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税効果会計とは何かわかりやすく【難しい人必見】

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  • 簿記を勉強していたら、税効果会計っていう内容が出てきたんだけど……
  • 益金とか損金とか今まで見たことがない言葉がたくさん出てきてよく分からない
  • 税効果会計とは何かわかりやすく教えて!

税効果会計は取引自体を理解することが難しく、簿記2級の中では連結会計と並んで非常に難しい論点です。苦手にしてしまう人も非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん税効果会計についても熟知しています。

この記事では税効果会計とは何か、基本となることがらを中心にわかりやすく解説します。

この記事を読めば税効果会計についてより深く理解できるので、簿記2級で税効果会計に関する問題が出題されても自信を持って解答することができます。

結論を一言で言うと、「法人税等」を「当期の税引前当期純利益に対応する法人税等」に修正し、「次期以降の税引前当期純利益に対応する法人税等」は次期に繰り延べる会計処理を税効果会計と言います

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税効果会計で使われる用語

最初に、税効果会計で使われる「益金」「損金」「課税所得」という用語について整理しておきましょう。

益金:税務における収益

会計でいう「収益」にあたる税務での言葉が「益金」です。

収益と益金は意味的には同じなのですが、収益と益金では計上するための条件などが違います

「会計では収益にあたるものでも税務では益金に当たらないもの」や、「会計では収益に当たらないものでも税務では益金に当たるもの」があります。

収益と益金は金額まで同じになるとは限りません。

損金:税務における費用

会計でいう「費用」にあたる税務での言葉が「損金」です。

費用と損金は意味的には同じなのですが、費用と損金では計上するための条件などが違います

「会計では費用にあたるものでも税務では損金に当たらないもの」や、「会計では費用に当たらないものでも税務では損金に当たるもの」があります。

費用と損金は金額まで同じになるとは限りません。

課税所得:税務における利益

会計でいう「利益」にあたる税務での言葉が「課税所得」です。

課税所得は単に「所得」ということもあります。

会計では「収益-費用=利益」という計算で利益を計算したように、税務では「益金-損金=課税所得」という計算で課税所得を計算します。

利益と課税所得は、言葉の意味としてはおおよそ同じなのですが、収益と益金、費用と損金にあたる金額がそれぞれ異なるので、利益と課税所得の金額も異なります。

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税効果会計:税引前当期純利益と法人税等を対応させる会計処理

損益計算書に計上されている法人税等の金額は、「税引前当期純利益」ではなく、「課税所得」に法人税等の税率をかけて計算します。

法人税等は正確には「法人税」「住民税」「事業税」の3つです。「等」の中に「住民税」と「事業税」が含まれているということになります。

全て書くと「法人税、住民税及び事業税」となりますが、長いので一般的には法人税等と言います。

「税引前当期純利益」と「課税所得」が違う場合、「税引前当期純利益」と「法人税等」が対応しなくなってしまいます。

「法人税等」は費用なので、「税引前当期純利益」と「法人税等」が対応しないというのは費用収益対応の原則(費用と収益は対応していなければならないという原則)の点から問題があります。

他にも「その企業の過去の税引前当期純利益と当期の税引前当期純利益を適正に比較できない」「他の企業の税引前当期純利益と適正に比較できない」という問題も発生します。

「税引前当期純利益」と「法人税等」が対応しないという問題を解決するためには、損益計算書の「法人税等」の金額を調整して「税引前当期純利益」と「法人税等」を対応させる必要があります。

そこで、「法人税等」を「当期の税引前当期純利益に対応する法人税等」に修正し、「次期以降の税引前当期純利益に対応する法人税等」は次期に繰り延べることで対応させます

この会計処理を「税効果会計」と言います。

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税効果会計が必要な理由

税効果会計は理解するきっかけが非常につかみにくい論点です。

「なぜ税効果会計を行うのか」「どのような考え方があるのか」がつかみにくいのです。

そこで最初にごく簡単な状況から税効果会計を考えてみます。

金融業での設定(税効果会計を行わない場合)

