消費税5%据え置きセールを行った場合の3つのパターン

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。前回、仕入れた商品を売る前に消費税が上がった場合について考えてみました。この記事では消費税が8%に上がったあとに消費税5%据え置きセールを行う場合について解説します。

消費税5%据え置きセールを行った場合の3つのパターン

消費税5%据え置きセールを行った場合には次の3つのパターンがありえます(全て税抜方式、現金決済とします。)。

  • 消費税率が5%のときに仕入れた商品で消費税5%セールを行う場合
  • 消費税率が8%のときに仕入れた商品で消費税5%セールを行う場合
  • 消費税率が8%のときに仕入先から消費税5%据え置き価格で仕入れた商品で消費税5%セールを行う場合

このそれぞれについて詳しく考えてみましょう。

消費税率が5%のときに仕入れた商品で消費税5%セールを行う場合

消費税5%のときに卸売り業者から商品1,000,000円(税込:1,050,000円)を仕入れた。

このときの仕訳は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
仕入
仮払消費税
1,000,000
50,000
現金 1,050,000

そして販売します。販売の例は次のとおりです。

消費税8%のときにお客様に消費税5%据え置き価格(税込:2,100,000円)で販売した。

この場合、税抜価格である2,000,000円に消費税率5%をかけて税込価格を決定していますが、法律で8%と決まっているものを小売店が勝手に変更できるわけがありません

なので、実際は「消費税率が8%で税込価格が2,100,000円となる価格」が税抜価格とみなされます。よって税抜価格は(2,100,000円÷108%×100%≒)1,944,444円となります。

このときの仕訳は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
現金 2,100,000 売上
仮受消費税
 1,944,444
155,556

そして、消費税を納付します。納付の仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仮受消費税 155,556 仮払消費税
現金
50,000
105,556

この取引の場合、本来は利益が(2,000,000円-1,000,000円=)1,000,000円のはずが、 (1,944,444円-1,000,000円=)944,444円に減っています。

この減った金額は、国に納付する消費税が増額することで吸収されてい ます(消費税が5%のままなら50,000円納めるところを105,556円納めています。)。

このように消費税分を小売業者が負担することになります。消費税分を事実上値下げしているので当たり前といえば当たり前です。

消費税率が8%のときに仕入れた商品で消費税5%セールを行う場合

消費税8%のときに卸売り業者から商品1,000,000円(税込:1,080,000円)を仕入れた。

このときの仕訳は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
仕入
仮払消費税
1,000,000
80,000
現金 1,080,000

そして販売します。販売の例は次のとおりです。

消費税8%のときにお客様に消費税5%据え置き価格(税込:2,100,000円)で販売した。

この場合、税抜価格である2,000,000円に消費税率5%をかけて税込価格を決定していますが、法律で8%と決まっているものを小売店が勝手に変更できるわけがありません

なので、実際は「消費税率が8%で税込価格が2,100,000円となる価格」が税抜価格とみなされます。よって税抜価格は(2,100,000円÷108%×100%≒)1,944,444円となります。

このときの仕訳は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
現金 2,100,000 売上
仮受消費税
1,944,444
155,556

そして、消費税を納付します。納付の仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仮受消費税 155,556 仮払消費税
現金
80,000
75,556

この取引の場合、本来は利益が(2,000,000円-1,000,000円=)1,000,000円のはずが、 (1,944,444円-1,000,000円=)944,444に減っています。この減った金額の内訳は、販売価格の事実上の割引額が 60,000円、販売価格の低下による消費税の減少分が4,444円です。

このように販売価格の事実上の値下げが利益の減少につながっています。消費税分を事実上値下げしているので当たり前と言えば当たり前です。

消費税率が8%のときに仕入先から消費税5%据え置き価格で仕入れた商品で消費税5%セールを行う場合

この取引は消費税率が8%のときに5%で売ってもらっています。これは通常ではありえません。仕入先に消費税5%で売ってもらえるようにお願いした(圧力をかけた)場合にありえる取引です。

では、取引について考えていきましょう。

消費税8%のときに卸売り業者から商品1,000,000円(税込:1,050,000円)を仕入れた。

この場合、税抜価格である1,000,000円に消費税率5%をかけて税込価格を決定していますが、法律で8%と決まっているものを小売店が勝手に変更できるわけがありません

