- 流動資産に表示する有価証券と固定資産に表示する有価証券が出てきたんだけど……
- どういう有価証券を流動資産に表示してどういう有価証券を固定資産に表示するのか分からない
- 有価証券を流動資産と固定資産に区分する基準について教えて!
多くの勘定科目は流動資産に表示するのか固定資産に表示するのか決まっています。しかし、有価証券は流動資産に表示する場合も固定資産に表示する場合もあります。
こういった事情から、有価証券を貸借対照表に表示するときに迷ってしまう方が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん流動資産に表示する有価証券と固定資産に表示する有価証券の違いについても熟知しています。
この記事では有価証券を流動資産と固定資産に区分する基準について解説します。
この記事を読めば、簿記検定で貸借対照表を作成する問題が出題されても自信を持って解答することができます。
結論を言うと、貸借対照表日後1年以内に現金になる有価証券を流動資産に、貸借対照表日後1年以内に現金にならない有価証券を固定資産に表示します。
貸借対照表における表示のポイントは「次期に現金になるか否か」

貸借対照表の資産の部を「流動資産」と「固定資産」に区分するのは「債務の返済能力を分析できるようにするため」です。
貸借対照表を流動資産と固定資産に区分表示する理由については「資産・負債を流動項目と固定項目に分ける理由」で詳しく解説しています。
「債務の返済能力を分析する」という目的から有価証券の貸借対照表における表示区分のポイントを考えると「貸借対照表日後1年内に現金になるか否か」が流動資産と固定資産のどちらに区分するのかの基準になることが分かります。
流動資産に表示する有価証券:「売買目的有価証券」「1年内に満期になる債券」
ポイントは「1年以内に現金になるのか否か」なので、次の2つを流動資産に表示するのは確実なことが分かります。
- 売買目的有価証券:時価の変動により利益を得ることが目的の有価証券で1年以内に売却が予定されているから
- 貸借対照表日後1年内に満期の到来する債券:満期が到来すると現金になるから
また、「貸借対照表日後1年内に満期の到来する債券」は保有目的を問わず流動資産に表示します。
固定資産に表示する有価証券:「1年内に満期にならない債券」「子会社株式」「関連会社株式」
流動資産に表示しない有価証券は全て固定資産に表示します。
具体的には次の有価証券を固定資産に表示します。
- 子会社株式:1年以内に売却することは予定されていないから
- 関連会社株式:1年以内に売却することは予定されていないから
- 満期日が貸借対照表日後1年内に到来しない債券(満期保有目的債券):1年以内に現金とならないから
- その他有価証券:1年以内に売却することは予定されていないから
このように「次期に確実に現金となり、債務の返済にあてることができるようになる資産」のみを流動資産に表示することになります。
「市場価格がない有価証券のうち、株式は固定資産に、債券(満期日が1年内)は流動資産に表示する」という点が腑に落ちなかった方はこのように考えて下さい。
【まとめ】有価証券の貸借対照表における表示【流動資産か固定資産か】

貸借対照表日後1年内に現金になる有価証券を流動資産に、貸借対照表日後1年内に現金にならない有価証券を固定資産に表示します。
流動資産に表示する有価証券は「売買目的有価証券」「次期に満期になる債券」、固定資産に表示する有価証券は「次期に満期にならない債券」「子会社株式」「関連会社株式」です。
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