商品販売の取引を三分法で行う理由

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では商品販売の取引を三分法で行う理由ついて解説します。

三分法は取引のイメージと一致しない

三分法では商品を仕入れたら借方に仕入を記入し、商品を売上げたら貸方に売上を記入します。仕入は費用の勘定、売上は収益の勘定です(詳しくは三分法の取引と仕訳をご覧下さい)。

しかし、この記帳法は勉強を始めたばかりの段階では取引のイメージと一致しない方が多いです。

仕入というのは商品を仕入れているはずです。通常の場合は何かモノを仕入れているはずです。商品を仕入れた場合、手元にその商品というモノがあります。手元に商品というモノ(資産)があるのに費用の勘定科目である『仕入』で借方に記入します。

商品というモノ(資産)があるのに費用と考えるところがイメージと一致しないのです。

何かモノを仕入れているのであれば、資産が増加しています。『商品』という資産勘定を使って、これを資産の増加である借方に記入した方がよいと考えるのが普通です。

例えば、『当社はA商店から商品50,000円分を現金で仕入れた』という例の場合、次のように商品という資産の勘定を使って記帳した方が納得できるのではないでしょうか。

借方 金額 貸方 金額
商品 50,000 現金 50,000

借方を費用の勘定科目にするか資産の勘定科目にするかを考えるには、費用という勘定科目が何かについても考えなければなりません。

費用って何?

費用という勘定科目は分かりにくいと思います。費用は具体的に何かモノがあるわけではありません。費用とは何なのか考えてみましょう。

費用という字は費やして用いると書きます。費用は消費したときに費用となるのです。つまり、何らかのモノを使ってしまってなくなった場合に、そのなくなった部分が費用となるのです。

例えば、事務用でボールペンを買った場合を考えましょう。このボールペンは普段の業務の中で使うものだとします。ボールペンを買っただけでは、このボールペンは費用ではありません。まだ資産のはずです。

まだ使っていない状態で費用と考えるのには無理があります。費用は消費したときに費用となるのです。

そう考えると、このボールペンを使った場合にはもう資産とはいえなくなります。使った時点で費用と考えるのです。仕訳としては次のようになります(便宜上10,000円分買ったものとしています)。

ボールペンを現金で買ったとき(ボールペンの勘定科目は消耗品とします)

借方 金額 貸方 金額
消耗品(資産) 10,000 現金(資産) 10,000

ボールペンを使ったとき

借方 金額 貸方 金額
消耗品費(費用) 10,000 消耗品(資産) 10,000

この仕訳だと取引のイメージと一致します。ボールペンを買った時点では借方は資産、ボールペンを使ったときに資産から費用に振り替えると考えるのです。この考え方を踏まえると、商品を仕入れたときに費用である仕入勘定で仕訳を切るのは理屈が通らなくなります。

ではなぜ、商品を仕入れたときに費用である仕入勘定で仕訳を切るのでしょうか。

現実的には仕方ない

商品を仕入れたときに費用である仕入の勘定で仕訳を切るのは理屈が通りません。仕入れた瞬間には、まだそこに商品という資産が存在しているのに費用はおかしいです。では、なぜ三分法では仕入れた瞬間に費用である仕入勘定で仕訳を切るのでしょうか。

このことを考えるために先ほどの仕訳の例の続きを見てみましょう。

『当社はA商店から商品50,000円分を現金で仕入れた』という例の場合、次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
商品 50,000 現金 50,000

この仕訳は特に問題なく切ることができます。イメージとも一致します。

問題はこの仕訳の続き、つまり商品を売上げた場合の仕訳です。『当社はB商店に商品80,000円分を現金で売上げた』場合の仕訳を考えてみましょう。

現金80,000円を受け取っているため、現金という資産が増加しています。そのため『(借)現金80,000』となります。これは問題ないでしょう。

問題は貸方です。仕訳は貸借の合計は同額にならなければいけないので、貸方の合計も80,000円になります。ではこの80,000円という金額は何でしょうか。

これは『商品の原価+利益』と考えることができます。商品の原価は、そのまま『商品』勘定を使い、利益の部分に関しては『商品販売益』という収益の勘定を使うとすると、『(貸)商品×××』『(貸)商品販売益×××』となります。借方をまとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
現金 80,000 商品
商品販売益
×××
×××

この仕訳を考えてみると、致命的な欠陥があることが分かります。貸方の商品勘定の金額を記入するためには、売った商品の原価が仕訳を切るときに分かっていなければならないのです。

オーダーメイドで一つ一つ作って販売するような形の商売ならこれでもいいでしょう(ちなみに、この記帳方法を分記法と言います)。しかし、一般的な商品販売では商品の数が多く、売る回数も多くなります。全ての商品の原価を把握しておくのは不可能に近いでしょう。

この仕訳では現実的に難しいのです。そのため、一種の簡便法として三分法があるのです。

一般的な商品販売業では三分法

一般的な商品販売業では分記法での記帳は不可能に近いです。しかし、不可能だから記帳しないというわけにはいきません。そこで、三分法を使うのです。

三分法の場合は、売った商品の原価は必要ありません。売った値段さえ分かればいいのです。今売っているのに、その金額が分からないなんてことはありえません。仕訳は簡単に切ることができます。

仕入れた瞬間に費用である仕入勘定で仕訳を切るのは取引のイメージと一致しません。しかし、商品は売ることを前提に仕入れます。遅かれ早かれ仕入れた商品は売るのです。売ったとき、商品は費用となります。

売るのは時間の問題だと考えると、その商品が費用になるのも時間の問題だといえます。時間の問題だというのであれば、多少不正確で取引のイメージと一致しなくても時間的に前倒しして仕入れたときに費用である仕入勘定で仕訳を切るというのも納得できます。

このような考え方により、一般的には三分法が採用されています。そして、最も採用されていると思われる三分法が簿記3級で出題されるのです。

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