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研究開発費と繰延資産の会計処理の違い

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  • 研究開発費は資産計上が認められないけど繰延資産は資産計上が認められてるんだけど……
  • 研究開発費と繰延資産の会計処理が異なる理由が分からない
  • 研究開発費と繰延資産の会計処理の違いについて教えて!

研究開発費と繰延資産は非常に似ているにも関わらず会計処理は異なるので混乱してしまう方が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん研究開発費と繰延資産についても熟知しています。

この記事では研究開発費と繰延資産の会計処理が異なる理由を中心に解説します。

この記事を読めば研究開発費と繰延資産の会計処理が異なる理由が理解できるので、研究開発費と繰延資産の勉強をスムーズに進めることができるようになります。

結論を言うと、研究開発費は資産計上が認められないのに繰延資産は認められている理由は「繰延資産の方が効果に確実性があるから」です。

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研究開発費は資産計上が認められない

研究開発費は、全て発生した期に費用として処理します。しかし、疑問に思うことがあります。研究開発費の特徴として次の2点が挙げられるとも考えられるからです。

  • 多額になる
  • 効果が将来にわたって発生する

研究や開発といった費用が少額で済むとは考えられません。研究機関、研究員の人件費などを考えると多額になると考えるのが自然です。

もちろん業種にもよりますが、製薬会社などの研究開発費は莫大です。

また、効果が将来にわたって発生するともいえそうです。いちど新しい技術が商品化されれば、その商品で将来に渡って利益を得ることができます。

このように考えていくと、研究開発費は繰延資産と極めて近い性質があります。しかし、研究開発費は繰延資産のように「繰延資産に計上し、毎期償却を行う」という処理が認められていません。

研究開発費は資産計上できない理由について考えてみましょう。

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研究開発費は将来の収益獲得に貢献する確率が低い点が繰延資産と違う

先ほど、研究開発費の特徴として次の2点が挙げられるとも考えられるからです。

  • 多額になる
  • 効果が将来にわたって発生する

実は「効果が将来にわたって発生する」という点に少々問題点があります。

確かに研究開発が成功すれば将来にわたって発生するといえるでしょう。しかし、一般に研究開発が成功する確率は低いです。ほとんどが失敗に終わるとも言えます。

研究開発費が発生した時点では将来の収益の獲得が確実ではないのです。

繰延資産は創立費開業費なら会社ができれば、株式交付費は株式が交付されれば、社債発行費は社債が発行されれば、それで将来の収益に確実に貢献します。

将来の収益に確実に貢献するという点で繰延資産は研究開発費とは違うのです。

また、研究開発がたとえ成功したとしても、近年は商品の性能向上のペースが速い(すぐにより性能の高い商品が出てくる)ため、長期間にわたって研究開発費が将来にわたって貢献するとも言えません。

このような状況を踏まえると、研究開発費を繰延資産と同じように「繰延資産に計上し、毎期償却を行う」という処理を認めるのは適正とは言えないと言えます。

研究開発費を資産計上しても意味がない理由

研究開発費は将来の収益の獲得に貢献する確率が低いから資産計上できないとお伝えしてきました。

しかし、仮に将来の獲得に貢献する確率が高くても研究開発費を資産計上する意味はありません。「研究開発費は毎期継続的に発生するから」です。

たいていの企業の研究開発費は一時的なものではなく、毎期継続的に発生しています。

毎期継続的に発生する費用は資産計上してもしなくても費用の金額はそれほど変わりません。

仮に「毎期30,000円」の費用を「一括費用処理した場合」と「資産計上して償却期間3年で償却した場合」を比べると次のようになります。

一括費用処理した場合資産計上した場合
1年目30,000円10,000円
2年目30,000円20,000円
3年目30,000円30,000円
4年目以降ずっと30,000円30,000円

資産計上した場合、1年目は(1年目の費用30,000円÷償却期間3年=)10,000円、2年目は(1年目の費用30,000円÷償却期間3年+2年目の費用30,000円÷償却期間3年=)20,000円となっています。

しかし、3年目以降は(前々期の費用30,000円÷償却期間3年+前期の費用30,000円÷償却期間3年+当期の費用30,000円÷償却期間3年=)30,000円となります。

3年目以降は全額を費用として計上した場合と同じになります。

このように毎期継続的に発生する費用については資産計上しても財務諸表に影響をほとんど与えません。研究開発費を資産計上しない理由の一つです。

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【まとめ】研究開発費と繰延資産の会計処理の違い

繰延資産は資産計上が認められていますが、研究開発費は資産計上が認められていません。研究開発費の資産計上が認められていない理由は「将来の収益の獲得に貢献する確率が低いから」です。

また、毎期継続的に発生する費用は資産計上しても財務諸表にそれほど影響しないため、研究開発費を資産計上する意味がないとも言えます。

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コメント

  1. 簿記勉強中@財政破綻・映画・株・投資・マネー・AKB より:

    ■なるほどですね

    ただ単に研究開発費=費用として計上と暗記してしまっていましたが、理由を詳しく書いていただいたおかげでとても納得がいきました。ありがとうございます^^

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。

      簿記は理由を理解することでさらに理解が進みますよね。最終的には覚えなければならないとしても、「丸暗記」と「理由を理解してから覚える」のでは大きな差だと感じています。

  2. marry より:

    昨日勉強した論点で大変ためになりました!

  3. ゴンドラマスター より:

    ■現況報告

    全経1級(工業簿記)【合格】しました!・・・

    商業簿記は残念でした・・・

    原因はやはり1級の負担が重すぎて勉強時間がありませんでした

    内容的には十分合格圏内にあったと思います

    またリベンジします

    さてさて【簿記3・2級】お疲れ様でした

    工業簿記の4問目に『新傾向問題』が出現しましたね

    工程別+部門別+予定配賦なんて初めて見ました

    かなり長い文章問題なのでかなり面食らったと思われます

    5問目では材料の平均的投入とか知らない人がいたらしいです

    「減損・仕損」がなかったのでその分ボーナス問題みたいな感じでしたね

    『本支店会計』の『未達仕訳』5番目で『自己宛為替手形』の未達仕訳が難解でした

    『不渡手形』も出ましたね

    たまに出る勘定科目です

    前回よりかなり難しい感じもしますが40%前後くらいでしょうか

    工業簿記で勝敗が決まった感じですが今後『新傾向問題』に注目したいです

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。

      試験お疲れ様でした。工業簿記が合格しただけでも立派な前進だと思います。一つずつ合格していけば最後には全て合格しますから。

      日商簿記2級は今回工業簿記が難しかったようです。過去問を解くのは大切なのですが、過去問のみに力を入れすぎると今回のような新傾向のときにきついですね。

      やはり基本的なところを徹底に身につけることが大切だと再認識させられたところです。

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