- 簿記を勉強していると諸口っていう言葉が出てくるんだけど……
- 諸口っていう言葉がいろいろなところで出てきて使い方がよく分からない
- 諸口について教えて!
簿記を勉強していると色々なところで諸口という言葉が出てきますが、諸口については詳しい説明はされないことが多く、とまどっている方が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん諸口についても熟知しています。
この記事では諸口という言葉が使われる3つのケースについて解説します。
この記事を読めば諸口についてより深く理解できるので、不必要にとまどってしまうことがなくなります。
結論を一言で言うと、簿記における諸口には「相手勘定科目が複数のときに書く諸口」「特殊仕訳帳制にある特別欄以外の諸口欄」「仕訳の勘定科目が複数の場合に上の行に書く諸口」の3つがあります。
簿記での諸口の読み方は「しょくち」

最初に諸口の読み方について解説します。簿記で諸口と出てきた場合は「しょくち」と読みます。
「地名」や「人名」の場合には諸口を「もろくち」「もろぐち」と読むことがありますが、簿記では「しょくち」としか読みません。
諸口とは【簿記での諸口の3つの意味と使い方】

簿記で出てくる諸口は次の3つです。
- 【簿記3級】総勘定元帳の摘要欄に書く「諸口」
- 【簿記論】特殊仕訳帳制における「諸口」欄
- 【今は使わない】仕訳帳で仕訳の上に書く「諸口」
【簿記3級】総勘定元帳の摘要欄に書く「諸口」
仕訳帳から総勘定元帳へ転記するとき、相手勘定科目が複数のときには総勘定元帳の摘要欄に「諸口」と書きます。
仕訳帳から総勘定元帳への転記については「【簿記3級】総勘定元帳の書き方と転記のやり方【逆になるのはなぜ?】」で詳しく解説しています。
例えば次の仕訳を総勘定元帳に転記したときには「売上」の総勘定元帳の摘要欄に諸口と書きます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 100,000 | 売上 | 300,000 |
売掛金 | 200,000 |
総勘定元帳の摘要欄は1行なので、現金と売掛金の2つを書き込むことができません。そこで、諸口と書くことになります。
【簿記論】特殊仕訳帳制における「諸口」欄
特殊仕訳帳制で特別欄を作った場合、特別欄以外の欄を「諸口」欄と言います。
特殊仕訳帳制については「特殊仕訳帳のやり方を問題例でわかりやすく【簿記論】」で詳しく解説しています。
諸口欄の諸口は「その他」という意味で使われています。
諸口という言葉は「諸(いろいろな)」「口(勘定口座)」という意味で昔は使われていたのですが、現在ではほとんど使われない言葉となっています。
【今は使わない】仕訳帳で仕訳の上に書く「諸口」
複合仕訳を仕訳帳に書く場合には上の行に「諸口」と書きます。「諸口」と書くことで、その下の仕訳は複合仕訳だと伝えることができます。
ですが、完全に昔の話で今は書かないのが普通です。
複合仕訳を書くことができない会計ソフトでは「諸口」を使うことがある

会計ソフトの登場後、これまでにはなかった形で諸口が使われるようになっています。
会計ソフトの中には借方と貸方の金額が一致しないというミスを防ぐために、借方に金額を記入すると、自動で貸方にも同じ金額が入力される使用になっているものがあります。
このような会計ソフトの場合、たとえば、次の複合仕訳をそのままの形で入力することができません。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 100,000 | 売上 | 300,000 |
売掛金 | 200,000 |
ここで諸口を使います。諸口を使ってこの仕訳を次のように変更するのです。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
諸口 | 300,000 | 売上 | 300,000 |
現金 | 100,000 | 諸口 | 100,000 |
売掛金 | 200,000 | 諸口 | 200,000 |
こうすることで会計ソフトに複合仕訳を入力することができます。また、総勘定元帳への転記もスムーズです。
これが会計ソフトの登場により新たに出てきた諸口の使い方です。
【まとめ】諸口の意味とは【簿記での諸口の3つの使い方をわかりやすく】

簿記で出てくる諸口は次の3つです。
- 複合仕訳を総勘定元帳に転記するときに総勘定元帳の摘要欄に書く「諸口」:1行しかスペースがないから諸口と書く
- 特殊仕訳帳制における特別欄以外の「諸口」欄:その他という意味で書かれる
- 勘定科目が複数の場合に上の行に書く「諸口」:勘定科目が複数であることを示すために書かれる
また、最近は会計ソフトの登場により、複合仕訳を分解するために諸口が使われるようになっています。
諸口を理解するためには仕訳を理解することが不可欠です。仕訳については「【日商簿記3級】仕訳のルールとコツをわかりやすく【よくあるパターンを中心に】」で詳しく解説しています。
総勘定元帳への転記を理解することで諸口の意味も理解しやすくなります。総勘定元帳への転記については「【簿記3級】総勘定元帳の書き方と転記のやり方【逆になるのはなぜ?】」で詳しく解説しています。
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