固定資産に含まれる未実現利益の消去(アップストリーム)

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では連結会計における固定資産に含まれる未実現利益の消去(アップストリーム)について解説します。

固定資産に含まれる未実現利益の消去

企業集団内での固定資産の売買は連結会計ではただの固定資産の移動だと考えます。なので企業集団内で固定資産を売買し、その固定資産が企業集団内に期末まで保有されている場合は、固定資産に含まれる未実現利益を消去しなければなりません

※固定資産の売買において「損失」が発生した場合は、固定資産に含まれる「未実現損失」を消去することになります。

この場合、その固定資産が減価償却を行わない資産(非償却資産)なのか減価償却を行う資産(償却資産)なのかで会計処理が異なるのですが、簿記2級では非償却資産の場合のみ学習します。

また、未実現利益を消去することによって利益が変わってくるので税効果会計が必要になってくるのですが、簿記2級では連結会計に関する税効果会計は考慮しないので、ここでも税効果会計は考慮しない形で学習します。

非償却資産の場合

企業集団内で非償却資産が売買され、その非償却資産が企業集団内に期末まで保有されていた場合は、売買によって発生した未実現利益を消去します

非償却資産を購入した側の企業の帳簿価額は、売却した側の企業が計上した利益を含めた金額になっています。

なので、その利益だけ非償却資産の帳簿価額を減額するとともに売却した側の企業に計上されている売却益を消去します(企業集団外部に売却するときに未実現利益が実現します。そのときにはこの仕訳の逆仕訳を切ることになります。)。

また、非償却資産を子会社から親会社に売却した場合、未実現利益は子会社に計上されているので、消去した未実現利益のうち非支配株主の持分は非支配株主に負担させることになります(「全額消去・持分按分負担方式」です。棚卸資産の場合と同じです。)。

非償却資産(アップ・ストリーム)の場合の具体例

企業集団内での売買

当社は平成×1年4月1日にS社の議決権の80%を取得し、支配を獲得した。S社は当期(平成×1年4月1日から平成×2年3月31日)中に当社に対し帳簿価額1,200,000円の土地を1,600,000円で売却した。当社はこの土地を当期末に保有している。

これらの資料をもとに当期(平成×1年4月1日から平成×2年3月31日)の連結修正仕訳を考えてみましょう。

この取引は子会社(S社)から親会社(当社)に土地を販売しているので、アップ・ストリームだと分かります(アップ・ストリームなので、非支配株主持分の修正が必要になります。)。

未実現利益の消去

まずは未実現利益を消去します。S社に計上されている固定資産売却益は(売却価額1,600,000円-帳簿価額1,200,000円=)400,000円です。この固定資産売却益を未実現利益として消去するので『(借)固定資産売却益400,000』となります。

また、当社の土地の帳簿価額は売却益400,000円が含まれた金額になっているので、当社の土地勘定から400,000円を減額します。よって『(貸)土地400,000』となります。

非支配株主持分の修正

最後に非支配株主持分の修正を行います。未実現利益は400,000円です。このうちの20%である80,000円は非支配株主の持分に対応した未実現利益だと言えます。よって、消去された未実現利益のうち80,000円は非支配株主持分に負担させます。

よって『(貸)非支配株主に帰属する当期純利益80,000』となります(利益の減少を非支配株主に負担させるので、親会社からすれば利益の減少の減少となり貸方に計上することになります。)。

また、利益の減少を非支配株主に負担させることによって非支配株主持分が減少します。よって『(借)非支配株主持分当期変動額80,000』となります。

借方 金額 貸方 金額
固定資産売却益
非支配株主持分当期変動額
400,000
80,000
土地
非支配株主に帰属する当期純利益
400,000
80,000

企業集団外部へ売却

当社は、平成×1年4月1日にS社の議決権の80%を取得し、支配を獲得した。S社は前期(平成×1年4月1日から平成×2年3月31日)中に当社に対し、帳簿価額1,200,000円の土地を1,600,000円で売却した。

当社はこの土地を当期(平成×2年4月1日から平成×3年3月31日)末に連結外部に2,500,000円で売却した。これらの資料をもとに必要な連結修正仕訳を考えてみましょう。

開始仕訳

まずは開始仕訳を切ります。

開始仕訳は前期の連結修正仕訳の「固定資産売却益」と「非支配株主に帰属する当期純利益」を「利益剰余金前期末残高」に置き換えたものになります(「前期の利益の増減」が「当期に繰り越されてくる利益剰余金の増減」となって当期に振り替えられているからです。)。

また、「非支配株主持分当期変動額」を「非支配株主持分前期末残高」に置き換えたものになります。

よって『(借)利益剰余金前期末残高400,000』『(貸)土地400,000』『(借)非支配株主持分前期末残高80,000』『(貸)利益剰余金前期末残高80,000』となります。

売却に関する未実現利益の実現

次は売却に関する連結修正消去仕訳です。売却によって消去されていた未実現利益400,000円が実現します。なので『(貸)固定資産売却益400,000』となります。

※(個別会計での利益(連結外部への売価2,500,000円-当社の取得原価1,600,000円=)900,000円を連結会計での利益(連結外部への売価2,500,000円-S社の取得原価1,200,000円=)1,300,000円に修正すると考えることもできます。

また、未実現利益を消去したときに、土地の取得原価も400,000円減額して修正しています。この消去も取り消します(取得原価を1,600,000円から1,200,000円に修正していたところを1,600,000円に戻すということです。)。よって『(借)土地400,000』となります。

非支配株主持分の修正

最後に非支配株主持分を修正します。未実現利益のうち非支配株主持分が負担すべき金額は80,000円で、前期に非支配株主に負担させていました。

この未実現利益は当期に実現したので、負担させていた80,000円も消去します。よって『(借)非支配株主に帰属する当期純利益80,000』『(貸)非支配株主持分当期変動額80,000』となります。

借方 金額 貸方 金額
利益剰余金前期末残高
非支配株主持分前期末残高
土地
非支配株主に帰属する当期純利益
400,000
80,000
400,000
80,000
土地
利益剰余金前期末残高
固定資産売却益
非支配株主持分当期変動額
400,000
80,000
400,000
80,000

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