- 簿記を勉強していたら、株式会社が出てきたんだけど……
- 株式会社と株主の関係がよく分からない
- 株主の有限責任や株主総会について教えて!
株式会社の仕組みは簿記3級の学習内容の中でもかなり複雑で感覚的にも分かりづらいので、苦手にしてしまっている方が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん株式会社の仕組みについても熟知しています。
この記事では株式の発行や株主の有限責任、株主総会について解説します。
この記事を読めば、株式会社の仕組みについてより深く理解できるので、簿記3級で株式会社の仕組みに関する問題が出題されても自信を持って解答できるようになります。
結論を一言で言うと、株式を購入することで株主になれます。株主は責任が出資額に限定されています。株主は株式会社の意思決定機関である株主総会に参加する権利があります。
株式会社の仕組み
株式会社の仕組みについて、次の3つの内容を解説します。
- 株式の発行
- 株主の有限責任
- 株式会社の意思決定機関
株式の発行:会社が資金を調達する手段の一つ
営業活動を行うためには資金が必要です。活動資金(資本金)を調達するために、株式会社を設立するときに株式を発行します。
会社に資金を提供した人は、株式を手に入れて株主になります。
図で表すと次のようになります。
なお、株式を発行したときには、全額を資本金とするのが原則ですが、一定額については資本金としないことも認められています。
発行可能株式総数:株式会社が発行できる株式の総数
株式会社が発行できる株式の総数を発行可能株式総数といいます。
設立時に発行可能株式総数を定款(法人の決まり)に定めます。そして、設立時には発行可能株式総数の4分の1以上を発行しなければなりません(会社法第37条)。
株主の有限責任:出資金以上に責任を負わなくてもよい
株式会社は株主のものです。
株式会社が株主のものであるならば、株式会社が損失を出して借金を返せなくなった場合、株主はその借金を個人の資産で返せなければならないとも考えられます。
しかし、株主にそこまでの責任を負わせてしまうと、株式会社が出す損失に対して株主は事実上無限に責任を負うことになります。
無限の責任を負わなければならないのであれば安心して出資して株主となることができません。
そこで、会社法では、株主は株式を購入したときに支払った資金(出資金)以外には会社の債権者に対しては責任を負わない制度となっています。
つまり、最悪の場合でも株式の購入代価の全額をあきらめるだけでよく、それ以上にお金を支払う必要がないということでもあります。
この制度のことを株主の有限責任といいます。
株式会社の意思決定機関
株式会社の意思決定機関はおおまかにいうと2つあります。「株主総会」と「取締役会」です。
株主総会:株式会社の中で最高の意思決定機関
株式会社は株主のものです。ということは、株式会社が何かを決める場合には株主が決めるべきだと考えられます。株主が意思決定をする意思決定機関を株主総会といいます。
株主総会は株式会社の中で最高の意思決定機関です。株式会社で決定したことは会社での決定事項の中でも最も強い力を持っています。
通常は年に1回開催し、3月決算の株式会社では6月頃に開催されるのが一般的です。
株主総会で決定することの代表例は、次の2つです。
- 剰余金の処分 (前期に得た利益をどのように配分するのかを決める)
- 取締役の選任(取締役を誰に任せるのかを決める)
取締役会:株主総会の決定にしたがう意思決定機関
株式会社は株主のものなので、株主が株式会社における全ての事項を決定するのが理想的です。しかし、株式会社の決定事項を全て株主が話し合って決めることは現実として不可能です。
株主は忙しいですし(たいていの株主は本業を持っています)、経営の専門家ではないからです。
そこで、大まかな方針だけは株主総会で決定し、細やかなことは経営の専門家を取締役として選び、取締役に決定してもらう方がはるかに合理的になります。
取締役が話し合って決める意思決定機関を取締役会といいます。
取締役会で決定することの代表例は、次の2つです。
- 日々の会社の業務についての決定
- 増資
【まとめ】株式会社の仕組み【簡単な図でわかりやすく】
株式を購入することで株主になれます。株主は責任が出資額に限定されています。株主は株式会社の意思決定機関である株主総会に参加する権利があります。
株式会社の意思決定機関は「株主総会」と「取締役会」の2つです。株主総会は株式会社で最高の意思決定機関で、取締役会は株主総会の決定にしたがう意思決定機関です。
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