手形の取立依頼のときに手形回収の仕訳を切ってはいけない2つの理由

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  • 手形を銀行に引き渡したときに手形の回収の仕訳を切ったらだめなのかな……
  • 手形の取立依頼のときに仕訳を切ってはいけない理由が分からない
  • 手形の取立の仕訳について教えて!

手形はほとんどの場合は期日に決済されるので手形の取立依頼をしたときに手形回収の仕訳を切ってしまってもいいと考える人も多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん手形の取立の仕訳についても熟知しています。

この記事では手形の取立の仕訳を取立依頼のときに切ってはいけない理由について解説します。

この記事を読めば日商簿記で手形の取立の仕訳が出題されても自信を持って解答することができます。

結論を言うと、手形の取立依頼のときに回収の仕訳を切ってはいけない理由は「手形が不渡りになったときに当座預金を減らさなければならなくなるから」と「支払期日が決算日以降の場合に受取手形に戻さなければならなくなるから」です。

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手形の取立依頼のときに手形回収の仕訳を切ると起こる2つの問題

手形の取立は通常は次のような流れで行います。

  1. 手形を受け取る
  2. 支払期日前に手形の取立を銀行に依頼する(手形を引き渡す)
  3. 支払期日に銀行が手形代金を取り立て銀行口座に入金する

2は遅くとも支払期日の1週間前には行うのが一般的です。受け取った直後に取立依頼を行うこともあります。

問題は「2の段階で仕訳を切るのか」です。

手形を引き渡しているので「(貸)受取手形×××」としたい気持ちは分かりますが、手形の引き渡しはあくまでも渡しただけで手形代金を受け取る権利(債権)を銀行に渡した訳ではありません

権利を渡していないので仕訳は切りません。会計的にはこれが正解です。

ですが、実務上は2の段階で次のような仕訳を切る例があります。

借方金額貸方金額
当座預金×××受取手形×××

この仕訳は正確には3の段階で切るべきものです。本当はまずいのです。

貸方の受取手形は手形を引き渡しているから百歩譲ってよしとしても、借方の当座預金は3の段階になるまでは増えないので完全な誤りとなります。

ですが実務では、手形の取立を銀行に依頼したときに仕訳を切った方が手軽だからということで仕訳を切る例もあります。

きちんと支払期日に手形代金が振り込まれれば特に問題は発生しないのですが、次の2つのことが起こった場合、問題となります。

  1. その手形が不渡りとなった場合
  2. 支払期日が決算日以降の場合

1.手形が不渡りになったときに当座預金を減らさなければならなくなる

手形が不渡りとなれば銀行から手形が差し戻され、代金を支払わなければなりません。

不渡りになった手形が差し戻されて代金を支払うことを「手形の買い戻し」といいます。

手形が不渡りとなれば次の仕訳を切ることになります。

借方金額貸方金額
不渡手形×××当座預金×××

受取手形が不渡りになっただけでは手形代金が受け取れなくなるだけなので、本当であれば当座預金が減少することはありません。

しかし、取立依頼の段階で先走って当座預金を増加してしまっているので、「(貸)当座預金×××」となるのです。

「取立依頼の段階で仕訳を切る」という不適切な仕訳を切ったせいで、「当座預金が減らないのに貸方に当座預金が出てくる」という簿記的にはありえない仕訳を切ることになってしまいます。

2.支払期日が決算日以降の場合に受取手形に戻さなければならなくなる

支払期日が決算日以降の場合、先ほどの仕訳を取り消さなければならないので、決算整理仕訳で次の仕訳を切らなければなりません。

借方金額貸方金額
受取手形×××当座預金×××

この仕訳は完全に二度手間です。「取立依頼の段階で仕訳を切る」という不適切な仕訳を切らなければ必要なかった仕訳を切ることになります。

このように、一見手軽だからという理由で不適切な仕訳を切った場合、後々そのしわ寄せが来ます。実務でも「企業独自のルール」などを作らずに、適切な仕訳を切るべきです。

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【まとめ】手形の取立依頼のときに手形回収の仕訳を切ってはいけない理由

手形の取立依頼のときに回収の仕訳を切ってはいけない理由は次の2つです。

  • 手形が不渡りになったときに当座預金を減らさなければならなくなるから
  • 支払期日が決算日以降の場合に受取手形に戻さなければならなくなるから
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