなく賃金勘定で行っていると考えると分かりやすいと思います。

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“原価計算期間と給与計算期間のズレの調整の取引と仕訳” への4件のフィードバック

  1. 田原義信 より:

    今まで仕訳の借方(左)・貸方(右)と勘定の左と右は逆になると理解してきたのですが、給与の時は同じ側になるということなのでしょうか。
    それとも勘定とT字勘定の書き方そのものが逆になるということでしょうか。
    すみません、分かったつもりでいたのですが、分かっていなかったみたいです。
    教えてください。

    • dokuboki より:

      ご質問ありがとうございます。早速ご質問にお答えします。

      ≫仕訳の借方(左)・貸方(右)と勘定の左と右は逆になる

      この表現ですが、おそらく「(借)賃金200,000/(貸)現金200,000」という仕訳と「T字勘定で借方に出てくる『当月支払高(現金)200,000』」のことをおっしゃっているのだと思います(仕訳は一例です)。これは確かに「仕訳の借方(左)・貸方(右)と勘定の左と右は逆になる」と言うこともできなくもありません。

      ただ、T字勘定の本質はその勘定科目の集計です。なので「賃金勘定が200,000円増加している(借方に計上されている)理由を、この仕訳の相手勘定である『現金』とT字勘定の借方に書き込むことで説明している(賃金という費用の増加が現金を払うことに伴って起こったと説明している)」とお考えになった方がT字勘定の意味を理解しやすいと思います。

      ≫給与の時は同じ側になるということなのでしょうか。それとも勘定とT字勘定の書き方そのものが逆になるということでしょうか。

      おそらく一つ目の仕訳である「(借)賃金20,000/(貸)未払賃金20,000」のことをおっしゃっているのではないかと思いますが、この仕訳は再振替仕訳をイメージするために前月の仕訳を提示したものです。なので当月の賃金のT字勘定には含まれていないと考えていただけるといいかと思います。

  2. 田原義信 より:

    ありがとうございます。まさにここのポイントが18日の本試験でも出題されたので、しっかり勉強して本当に良かったです。ありがとうございました。

    • dokuboki より:

      ご返信ありがとうございます。お役に立ててよかったです。こちらこそありがとうございました。

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