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為替予約とは【仕訳や仕組み・会計処理をわかりやすく】

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  • 外貨換算会計を勉強していると為替予約っていう内容が出てきたんだけど……
  • 「1ドル=100円」が「1ドル=110円」になったら円高なのか円安なのか分からない
  • 円高と円安について教えて!

為替予約はもともと簿記1級の範囲だったもので、取引自体をイメージすることが難しく、苦手にしている人が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん為替予約についても熟知しています。

この記事では為替予約の仕訳について解説します。

この記事を読めば、為替予約についてより深く理解できるので、簿記2級で為替予約に関する問題が出題されても自信を持って解答できるようになります。

結論を一言で言うと、為替予約とは、外貨と円を交換する将来の為替相場を前もって約束しておくことです。

為替予約をしておくことで、将来の「外貨と円の交換」のときの為替相場に関わらず、前もって約束しておいた為替相場で決済することができます。

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為替予約とは:外貨と円を交換する将来の為替レートを前もって約束しておくこと

輸出や輸入を行う場合、「仕入や売上のときの為替相場」と「外貨と円の交換のときの為替相場」が大きく異なると多くの「為替差損」が発生するリスクがあります。

「為替差損」のリスクをヘッジ(回避)するために使うのが為替予約です。

為替予約とは、外貨と円を交換する将来の為替相場を前もって約束しておくことです。

為替予約をしておくことで、将来の「外貨と円の交換」のときの為替相場に関わらず、前もって約束しておいた為替相場で決済することができます。

この「前もって約束しておいた為替相場」を先物為替相場と言います。先物為替相場は直物為替相場に「通貨同士の金利差」を考慮したものです。

先物為替相場(為替レート)の決まり方の具体例

例えば直物為替相場が「1ドル=100円」で、「アメリカの金利が年利2%」「日本の金利が年利1%」だとします。

すると、今の1ドルは1年後には(1ドル×102%=)1.02ドルになっているはずです。同様に今の100円は1年後には(100円×101%=)101円になっているはずです。

よって1年後には「1.02ドル=101円」となります。「1.02ドル=101円」を「1ドル=」にすると「1ドル≒99.0196…円」となります。

「1ドル≒99.0196…円」が1年後の先物為替相場になります。

為替予約には「独立処理(原則)」と言われる会計処理と「振当処理(特例)」と言われる会計処理の2種類があります。このうち簿記2級では「振当処理(特例)」が試験範囲となっています。

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為替予約のメリット・デメリット

為替予約は仕入代金や売上代金を為替予約時に確定できるというメリットがあります。しかし、為替予約は一度行うとキャンセルや変更ができないというデメリットもあります。

メリットとデメリットを比較検討したうえで為替予約を行うかどうか判断する必要があります。

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為替予約(振当処理):ヘッジ対象にヘッジ手段を振り当てる方法

ヘッジ対象にヘッジ手段である「為替予約」を振り当て、ヘッジ対象とヘッジ手段を一つの取引とみなして処理を行う方法を「振当処理」と言います。

ヘッジ対象とは、為替差損の発生を避けたい資産や負債です。「外貨建金銭債権(売掛金など)」や「外貨建金銭債務(買掛金など)」などがヘッジ対象になります。

振当処理では為替予約を行うまでに発生した為替変動を為替差損益として処理し、為替予約を行ったときの為替相場の差額を前受収益や前払費用として処理します。

為替予約はデリバティブの一種です。デリバティブのほとんどは簿記1級の出題範囲です。

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為替予約(振当処理)の仕訳

外貨建取引における商品の輸入

例題

外国にある企業から商品1,000ドルを輸入し、代金を掛とした。輸入時の為替相場は1ドル110円である。なお、二取引基準で会計処理を行っている。

この例題の仕訳について考えてみましょう。

商品の値段がドルで表されている商品の仕入なので外貨建取引となります。外貨建の取引は原則として取引時の為替相場で換算するので、1ドル110円で換算します。

1ドル110円のときに商品1,000ドルを仕入れたので、金額は(仕入時の為替相場110円×ドル建ての仕入1,000ドル=)110,000円となります。

よって『(借)仕入110,000』『(貸)買掛金110,000』となります。

借方金額貸方金額
仕入110,000買掛金110,000

為替予約時

例題

為替相場の変動に備えるため、ドル買い為替予約を先物為替相場1ドル105円で1,000ドル契約した。なお、この取引はヘッジ会計の要件を満たしているので振当処理で会計処理を行う。

