支配獲得日後の連結財務諸表の作成

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では支配獲得日後の連結財務諸表の作成について解説します。

連結財務諸表の作成

「支配獲得日」に作成するのは連結貸借対照表のみでした。支配獲得日の時点では連結会計期間が存在しないため、連結損益計算書も連結株主資本等変動計算書も作ることはできないからです。

このように考えると、支配を獲得してから期間が経過して連結決算日になった場合、連結会計期間がきちんと存在するので、連結損益計算書も連結株主資本等変動計算書も作成するということになります。

このことを踏まえて、支配獲得日から1年目である連結第1年度と2年目である連結第2年度の連結財務諸表の作成の手続きについて学習していきます。

※連結第3年度以降は連結第2年度と同じ考え方で処理していきます。処理が増えるだけなので連結第3年度以降の出題はほとんどありません。

支配獲得日に作成すべき連結財務諸表と決算日に作成すべき連結財務諸表をまとめると次のようになります。

支配獲得日に作成すべき連結財務諸表と決算日に作成すべき連結財務諸表

3つの連結財務諸表の関連性

連結財務諸表で重要なのは「連結貸借対照表」「連結損益計算書」「連結株主資本等変動計算書」の3つです。この3つはバラバラなのではなく密接に関連しています。この関係を図で表すと次のようになります。

連結財務諸表の関係

 

この図のように、「連結損益計算書」と「連結株主資本等変動計算書」は「親会社株主に帰属する当期純利益」でつながっています。

※連結損益計算書で計算された「親会社株主に帰属する当期純利益」は利益剰余金(繰越利益剰余金)の増加なので、連結株主資本等変動計算書における利益剰余金の増加になるからです。

また、連結株主資本等変動計算書と連結貸借対照表は純資産でつながっています(連結株主資本等変動計算書で計算された純資産の当期末残高は連結貸借対照表の純資産の部になるということです)。

このように密接に関連しているということは、連結損益計算書に対して連結修正消去仕訳を行うと連結株主資本等変動計算書の「親会社株主に帰属する当期純利益」が増減し、連結貸借対照表の純資産も増減するということになります。

※「連結株主資本等変動計算書に対して連結修正消去仕訳を行うことで連結貸借対照表の純資産も増減する」という流れもあります

連結財務諸表の作成の流れ

支配を獲得した後の連結財務諸表は、個別財務諸表を合算した後、連結修正消去仕訳を行うことによって作成します。支配獲得日後の連結修正消去仕訳は、大きく分けると「開始仕訳」と「当期の連結修正消去仕訳」に分けられます。

開始仕訳

連結修正消去仕訳は連結会計で行われる仕訳なので個別財務諸表には全く影響を与えません。なので支配を獲得したときに行った連結修正消去仕訳も個別財務諸表に反映されていません。

ということは連結財務諸表を作るときには、過去に行った連結修正消去仕訳をもう一度行って前期末(当期首)の時点の連結財務諸表を作らなければならないということです。

なので、次の図のように、連結年度が増えれば増えるほど「当期首の時点の連結財務諸表を作るための仕訳」が増えていきます。

この「当期首の時点の連結財務諸表を作るための仕訳」を「開始仕訳」と言います(連結年度が増えれば増えるほど必要な開始仕訳がどんどん増えていきます)。

連結財務諸表の作成の流れ

 

当期の連結修正消去仕訳

開始仕訳を切ったあと、当期の取引などをもとに新しい連結修正消去仕訳を切ることで当期の連結財務諸表を作成します。この仕訳を「当期の連結修正消去仕訳」と言います。当期の連結修正消去仕訳には資本連結の手続が3つ、成果連結の手続が3つあります。

資本連結

  • のれんの償却
  • 子会社の当期純利益の振替
  • 子会社配当金の修正

成果連結

  • 連結会社同士の債権と債務の相殺消去
  • 連結会社同士の内部取引の相殺消去
  • 未実現利益の消去

内容については連結財務諸表の作成における支配獲得日の会計処理でお伝えしたものと同じです。詳しくはこれから学習していきます。いきなり全部学習するのは難しいので、まずは「開始仕訳」「のれんの償却」「子会社の当期純利益の振替」について学習します。

連結修正消去仕訳

開始仕訳

支配獲得日後の連結財務諸表を作成する場合には、最初に「過去の連結修正消去仕訳」をもう一度開始仕訳として行います。そうすることで前期末時点の連結財務諸表を再現します。

この開始仕訳は、過去の連結修正消去仕訳と全く同じ仕訳でもよさそうですが、実際にはそういうわけにはいきません。次の2つが異なります。

  • 過去の純資産の修正
  • 過去の収益と費用の修正

過去の純資産の修正

過去に連結修正消去仕訳で純資産に影響を与えた勘定科目は、開始仕訳では連結株主資本等変動計算書を修正します。3つの財務諸表は次のようにつながっているからです。

  1. 連結損益計算書(収益・費用)「親会社株主に帰属する当期純利益」が2へ
  2. 連結株主資本等変動計算書(純資産)「純資産」が3へ
  3. 連結貸借対照表(資産・負債・純資産)

