資本と純資産の違い

資本という言葉と純資産という言葉は同じような文脈で使われることから、資本と純資産の違いが分からずに悩んでしまう方が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん資本と純資産の違いについても熟知しています。

この記事では資本と純資産の違いについてわかりやすく解説します。

この記事を読めば資本と純資産の違いについてより深く理解できるので、簿記2級で資本や純資産に関する用語が出てきても自信を持って解答することができるようになります。

結論を一言で言うと、資本は所有者（株主）が保有している部分のことで、純資産は資産と負債の差額のことです。

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資本とは：資本主が保有している部分（資本主が株主の場合は株主資本）

資本は資本主が保有している部分です。株式会社の場合は資本主は株主なので、日商簿記で勉強する株式会社では資本は株主資本とも言われます。

資本については「資本とは何か【資本の意味をわかりやすく】」で詳しく解説しています。

純資産は資産と負債の差額のことで「資産－負債」です。

資産は「企業が持っているモノや権利」、負債は「資産を引き渡す義務」なので、「資産－負債」は「企業が持っているモノや権利のうち誰にも引き渡さなくていい部分」ということができます。

このように考えると、資本と純資産はほとんど同じものを意味していることが分かります。自分が保有している部分は誰にも渡さなくていいと考えるのが自然だからです。

確かにそのとおりで、簿記3級で学習する範囲においては資本と純資産は完全に重なります。そのため、簿記3級の学習教材では資本という言葉だけを使っているものも多いです。

このブログ（暗記不要の簿記独学講座）でも資本と言う言葉で説明することが多いです。

しかし学習が進んで簿記2級に入ると「純資産ではあるが資本ではないもの」が登場します。

簿記2級で出てくる「純資産ではあるが資本ではないもの」は次の2つです。

その他有価証券評価差額金はその他有価証券から発生した評価差額です。

その他有価証券評価差額金については「その他有価証券【仕訳と勘定科目をわかりやすく】」で詳しく解説しています。

売買目的有価証券であれば有価証券評価損益という形で収益または費用となるのですが、その他有価証券の場合は収益や費用にならず、純資産になります。

その他有価証券評価差額金は「誰にも引き渡さなくていい部分」ですが、株主が保有している部分とは言えません。まだ収益や費用として確定していないからです。

非支配株主持分とは、子会社の株式のうち親会社が保有していない部分のことです。仮に親会社の持分比率が60％なら、非支配株主持分は40％となります。

非支配株主持分は誰にも引き渡さなくていい部分なので純資産です。しかし、株主が保有していない部分なので資本ではありません。

このように簿記2級になると「純資産ではあるが資本ではないもの」が出てくることで純資産と資本にズレが出てきます。