繰延資産の償却期間の覚え方

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  • 繰延資産を勉強していると償却期間が3年だったり5年だったりするんだけど……
  • 繰延資産の償却期間の覚え方がよく分からない
  • 繰延資産の償却期間について教えて!

繰延資産によって償却期間は「3年」「5年」「社債の償還期間」と違いがあり、なぜか分からずにとまどってしまう方が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん繰延資産の償却期間についても熟知しています。

この記事では繰延資産の償却期間が違う理由について解説します。

この記事を読めば繰延資産の償却期間について理解できるので、繰延資産の償却期間を自然と覚えることができるようになります。

結論を言うと、創立費と開業費の償却期間が5年と長い理由は「相対的に金額が大きい」「初年度で売上などが小さい」の2つです。財務諸表への影響が大きいので償却期間が長くなっています。

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繰延資産の償却期間:創立費と開業費が5年、株式発行費が3年

繰延資産について表にまとめておきます。

繰延資産内容償却期間
創立費会社設立のための費用5年
開業費会社設立後、営業開始前の費用5年
株式交付費株式を交付するための費用3年
社債発行費社債を発行するための費用社債償還期間

償却期間はきちんと覚えておく必要があります。

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償却期間が異なる2つの理由

償却期間は5年だったり3年だったり社債償還期間だったりします。

繰延資産の中で社債発行費だけが社債が発行している期間に効果が限られているので、償却期間を社債償還期間とするのはきちんと理屈が通ります。

社債発行費以外の繰延資産の効果は会社が続く限り永久に続きます。

しかし、社債発行費以外の繰延資産については償却期間がなぜ5年なのか、3年なのかについて明確な理由はありません。

確かに「なぜ5年なのか」「なぜ3年なのか」について明確な理由はないですが、「なぜ創立費と開業費が株式交付費より償却期間が長いのか」については理由があります

創立費と開業費の償却期間が株式交付費の償却期間よりも長い理由をきちんと理解しておくと償却期間も覚えやすいので理解しておきましょう。

創立費と開業費の償却期間が株式交付費の償却期間よりも長い理由は2つあります。

  • 創立費と開業費は初年度に、株式発行費は開業後しばらくたってから発生する
  • 創立費と開業費は金額が大きい、株式発行費は金額が小さい

創立費と開業費は初年度に、株式発行費は開業後しばらくたってから発生する

創立費と開業費は会社設立1年目に発生します。対して株式交付費は会社設立後しばらくたって発生することがほとんどです。繰延資産が発生するタイミングの違いが償却期間の違いにつながります。

通常会社設立1年目から利益がきちんと発生することは少ないですし、利益になったとしても金額は小さい場合がほとんどです。

利益が小さいタイミングで多額の繰延資産を費用として処理してしまうと、大幅な赤字になってしまう可能性が高いです。大幅な赤字は資金調達などの面で経営に悪影響を与えてしまいます。

そのため、創立費と開業費の場合は償却期間を長くとることで1年あたりの償却額を小さくし、利益に対するインパクトを小さくしようとしています

対して株式交付費は会社設立後しばらくたって発生します。また、増資をしようとする場合というのは利益がきちんと上がってさらに経営規模を大きくしようとしている場合が多いです。

当然会社設立1年目よりも大きな利益が上がっています。

大きな利益が上がっている状況であれば、1年あたりの償却額が多少大きくなっても、繰延資産の償却額で赤字になってしまうことは少ないと言えます。

そのため、株式発行費の場合は償却期間を短めにとって1年あたりの償却額が大きくなってもそれほどインパクトはないといえます。

創立費と開業費は金額が大きい、株式発行費は金額が小さい

創立費と開業費は株式交付費に比べると、より多額になります。そもそも創立費の具体例は次のようなものなどでした。

  • 定款作成費用(定款…法人の決まり)
  • 株式発行費(株式会社は株式を発行しなければならない)
  • 登記費用(登記…法人を設立したことを記録すること)

この中の株式発行費が増資における新株交付費です。そう考えると、株式発行費以外の金額分だけ創立費の方が金額が大きくなります。創立費の方が株式交付費より多額になることは明らかです。

償却期間が同じ場合、金額が大きい方が1年あたりの償却金額も大きくなります。利益に対するインパクトを小さくするためには金額が大きい方の償却期間を長くする必要があるのです。

逆に金額が小さい方の償却期間が短くても1年あたりの償却金額はそれほど大きくなりません。そのため償却期間が短くても1年あたりの利益に対するインパクトは小さくてすむのです。

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【まとめ】繰延資産の償却期間の覚え方

繰延資産内容償却期間
創立費会社設立のための費用5年
開業費会社設立後、営業開始前の費用5年
株式交付費株式を交付するための費用3年
社債発行費社債を発行するための費用社債償還期間

5年や3年という償却期間については覚えるしかありません。しかし、どの繰延資産が長い償却期間でどの繰延資産が短い償却期間なのかについて理解で対応することができます。

数字は暗記で対応するしかないですが、理由については理解しておくことをおすすめします。

この記事の内容については私としては確信を持っておりますが、明確に実務指針や意見書に書いてあったわけではありません。

昭和37年の商法改正における文言を主な根拠にしています。

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コメント

  1. 会計士目指す大学生 より:

    ■質問

    繰延資産の償却年数の違いについて気になりネットで調べていたところ、このサイトを見つけました。とても納得のいく根拠だったのですが、この根拠は実務指針や意見書等に掲載されていたものなのでしょうか?
    良ければ教えていただきたいです。よろしくお願いします。

    • dokuboki より:

      ご質問ありがとうございます。この根拠についてですが、次のように考えております。

      昭和37年に商法が改正され、それまでは「創立費」「新株発行費」「社債発行差金(現在は廃止)」「建設利息(現在は廃止)」の4つだった繰延資産に「社債発行費」「開業費」「開発費」「試験研究費(現在は廃止)」が追加されました。そのときに「開業費・開発費・試験研究費の3つは巨額になることが予想されること」と明言された上で繰延資産が分配可能額(当時の用語では配当可能限度額)の計算に影響すると示されました。

      「この3つの中に新たに追加された社債発行費が含まれていないこと」「社債発行費と新株交付費は金額的に大差ないこと」から新株交付費は開業費と比較して金額が少ないと立法担当者は考えていると考えました。

      また、「巨額かどうかは相対的なものである」ため「会社設立1年目では同じ金額でも相対的に巨額になる」と考えました。こちらの理由については開発費と試験研究費にはあてはまらないため、根拠としてはやや弱いです(1年目から多額の開発費や試験研究費をつぎ込むのはやや考えにくいです。)。

      こういった状況証拠からの推測です。根拠はあるのですが、実務指針や意見書に書いてあったというような直接的な根拠ではありません。「覚えやすくするための理由付け」という意味合いを含んでいるとお考えください。

      ちなみに、一つ目の理由については税務経理協会の模試で過去に似た論点が出題されたことがありますので、適切な理由としてまず間違いないと思います。

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