偶発債務における保証債務の取引と仕訳

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では偶発債務における保証債務について解説します。

偶発債務

偶発債務とは、今はまだ確定した債務(確定債務)ではないけれど、将来もしかしたら発生するかもしれない債務を言います。

「買掛金」や「借入金」などは確定債務です。現金などを引き渡す義務が既に発生しているからです。

それに対して手形の裏書手形の割引の対照勘定法で出てきた「手形裏書義務」や「手形割引義務」などは偶発債務です。「手形裏書義務」や「手形割引義務」の債務はまだ発生していません。

「手形裏書義務」や「手形割引義務」の債務が発生するのは裏書・割引した手形の手形支払人が手形代金を支払えなかった場合です。

現時点ではこの出来事は発生していないのでこの債務はまだ発生していないのです。このような債務を偶発債務といいます。

偶発債務は偶発債務が確定債務に変化する出来事が起きない限り資産・負債・資本が変化しないので簿記上の取引とはいえません。しかし、将来債務が確定する危険があるため、その危険に備えた仕訳をしておく必要があります

偶発債務における保証債務

他人の債務を保証した場合、その債務者が債務を支払えなかった場合には保証人が代わりに債務を支払わなければなりません(支払ったあとに債務者に支払いを請求することはできます)。

よって、他人の債務を保証した場合は偶発債務が発生することになるので仕訳が必要になります

偶発債務における保証債務の取引と仕訳

債務の保証を行った

「当社はA会社の借入金500,000に対して保証人になった」場合の仕訳を考えてみましょう。

保証人になったことで、もしA社が借入金を返済しなかった場合には当社が代わりに支払わなければなりません。これは偶発債務にあたるので仕訳を切らなければなりません。この偶発債務「保証債務」という勘定で表します。よって『(貸)保証債務500,000』となります。

また、この偶発債務が現実のものになった時点で、A社に対して代わりに支払った金額を請求する権利が発生します。この権利を「保証債務見返」という勘定で表します。よって『(借)保証債務見返500,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
保証債務見返 500,000 保証債務 500,000

手形の裏書や手形の割引を対照勘定法で記入した場合の仕訳と考え方は同じです。ちなみに、保証債務においては評価勘定法はありません。

保証していた債務が返済された

「当社が保証人となっていたA社の借入金500,000をA社が返済したという連絡を受けた」場合の仕訳を考えてみましょう。

債務を保証した時点で次の仕訳を切っているはずです。

借方 金額 貸方 金額
保証債務見返 500,000 保証債務 500,000

保証していた債務が返済された時点で偶発債務は消滅します。よって次の仕訳も消滅します。

借方 金額 貸方 金額
保証債務見返 500,000 保証債務 500,000

この仕訳を消滅させるため、逆仕訳を切ります。よって切るべき仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
保証債務 500,000 保証債務見返 500,000

保証していた債務が不履行となった

「当社が保証人となっていたA社の借入金500,000をA社が返済できず、債権者が当社に返済を求めてきたため、小切手を振出して支払った」場合の仕訳を考えてみましょう。

保証していた債務が不履行になった時点で偶発債務が確定債務に変わります。そこで、偶発債務の仕訳である次の仕訳を消滅させます。

借方 金額 貸方 金額
保証債務見返 500,000 保証債務 500,000

よって次の仕訳を切ります。

借方 金額 貸方 金額
保証債務 500,000 保証債務見返 500,000

そして確定債務の仕訳を切ります。債権者に対する債務は「未払金」になります。よって『(貸)未払金500,000』となります。

また、債務者に支払いを請求する権利は「未収金」になります。よって『(借)未収金500,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
未収金 500,000 未払金 500,000

ですが、債権者に対しては即座に小切手を振出して支払っているので次の仕訳も同時に切ることになります。

借方 金額 貸方 金額
未払金 500,000 当座預金 500,000

よって次の仕訳になります。

借方 金額 貸方 金額
未収金 500,000 当座預金 500,000

この仕訳と偶発債務消滅の仕訳とまとめて次の2つが切るべき仕訳となります。

借方 金額 貸方 金額
未収金
保証債務
500,000
500,000
当座預金
保証債務見返
500,000
500,000

ちなみに、「未収金」を「立替金」としてしまわないように気をつけてください立替金勘定は、本来支払う義務はないけど、本来の支払義務者が(その場にいないなどの理由で)支払えない場合に代わりに支払ったときに使う勘定です。

この場合は債務を保証しているため、その債務が返済されなかった時点で当社に支払う義務が発生しています。
そのため立替金勘定は使えません。A社に対する請求権を表す未収金勘定を使います。

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