簿記ではほとんど出てこないのですが「金融業」をイメージしてみてください。お金を貸して利息を稼ぐ商売です。この金融業に次のような会計事実が起こったことを想定します。

資料
  • 平成×1年度の売上は1,200,000円、平成×2年度の売上は1,000,000円、平成×3年度の売上は1,000,000円であった。
  • 平成×1年度に貸倒損失が200,000円発生した。
  • 平成×1年度に発生した貸倒損失は当初損金として認められなかったが平成×3年度にようやく損金として認められた。
  • 法人税等の税率は40%で一定である。
  • この資料以外の収益や費用は一切発生していない。

この資料をもとに各期の損益計算書を税効果会計を無視して考えてみます。

平成×1年度

平成×1年度は「売上1,200,000円」「貸倒損失200,000円」なので税引前当期純利益は(売上1,200,000円-貸倒損失200,000円=)1,000,000円となります。

また、貸倒損失は損金として認められていないので課税所得は売上1,200,000円全額になります。法人税率は40%なので法人税等は(課税所得1,200,000円×法人税率40%=)480,000円となります。

税引後当期純利益は(税引前当期純利益1,000,000円-法人税等480,000円=)520,000円となります。

  • 税引前当期純利益:1,000,000円
  • 法人税等:480,000円
  • 税引後当期純利益:520,000円

平成×2年度

平成×2年度は「売上1,000,000円」なので税引前当期純利益は1,000,000円となります。

また、課税所得も売上1,000,000円で法人税率は40%なので法人税等は(課税所得1,000,000円×法人税率40%=)400,000円となります。

税引後当期純利益は(税引前当期純利益1,000,000円-法人税等400,000円=)600,000円となります。

  • 税引前当期純利益:1,000,000円
  • 法人税等:400,000円
  • 税引後当期純利益:600,000円

平成×3年度

平成×3年度は「売上1,000,000円」なので税引前当期純利益は1,000,000円となります。

また、やっと平成×1年度に発生した貸倒損失が損金として認められることになったので課税所得は(売上1,000,000円-貸倒損失200,000円=)800,000円になります。

法人税率は40%なので法人税等は(課税所得800,000円×法人税率40%=)320,000円となります。

税引後当期純利益は(税引前当期純利益1,000,000円-法人税等320,000円=)680,000円となります。

  • 税引前当期純利益:1,000,000円
  • 法人税等:320,000円
  • 税引後当期純利益:680,000円

税効果会計を行わない場合の問題点

この例では税効果会計を行っていません。

そのため、平成×1年度から平成×3年度までずっと「税引前当期純利益は1,000,000円」であるにも関わらず、税引後当期純利益はバラバラの金額になっています

この損益計算書を見た利害関係者は「税引後当期純利益がどんどん増えていっているから業績は好調だろう」と考えてしまうかもしれません。

ですが、実際は「平成×1年度に会計的には認められている費用(貸倒損失)が税務的には損金として認められなかったことで法人税等の金額が変化した」というだけです。

平成×1年度に会計的に貸倒損失が認められているということは、会計的にはその貸倒損失は課税額も含めて平成×1年度の収益に対応させるべきです。

しかし、税務上損金として認められるのが平成×3年度になったことで、貸倒損失が発生したことによる課税額(貸倒損失200,000円×法人税率40%=)80,000円が平成×3年の収益と対応させられてしまっています。

これでは適正な会計処理とは言えません。そこで税効果会計が必要になります。

金融業での設定(税効果会計を行う場合)

金融業に先ほどと同じ会計事実が起こったことを想定します。

資料
  • 平成×1年度の売上は1,200,000円、平成×2年度の売上は1,000,000円、平成×3年度の売上は1,000,000円であった。
  • 平成×1年度に貸倒損失が200,000円発生した。
  • 平成×1年度に発生した貸倒損失は当初損金として認められなかったが平成×3年度にようやく損金として認められた。
  • 法人税等の税率は40%で一定である。
  • この資料以外の収益や費用は一切発生していない。

