
簿記を勉強しているとファイナンスリース取引のところで利子抜き法っていう会計処理が出てくるけどどうやって会計処理をするんだろう。利子抜き法について知りたいな。
こういった疑問に答えます。
ちなみに、この記事を書いている私は日商簿記に合格するための通信講座を2012年から運営し、これまでに数百人の合格者を送り出させていただいています。もちろん私自身も簿記1級に合格しています。こういった私が解説していきます。
ファイナンスリース(利子抜き法)の仕訳

ファイナンス・リース取引の開始
平成×1年4月1日に次のようなリース取引を開始した。
- このリース取引は「ファイナンス・リース取引」である
- リース料の支払…1年後(平成×2年3月31日)から5回均等払い(後払方式)
- リース契約期間…5年
- 毎年のリース料…1,000,000円
- リース資産の現金での見積購入価額…4,800,000円
- ファイナンス・リース取引の会計処理は利子抜き法(定額法)による
この資料をもとにファイナンス・リース取引(利子抜き法)の仕訳を考えてみましょう。
このリース取引は「ファイナンス・リース取引」なので、リース契約を行った時点でリース物件を取得したと考えた仕訳を切ります。利子抜き法の場合、そのリース資産の取得原価をリース資産に計上します。
リース資産の取得原価として最も合理的なのは「貸手の購入価額」ですが、「貸手の購入価額」は資料に与えられていないので「見積購入価額」で代用します(「貸手の購入価額」は借手は通常分かりません。)。
リース資産の現金での見積購入価額は4,800,000円です。リース物件は「リース資産」という勘定科目で処理します。よって『(借)リース資産4,800,000』となります。
また、ファイナンス・リース取引では途中で解約することはできません。なので、このリース資産と同額の債務を負ったと考えられます。この債務は「リース債務」という勘定科目で処理します。よって『(貸)リース債務4,800,000』となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
リース資産 | 4,800,000 | リース債務 | 4,800,000 |
リース料の支払い
平成×2年3月31日となったので、リース料1,000,000円を現金で支払った。
1,000,000円を現金で支払ったので『(貸)現金1,000,000』となります。問題は借方です。ファイナンス・リース取引では賃貸借取引のような仕訳は切れないので借方を「支払リース料」とするわけにはいきません。
ファイナンス・リース取引では、この支払ったリース料は「支払利息分」と「リース債務の元本返済分」でできています。そこで、まずは「リース債務の元本返済分」を計算します。
リース債務4,800,000円を5年間で返済するので、1年あたりのリース債務の返済額は(リース債務4,800,000円÷リース期間5年=)960,000円です(定額法なのでこのような計算になります。簿記1級で学習する利息法の場合、これとは異なる計算を行います。)。
よって『(借)リース債務960,000』となります。
また、貸借差額40,000円は支払利息です。よって『(借)支払利息40,000』となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
リース債務 支払利息 | 960,000 40,000 | 現金 | 1,000,000 |
減価償却
「決算日である平成×2年3月31日となったので定額法(間接法)による減価償却を行う。」場合の仕訳について考えてみましょう。
ファイナンス・リース取引なので、次のような数値をもとに減価償却費を計算することになります。
- 取得原価…4,800,000円(リース取引の開始時に計算済みです)
- 残存価額…0
- 耐用年数…5年(リース期間です)
よって減価償却費は(取得原価4,800,000円÷耐用年数5年=)960,000円となります。
あとは間接法による仕訳を切るだけです。『(借)減価償却費960,000』『(貸)減価償却累計額960,000』となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 960,000 | 減価償却累計額 | 960,000 |
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