連結財務諸表

商業簿記2級
連結財務諸表について知りたい人
連結財務諸表について知りたい人

簿記を勉強していると連結財務諸表っていう財務諸表が出てくるんだけど、何か今までの財務諸表と全然違う。連結財務諸表について知りたいな。

こういった疑問に答えます。

ちなみに、この記事を書いている私は日商簿記に合格するための通信講座を2012年から運営し、これまでに数百人の合格者を送り出させていただいています。もちろん私自身も簿記1級に合格しています。こういった私が解説していきます。

連結財務諸表とは

連結財務諸表とは、「支配する・されるの関係にあると認められる企業集団の財政状態や経営成績、キャッシュ・フローの状況を報告するための財務諸表」です。

キャッシュ・フローの状況を報告する書類を「キャッシュ・フロー計算書」といいます。キャッシュ・フロー計算書については簿記1級で学習します。

連結財務諸表は親会社が個別財務諸表に追加する形で作成します(連結財務諸表ではない財務諸表を個別財務諸表と言います。この文における個別財務諸表は「親会社のみの財務諸表」を意味しています。)。連結財務諸表のイメージは次のようになります。

連結財務諸表のイメージ

ちなみに、親会社とは他の企業の意思決定機関(株主総会や取締役会)を支配している企業のことを言います。

逆に、子会社とは意思決定機関を支配されている企業のことを言います(「親会社と子会社が共同で」または「子会社が」他の企業の意思決定機関を支配している場合、支配されている企業も親会社の子会社とみなします。)。

また、連結財務諸表は次の6つで構成されています。

  • 連結貸借対照表
  • 連結損益計算書
  • 連結包括利益計算書
  • 連結株主資本等変動計算書
  • 連結キャッシュ・フロー計算書
  • 連結附属明細表

このうち簿記2級の試験で重要なのは「連結貸借対照表」「連結損益計算書」「連結株主資本等変動計算書」の3つです。

連結財務諸表の作成

連結財務諸表は親会社の個別財務諸表と子会社の個別財務諸表にもとづいて作成します。

具体的には、親会社の個別財務諸表と子会社の個別財務諸表を合算し、そのあと連結会計で必要な修正を行って連結財務諸表を作成します(考え方は本支店会計と非常に似ています。)。

次のような流れになります(在外子会社の財務諸表については詳しくは簿記1級で学習します。参考程度に見ておいてください。)。

連結財務諸表の作成プロセス

個別財務諸表の作成を「精算表」で行ったように、連結会計における連結財務諸表の作成は「連結精算表」を使うのが一般的です。

連結精算表には色々な形式がありますが、次の形が一般的です(借方と貸方で行を分けると横幅が非常に長くなってしまうので、借方と貸方を同じ行に記入し、貸方には「かっこ」をつけて借方と区別しています。)。

ちなみに、親会社をP社、子会社をS社と表すのが一般的です(Pは「親」という意味の英単語であるparentの頭文字、Sは「従属的」という意味の英単語であるsubsidiaryの頭文字です。)。

連結精算表

連結会計期間と連結決算日

連結財務諸表を作成する場合、会計期間は1年とするのが一般的です。また、親会社の会計期間が連結財務諸表の会計期間となります(連結財務諸表の会計期間のことを連結会計期間と言います。)。

なので、自動的に親会社の決算日が連結会計上の決算日になります(連結会計上の決算日のことを連結決算日と言います。)。

連結決算日(親会社の決算日)と子会社の決算日が同じであれば何の問題もありません。本支店会計と同じように個別財務諸表を合算することができます。しかし、親会社の決算日と子会社の決算日が異なる場合は、このようにはいきません。

連結決算日と子会社の決算日が異なる場合は、子会社は原則として連結決算日に決算と同じ会計処理を行わなければなりません(仮の決算を行って個別財務諸表を作成しなければならないということです。)。

しかし、この会計処理は非常に手間がかかります。なので、連結決算日の3ヶ月以内に作成された子会社の個別財務諸表であれば、その個別財務諸表をそのまま使うことが認められています。