このような状況をもとに各期の損益計算書を税効果会計を考慮して考えてみます。

平成×1年度

平成×1年度は「売上1,200,000円」「貸倒損失200,000円」なので税引前当期純利益は(売上1,200,000円-貸倒損失200,000円=)1,000,000円となります。

また、貸倒損失は損金として認められていないので課税所得は売上1,200,000円全額になります。法人税率は40%なので法人税等は(課税所得1,200,000円×法人税率40%=)480,000円となります。

ここからが税効果会計です。

法人税等480,000円のうちの(貸倒損失200,000円×法人税率40%=)80,000円は会計上認められている貸倒損失200,000円が税務上認められなかったことによって増加した税金です。

会計上は貸倒損失は当期の負担なので、この80,000円も当期に負担させます。よって法人税等から80,000円を控除します。

直接控除するのではなく、「法人税等調整額」という法人税等の評価勘定を使って控除します。

税引後当期純利益は{税引前当期純利益1,000,000円-(法人税等480,000円-法人税等調整額80,000円)=}600,000円となります。

  • 税引前当期純利益:1,000,000円
  • 法人税等:480,000円
  • 法人税等調整額:△80,000円
  • 税引後当期純利益:600,000円

平成×2年度

平成×2年度は「売上1,000,000円」なので税引前当期純利益は1,000,000円となります。

また、課税所得も売上1,000,000円で法人税率は40%なので法人税等は(課税所得1,000,000円×法人税率40%=)400,000円となります。

税引後当期純利益は(税引前当期純利益1,000,000円-法人税等400,000円=)600,000円となります。

  • 税引前当期純利益:1,000,000円
  • 法人税等:400,000円
  • 税引後当期純利益:600,000円

平成×2年度は会計と税務に違いがないので税効果会計を考慮しない場合と同じになります。

平成×3年度

平成×3年度は「売上1,000,000円」なので税引前当期純利益は1,000,000円となります。

また、やっと平成×1年度に発生した貸倒損失が損金として認められることになります。よって課税所得は(売上1,000,000円-貸倒損失200,000円=)800,000円になります。

法人税率は40%なので法人税等は(課税所得800,000円×法人税率40%=)320,000円となります。

ここからが税効果会計です。

法人税等の金額320,000円は、貸倒損失200,000円が損金として認められたことによって(貸倒損失200,000円×法人税率40%=)80,000円減額されています。

貸倒損失は平成×1年度に負担させるべき費用で、この80,000円も平成×1年度にすでに負担させています。そこで法人税等からの80,000円の減額を取り消します。

減額の取り消しなので加算することになります。また、直接加算するのではなく、「法人税等調整額」という法人税等の評価勘定を使って加算します。

税引後当期純利益は{税引前当期純利益1,000,000円-(法人税等320,000円+法人税等調整額80,000円)=}600,000円となります。

  • 税引前当期純利益:1,000,000円
  • 法人税等:320,000円
  • 法人税等調整額:80,000円
  • 税引後当期純利益:600,000円

これで、平成×1年度から平成×3年度まで全ての会計期間で「税引前当期純利益1,000,000円」「税引後当期純利益600,000円」となりました。

税効果会計を適用した場合の方が明らかに適正な会計処理となっています。

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税効果会計の仕訳については「税効果会計の仕訳【簿記2級】をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

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【まとめ】税効果会計とは何かわかりやすく【難しい人必見】

損益計算書の「法人税等」の金額を調整して「税引前当期純利益」と「法人税等」を対応させる会計処理が税効果会計です。

税効果会計を行うことで、税引前当期純利益と法人税等が対応するので適正な財務諸表を作成することができます。

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