簿記学習者必見！「配当金の支払の仕訳」のコツを瞬時に理解

簿記を勉強していると、配当金を支払う取引が出てきます。配当金の支払いという取引は全く身近にないのでイメージできずに苦手にしてしまう人が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん配当金の支払いの仕訳についても熟知しています。

この記事では配当金の支払いの仕訳について簿記3級の内容と簿記2級の内容を解説します。

この記事を読めば配当金の支払いという取引がどういう取引なのか、どのような仕訳を切ればいいのかが分かるようになります。

日商簿記で配当金の支払いに関する問題が出題されても自信を持って解答できるようになります。

配当金の支払いに関する仕訳を結論を一言で言うと、次の通りです。

繰越利益剰余金を原資とした配当の場合

借方	金額	貸方	金額
繰越利益剰余金	700,000	未払配当金	700,000

その他資本剰余金を原資とした配当の場合

借方	金額	貸方	金額
その他資本剰余金	700,000	未払配当金	700,000

配当金の支払い：株主への分配

貸借対照表の中の「純資産の部」のほとんどは株主資本です。

株主資本は文字通り「資本のうちの株主の分」なので、株主に支払うことができます。

この株主への支払を配当といいます。株主資本の全額を配当として支払うことができるわけではありませんが、株主の分であることに変わりはありません。

配当額は1株あたりいくらと決めるので、持っている株式の数が多いほど受け取る配当金の金額も多くなります。

配当金の支払の仕訳

この例題では法定準備金の積立（利益準備金・資本準備金）については考えないこととします。

繰越利益剰余金を原資（資金源）として配当を行った（簿記3級）

この例題の仕訳について考えてみましょう。

繰越利益剰余金を原資として配当金700,000円を支払っているので『（借）繰越利益剰余金700,000』となります。繰越利益剰余金は資本の勘定科目です。資本の減少なので借方となっています。

また、まだ配当金を支払っていないので、未払配当金で処理します。よって、『（貸）未払配当金700,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方	金額	貸方	金額
繰越利益剰余金	700,000	未払配当金	700,000

その他資本剰余金を原資（資金源）として配当を行った（簿記2級）

この例題の仕訳について考えてみましょう。

その他資本剰余金を原資として配当金700,000円を支払っているので『（借）その他資本剰余金700,000』となります。

その他資本剰余金は資本の勘定科目です。資本の減少なので借方となっています。

また、まだ配当金を支払っていないので、未払配当金で処理します。よって『（貸）未払配当金700,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方	金額	貸方	金額
その他資本剰余金	700,000	未払配当金	700,000

配当金の支払い

この例題の仕訳について考えてみましょう。

当座預金で700,000円支払っているので『（貸）当座預金700,000』となります。

実際に支払うことで未払配当金という負債の勘定科目が減少します。よって『（借）未払配当金700,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方	金額	貸方	金額
未払配当金	700,000	当座預金	700,000

【まとめ】配当金の支払の仕訳【仕訳と勘定科目をわかりやすく】

配当金を支払うということは株主へ分配するということです。配当金の支払いには繰越利益剰余金を原資とする場合とその他資本剰余金を原資とする場合があります。

繰越利益剰余金を原資とする場合は繰越利益剰余金が減少するので「（借）繰越利益剰余金×××」、その他資本剰余金を原資とする場合はその他資本剰余金が減少するので「（借）その他資本剰余金×××」となります。