為替予約時の直物為替相場は1ドル108円であった(上の例題の続きです)。

この例題の仕訳について考えてみましょう。

振当処理では、為替予約によって「ドルで返済しなければならない買掛金」と同額のドル(1,000ドル)を1ドル105円で購入する約束をしたと考えます。

為替予約を行った時点で1ドル110円のときに発生した買掛金を1ドル105円で支払うことが確定することになります。

支払い時に1ドル105円で1,000ドル用意できることが確定するからです。

まずは為替予約を行うまでに発生した為替差損益について会計処理を行います。

買掛金が発生したときの直物為替相場が1ドル110円、為替予約を行ったときの直物為替相場が1ドル108円です。

よって為替予約時には買掛金が円換算で{ドル建ての買掛金1,000ドル×(借入時の直物為替相場110円-為替予約時の直物為替相場108円)=}2,000円減少しています

よって『(借)買掛金2,000』となります。

また、この2,000円は為替相場の変動によるものなので為替差損益で処理します。よって『(貸)為替差損益2,000』となります。

次は為替予約の会計処理です。この為替予約は「直物為替相場が1ドル108円のときに3ヵ月後に1ドル105円(先物為替相場)でドルを買うと約束する取引」です。

直物為替相場と先物為替相場の違いは「2つの通貨における金利の差」を表します。

「3ヶ月先物の先物為替相場」が1ドル105円で、「直物為替相場」が1ドル108円だということは、「現在ドルを1ドル108円で購入し、3ヶ月間ドルで利息を受け取ったときの3ヶ月後のドルでの金額」と「今から3ヶ月間円のままで利息を受け取り、3ヶ月後に1ドル105円でドルを購入したときのドルでの金額」が同じになるということを意味します。

そう考えると直物為替相場と先物為替相場の差額の本質は利息なので、為替予約による「直物為替相場1ドル108円」と「先物為替相場1ドル105円」の差額である「1ドル3円」は前受利息になります

よって(ドル建ての為替予約1,000ドル×直物為替相場と先物為替相場の差額3円=)3,000円は前受利息となり、『(貸)前受利息3,000』となります。

また、前受利息3,000円と同じ金額だけ買掛金が減少します。

為替予約によって(為替予約時の直物為替相場108円×ドル建ての買掛金1,000ドル=)108,000円の買掛金の返済額が(為替予約時の先物為替相場105円×ドル建ての買掛金1,000ドル=)105,000円だと確定したからです。

よって『(借)買掛金3,000』となります。

借方金額貸方金額
買掛金5,000為替差損益
前受利息
2,000
3,000

為替予約は本来はもっと複雑な取引なのですが、詳しくは簿記1級で学習します。簿記2級ではこの例題の取引が理解できていれば十分です。

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【まとめ】為替予約とは:外貨と円を交換する将来の為替レートを前もって約束しておくこと

為替予約とは、外貨と円を交換する将来の為替相場を前もって約束しておくことです。

為替予約をしておくことで、将来の「外貨と円の交換」のときの為替相場に関わらず、前もって約束しておいた為替相場で決済することができます。

ヘッジ対象にヘッジ手段である「為替予約」を振り当て、ヘッジ対象とヘッジ手段を一つの取引とみなして処理を行う方法を「振当処理」と言います。

振当処理では為替予約を行うまでに発生した為替変動を為替差損益として処理し、為替予約を行ったときの為替相場の差額を前受収益や前払費用として処理します。

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