この場合、決算日が異なることが原因で起こる親会社と子会社の間の取引の不一致は適切に処理しなければなりません。

親会社と子会社の会計処理の統一

同じ環境・同じ性質の取引などについては、親会社と子会社の会計処理は統一しなければなりません(例えば減価償却の場合、同じ環境・同じ性質の固定資産であるにも関わらず、親会社が定額法を採用していて、子会社が定率法を採用しているというのはいけないということです。)。

この場合、通常は親会社に合わせるために子会社の個別財務諸表を修正します。

※統一しなければならないのは同じ環境・同じ性質の取引についてだけです。なので親会社と子会社で存在する国が違う場合などのように環境が異なる場合や親会社と子会社の業務そのものが異なる場合のように性質が異なる場合には統一する必要はありません。

連結修正消去仕訳

連結財務諸表は、親会社と子会社でできている「企業集団」を一つの企業(組織)とみなした財務諸表です。なので、企業集団内で行われた取引(内部取引)は連結財務諸表から消去しなければなりません(本支店会計における「本店」と「支店」を相殺するのと同じ考え方です。)。

この消去の仕訳を「連結修正消去仕訳」といいます(「連結修正仕訳」や「連結消去仕訳」と言うこともあります。)。

また、連結修正消去仕訳は連結手続でのみ行われるもので、個別財務諸表には全く影響しません(本支店会計での「本店と支店の相殺」などの仕訳が本店の帳簿にも支店の帳簿にも影響しないのと同じです。)。

連結修正消去仕訳は大きく分けると「資本連結の手続」と「成果連結の手続」の2つに分けられます。

資本連結の手続

親会社による子会社への投資(子会社株式)と、これに対応する子会社の資本(資本金など)は相殺しなければなりません。この仕訳と、この仕訳に付随する修正を「資本連結の手続」と言います。資本連結の手続は、次の4つがあります。

  1. 「親会社の投資勘定」と「子会社の資本勘定」の相殺消去
  2. のれんの償却
  3. 子会社の当期純利益の振替
  4. 子会社が行った配当の修正

1.「親会社の投資勘定」と「子会社の資本勘定」の相殺消去

「親会社の投資勘定(子会社株式など)」と「子会社の資本勘定(資本金など)」は企業集団内部の取引なので相殺消去しなければなりません。

2.のれんの償却

個別財務諸表を合算するときにのれんが計上されることがあります(「子会社の純資産の持分割合」以上の対価を支払って子会社株式を取得していることがあるからです。)。のれんは20年以内に償却しなければならないので、償却の仕訳を切ります。

3.子会社の当期純利益の振替

子会社が当期に得た利益のうち、親会社の持分以外にあたる部分は企業集団の利益からは控除しなければなりません。

4.子会社が行った配当の修正

子会社が配当金を支払った場合、子会社が親会社に支払った部分は内部取引にあたるので修正しなければなりません。

これらが資本連結の具体的な手続きです。後日詳しく学習していきます。

成果連結

資本連結以外の連結修正消去仕訳を成果連結と言います。成果連結には次の3つがあります。

  1. 債権と債務の相殺消去
  2. 内部取引高の相殺消去
  3. 未実現利益の消去

1.債権と債務の相殺消去

企業集団内での債権と債務は、企業集団を一つの会計単位と見れば債権でも債務でもありません。なので企業集団内の債権と債務は相殺消去します。

2.内部取引高の相殺消去

企業集団内における内部取引は、企業集団を一つの会計単位と見れば取引とは言えません。なので企業集団内の内部取引は相殺消去します。

3.未実現利益の消去

親会社から子会社に利益を加えて売った商品が企業集団外部に販売されずに子会社に残っている場合があります。この場合、企業集団を一つの会計単位と見れば、加えた利益は未実現利益となっています。なので、この利益は消去しなければなりません。

これらが成果連結の具体的な手続きです。後日詳しく学習していきます。

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