- 工業簿記を勉強していると等級別総合原価計算っていう内容が出てきたんだけど……
- 等級別総合原価計算と普通の総合原価計算の違いが分からない
- 等級別総合原価計算について教えて!
等級別総合原価計算は具体的にイメージするのが難しく、苦手にしてしまう方が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん等級別総合原価計算についても熟知しています。
この記事では簿記2級で出題される等級別総合原価計算について解説します。等級別総合原価計算を理解するために不可欠の「等価係数」についても解説します。
この記事を読めば等級別総合原価計算についてより深く理解できるので、簿記2級で等級別総合原価計算の問題が出題されても自信を持って解答できるようになります。
結論を言うと、等級別総合原価計算は同じ種類だけど大きさや規格が違う製品を同一工程で製造する場合に適用する総合原価計算です。
等級別総合原価計算とは「種類は同じだけど大きさや規格が違う製品に適用する総合原価計算」
同じ種類だけど大きさや規格が違う製品を同一工程で製造する場合に適用する総合原価計算を等級別総合原価計算といいます。
等級別総合原価計算は、同じ工程で同じ材料を使用して同じ種類の製品を大量生産しています。
しかし、その製品の「形」「大きさ」「重さ」「階級」などによって等級に区別できる製品(等級品)を製造する企業で使う総合原価計算です。
できる製品そのものが違う場合に使う組別総合原価計算とは異なります。
等価係数とは:基準を1としたときの原価の負担割合
等級別総合原価計算では、各等級品について等価係数というものを決めます。
等価係数とは、等級が違う製品の生産量の単位をそろえるためのものです。月末仕掛品を完成品に換算する場合に使用する加工進捗度と考え方は似ています。
等価係数に各等級品の生産量をかけて求めた数の比で原価計算期間の完成品総合原価を配分することで各等級品の完成品原価を求めます。
等級別総合原価計算の勘定連絡図
等級別総合原価計算の勘定連絡図は次のようになります。
仕掛品勘定までは同じで、そこから等級別に分かれるのが特徴です。製品完成後に分かれることになります。
原価の流れをイメージしておくことが大切です。
等級別総合原価計算の問題
この資料をもとに次の等級別総合原価計算表を作ってみましょう。
まずは積数の欄から埋めましょう。積数とは等価係数に各等級品の生産量をかけて求めた数のことで、完成品原価をどのような比率で配分するのかを表します。
- 1級品の積数(120)=等価係数(1.2)×生産量(100個)
- 2級品の積数(200)=等価係数(1.0)×生産量(200個)
次に完成品総合原価を積数の比で配分します。
- 1級品の完成品原価(600,000円)=完成品総合原価(1,600,000円)÷積数の合計(320)×1級品の積数(120)
- 2級品の完成品原価(1,000,000円)=完成品総合原価(1,600,000円)÷積数の合計(320)×2級品の積数(200)
あとは、それぞれの完成品原価を生産量で割って単価を求めます。
- 1級品の完成品単価(6,000円)=1級品の完成品原価(600,000円)÷1級品の生産量(100個)
- 2級品の完成品単価(5,000円)=2級品の完成品原価(1,000,000円)÷2級品の生産量(200個)
求まった数値を等級別総合原価計算表に記入すれば解答になります。
1級品の完成品単価と2級品の完成品単価の比は等価係数の比と同じになります。
- 6,000円:5,000円=1.2:1.0
このようになるのは、そもそも等価係数が完成品単価の比を表すものだからです。
等級別総合原価計算は完成品単価の比が等価係数と同じになるように完成品総合原価を各製品に配分する方法だといえます。
【まとめ】簿記2級の等級別総合原価計算のやり方
同じ種類だけど大きさや規格が違う製品を同一工程で製造する場合に適用する総合原価計算を等級別総合原価計算といいます。
等級別総合原価計算では、各等級品について等価係数を決めます。
そして、等価係数に各等級品の生産量をかけて求めた数の比で原価計算期間の完成品総合原価を配分することで各等級品の完成品原価を求めます。
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