- 簿記を勉強しているとファイナンスリース取引っていう内容が出てきたんだけど……
- ファイナンスリース取引の会計処理が分からない
- ファイナンスリース取引について教えて!
ファイナンスリース取引の会計処理は複雑なのでファイナンスリース取引を苦手にしてしまう方が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろんファイナンスリース取引についても熟知しています。
この記事ではファイナンスリース取引の会計処理について解説します。
この記事を読めばファイナンスリース取引についてより深く理解できるので、簿記2級の試験でファイナンスリース取引に関する問題が出題されても自信を持って解くことができます。
結論を一言で言うと、ファイナンス・リース取引だと判定されたリース物件については、通常の固定資産の売買取引と同じように考えて会計処理を行います。
ファイナンスリース取引の会計処理

ファイナンス・リース取引だと判定されたリース物件については、通常の固定資産の売買取引と同じように考えて会計処理を行います。
ファイナンスリース取引の会計処理の流れは次のようになります。
- リース資産とリース債務を計上する(リース取引の開始時)
- 支払リース料の処理を行う(リース料の支払時)
- リース資産を償却する(決算時)
この流れはファイナンス・リース取引の会計処理に共通なのですが、具体的な会計処理方法にはいくつかの種類があります。
その中で、簿記2級では「利子込み法」と「利子抜き法(定額法)」が出題されます。
利子込み法:「支払利息」を「リース債務」に含める会計処理
支払リース料には「リース債務(元本)の返済」と「支払利息」が含まれています。「支払利息」を「リース債務」に含めて会計処理を行う方法が「利子込み法」です。
利子込み法の場合、次のように考えて会計処理を行っていきます。
1.リース資産とリース債務を計上する
通常の固定資産の売買取引と同じ考え方で会計処理を行うので、まずは借方にリース資産を取得する仕訳を切ることになります。
リース資産の取得原価には「リース資産の取得原価」を使いそうですが、利子込み法の場合、計上するリース資産の金額に利息相当額を含めるので、リース資産の取得原価は「支払リース料の総額」になります。
支払リース料の総額は、リース資産の貸手側がリース資産の取得原価に利息相当額(貸手側にとっては利益)を加算して決めた金額なので、このような理屈になります。
次は貸方です。貸方にはリース債務を計上します。
リース開始時にはリース物件の価値を表す「リース資産」と負った債務である「リース債務」は同額のはずなので、同じ金額を貸方に「リース債務」として計上します。
2.支払リース料の処理を行う
賃貸借取引であれば、支払ったリース料は「支払リース料」で処理します。ですが、ファイナンス・リース取引の場合は賃貸借取引で処理することはできません。
ファイナンス・リース取引の場合、支払リース料は「支払利息分」と「リース債務の返済分」でできています。
ですが、利子込み法では支払利息を含めた金額でリース債務を計上しているので、支払リース料の全額がリース債務の返済となります。
3.リース資産を償却する
ファイナンス・リース取引では、固定資産を取得した場合と同じ考え方でリース取引の会計処理を行います。ということは固定資産と同様に減価償却を行う必要があります。
減価償却は「耐用年数はリース期間」「残存価額は0」として行うことになります。
簿記2級で学習するリース取引は「リース期間終了後、リース物件をリース会社に返却するリース取引」を想定しています。
リース物件を返済すると考えれば「減価償却期間がリース期間であること」「残存価額が0であること」が理解できると思います。
ファイナンスリース取引(利子込み法)の具体的な仕訳については「ファイナンスリース(利子込み法)の仕訳」で詳しく解説しています。
利子抜き法(定額法):「支払利息」を「リース債務」から区別する会計処理
支払リース料には「リース債務(元本)の返済」と「支払利息」が含まれています。「支払利息」を「リース債務」と区別して会計処理を行うのが「利子抜き法」です。
区別された利息を毎期一定額になるように計上していく会計処理が「利子抜き法(定額法)」となります。
「利子抜き法(定額法)」の場合、次のように考えて会計処理を行っていきます。
1.リース資産とリース債務を計上する
通常の固定資産の売買取引と同じ考え方で会計処理を行うので、まずは借方にリース資産を取得する仕訳を切ることになります。
リース資産の取得原価には「リース資産の取得原価」が合理的です。「リース資産の取得原価」に最も近いのは「貸手の購入価額」です。
ですが、「貸手の購入価額」は通常は借手側は知ることができません。
そこで、リース資産の取得原価は「貸手の購入価額」の代わりになりそうな金額である「見積購入価額」で計上します。
次は貸方です。貸方にはリース債務を計上します。
リース開始時にはリース物件の価値を表す「リース資産」と負った債務である「リース債務」は同額のはずなので同じ金額を貸方に「リース債務」として計上します。
2.支払リース料の処理を行う
賃貸借取引であれば、支払ったリース料は「支払リース料」で処理します。ですが、ファイナンス・リース取引の場合は賃貸借取引で処理することはできません。
ファイナンス・リース取引の場合、支払リース料は「支払利息分」と「リース債務の返済分」でできています。
支払リース料のうちリース債務の返済分はリース債務として計上し、支払リース料とリース債務の差額を支払利息として計上することになります。
3.リース資産を償却する
ファイナンス・リース取引では、固定資産を取得した場合と同じ考え方でリース取引の会計処理を行います。ということは固定資産と同様に減価償却を行わなければなりません。
減価償却は「耐用年数はリース期間」「残存価額は0」として行うことになります。
簿記2級で学習するリース取引は「リース期間終了後、リース物件をリース会社に返却するリース取引」を想定しています。
リース物件を返済すると考えれば「減価償却期間がリース期間であること」「残存価額が0であること」が理解できると思います。
ファイナンスリース取引(利子抜き法)の具体的な仕訳については「ファイナンスリース(利子抜き法)の仕訳」で詳しく解説しています。
【まとめ】ファイナンスリース取引の仕訳と会計処理

ファイナンス・リース取引だと判定されたリース物件については、通常の固定資産の売買取引と同じように考えて会計処理を行います。
ファイナンスリース取引の会計処理の流れは次のようになります。
- リース資産とリース債務を計上する(リース取引の開始時)
- 支払リース料の処理を行う(リース料の支払時)
- リース資産を償却する(決算時)
簿記2級では「利子込み法」と「利子抜き法(定額法)」が出題されます。
「利子込み法」は「支払利息」を「リース債務」に含める会計処理です。「利子抜き法(定額法)」は「支払利息」を「リース債務」から区別する会計処理です。
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