この流れに注目すると、資産と負債は連結貸借対照表にしか出てこないので直接連結貸借対照表を修正しても問題ないのですが、純資産は連結貸借対照表を直接修正してしまうと、連結株主資本等変動計算書が修正されずに、2と3の流れが途切れてしまうのです。

なので純資産は連結株主資本等変動計算書から修正しないといけないのです(支配を獲得したときに作るのは連結貸借対照表だけなので支配を獲得したときだけは例外的に連結貸借対照表を直接修正します)。

連結株主資本等変動計算書を修正することで間接的に連結貸借対照表を修正することになります。

連結株主資本等変動計算書を修正するためには「連結貸借対照表」で使う勘定科目ではなく、「連結株主資本等変動計算書」で使う勘定科目を使う必要があります。

また、期首残高を修正することになるので、勘定科目名の後に前期末残高とつけた「○○前期末残高」という勘定科目で仕訳をすることになります。

過去の収益と費用の修正

連結第1年度に連結修正消去仕訳で修正した「連結損益計算書に関する勘定科目(収益と費用)」は、連結第2年度の開始仕訳では連結株主資本等変動計算書で使う勘定科目を使います。3つの財務諸表は次のようにつながっているからです。

  1. 連結損益計算書(収益・費用)「親会社株主に帰属する当期純利益」が2へ
  2. 連結株主資本等変動計算書(純資産)「純資産」が3へ
  3. 連結貸借対照表(資産・負債・純資産)

1から2へ「親会社株主に帰属する当期純利益」が振り替えられるときに、収益や費用は「損益」として振り替えられ、その分の繰越利益剰余金(利益剰余金)が増減しているはずです(収益の勘定科目や費用の勘定科目は繰り越されてきません)。

ということは過去の収益や費用の修正は、繰越利益剰余金の修正になるはずです。なので「過去の年度の収益や費用の修正」は「利益剰余金の前期末残高の修正」と同じことになると考えられます。

このように考えられるので、過去の収益や費用の修正は「利益剰余金前期末残高」という勘定科目に置き換えられることになります。

当期の連結修正消去仕訳

開始仕訳を行った時点で前期末の連結財務諸表ができています。この次に行うのが「当期の連結修正消去仕訳」です。当期の連結修正消去仕訳については「のれんの償却」と「子会社の当期純利益の振替」をまず学習します(残りは後日学習します)。

のれんの償却

連結修正消去仕訳によって計上されたのれんは原則として20年以内に償却します。のれんを償却した場合、その償却によって発生した費用は「のれん償却額」として「販売費及び一般管理費」に表示します。

子会社の当期純利益の振替

連結損益計算書を作成する場合も連結貸借対照表を作成する場合と同じように、親会社と子会社の個別損益計算書を単純に合算してから必要な連結修正消去仕訳を切ることになります。

この結果、連結損益計算書には子会社が獲得した利益の全てが計上されることになります。

しかし、現在の会計基準では親会社説を採用しているので、連結財務諸表の当期純利益は親会社の持分のみを記載しなければなりません。なので、このままではまずいです。

この問題を解決するために必要な連結修正消去仕訳が「子会社の当期純利益の非支配株主持分への振替」です。

「子会社の当期純利益の非支配株主持分への振替」を行うことで子会社が獲得した当期純利益のうち非支配株主の持分だといえる分を非支配株主持分に振り替えることになります。

※「子会社の当期純利益の非支配株主持分への振替」は、子会社の損益計算書にある全ての勘定科目を一つ一つ修正するという方法も考えられますが、現在の会計基準では当期純利益のみを修正することになっています

具体的には、非支配株主の持分にあたる利益(非支配株主に帰属する当期純利益)を借方に計上することで利益から減額し、貸方の非支配株主持分を増加させます。

※損益を繰越利益剰余金に振り替える仕訳の非支配株主バージョンです。ちなみに、非支配株主利益は連結損益計算書の「当期純利益」の下に表示し、当期純利益から控除します(損失の場合は加算します。)

子会社が損失の場合はその損失を非支配株主に負担させることになります。なので貸借が逆になります(貸方に非支配株主損失を計上することで損失を減少し、借方に非支配株主持分を計上して非支配株主持分を減少させるということです)。

ちなみに、非支配株主持分も他の純資産の勘定科目と同じように株主資本等変動計算書を修正することで間接的に連結貸借対照表を修正します

なので貸借対照表の勘定科目である「非支配株主持分」ではなく、連結株主資本等変動計算書の勘定科目である「非支配株主持分当期変動額」という勘定科目を使います。

これらの会計処理は言葉だけでの説明では理解するのは難しいです。次回、具体例を使って理解していきましょう。

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