なので、実際は「消費税率が8%で税込価格が1,050,000円となる価格」が税抜価格とみなされます。よって税抜価格は(1,050,000円÷108%×100%≒)972,222円となります。

このときの仕訳は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
仕入
仮払消費税
972,222
77,778
現金 1,050,000

そして販売します。販売の例は次のとおりです。

消費税8%のときにお客様に消費税5%据え置き価格(税込:2,100,000円)で販売した。

この場合、税抜価格である2,000,000円に消費税率5%をかけて税込価格を決定していますが、法律で8%と決まっているものを小売店が勝手に変更できるわけがありません

なので、実際は「消費税率が8%で税込価格が2,100,000円となる価格」が税抜価格とみなされます。よって税抜価格は(2,100,000円÷108%×100%≒)1,944,444円となります。

このときの仕訳は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
現金 2,100,000 売上
仮受消費税
1,944,444
155,556

そして、消費税を納付します。納付の仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仮受消費税 155,556 仮払消費税
現金
77,778
77,778

この取引の場合、本来は利益が(2,000,000円-1,000,000円=)1,000,000円のはずが、 (1,944,444円-972,222円=)972,222円に減っています。

この減った金額の内訳は、販売価格の事実上の値下げ額が60,000円、 販売価格の低下による消費税の減少分が4,444円、仕入価格の低下による費用の減少額が30,000円、仕入価格の低下による消費税の増加分が 2,222円です。

減少額がこれまでの2つの例より減っています。この減った分は仕入先が消費税率を5%で売ったことで負担しています。

消費税率を5%にした実質的な値引分を仕入先と小売店の両者で負担している形になります

ちなみに…

ちなみに「消費税率が8%のときに仕入先から消費税5%据え置き価格で仕入れた商品を消費税8%で販売する場合」について考えてみましょう。これは俗に「下請けいじめ」と言われていて、消費税分の値引きを下請先に要求する取引です。

この場合どのような取引になるか次の例で考えてみましょう。

消費税8%のときに卸売業者から商品1,000,000円(税込:1,050,000円)を仕入れた。

この場合、税抜価格である1,000,000円に消費税率5%をかけて税込価格を決定していますが、法律で8%と決まっているものを小売店が勝手に変更できるわけがありません

なので、実際は「消費税率が8%で税込価格が1,050,000円となる価格」が税抜価格とみなされます。よって税抜価格は(1,050,000円÷108%×100%≒)972,222円となります。

このときの仕訳は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
仕入
仮払消費税
972,222
77,778
現金 1,050,000

そして販売します。販売の例は次のとおりです。

消費税8%のときにお客様に2,000,000円(税込:2,160,000円)で販売した。

このときの仕訳は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
現金 2,160,000 売上
仮受消費税
2,000,000
160,000

そして、消費税を納付します。納付の仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仮受消費税 160,000 仮払消費税
現金
77,778
82,222

この取引の場合、本来は利益が(2,000,000円-1,000,000円=)1,000,000円のはずが、 (2,000,000円-972,222円=)1,027,778円に増えています。この増えた金額の内訳は仕入価格の低下による費用の減少額が 30,000円、仕入価格の低下による消費税の増加分が2,222円です。

この場合、利益が逆に増えています。この増えた分も含めて仕入先が消費税率5%で売ったことで負担しています。

まとめ

これまでの取引をまとめると次のようになります。

  1. 消費税率が5%のときに仕入れた商品で消費税5%セールを行う場合…小売店が値引分を負担(値引販売しているのは小売店なので当然)
  2. 消費税率が8%のときに仕入れた商品で消費税5%セールを行う場合…小売店が値引き分を負担(値引販売しているのは小売店なので当然)
  3. 消費税率が8%のときに仕入先から消費税5%据え置き価格で仕入れた商品で消費税5%セールを行う場合…小売店と卸業者で値引分の負担を折半(値引の負担を協力しているので、道義的にギリギリ認められる)
  4. 消費税率が8%のときに仕入先から消費税5%据え置き価格で仕入れた商品を消費税8%で販売する場合…値引分を卸業者のみが負担し、小売店は逆に利益が増える(これは道義的に認められない)

4のような取引をなくすために国は「下請けに消費税を負担させないための政策」を行っています。簿記検定には直接関係はない内容ですが、会計的に考えることで世の中の事例が理解できる好例だと思います。

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