法定準備金の積立てが義務付けられている理由

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では法定準備金の積立が義務付けられている理由について解説します

≫法定準備金そのものの解説は剰余金の処分(法定準備金の積立)の取引と仕訳で詳しく行っています。

法定準備金の積立が義務付けられている理由

なぜ配当を支払うたびに資本準備金や利益準備金などの法定準備金を積立てなければならないのでしょうか。繰越利益剰余金は株主のものなんだから、株主のものを株主に支払うのは本来自由なはずです。

なぜ株主のものを株主に支払うのに法定準備金を積立てる義務があるのでしょうか。

結論から言いますと、「債権者を保護するため」となります。これだけでは分かりにくいので、順を追ってご説明します。

株主の有限責任の原則と法定準備金の関係

「最悪の場合でも株式の購入代価の全額をあきらめるだけでよく、それ以上にお金を支払う必要がない」という原則を株主の有限責任の原則といいます(詳しくは株式会社の仕組みをご覧下さい)。

株主の有限責任の原則により、たとえ株式会社が借金を返済できなくても、株主が個人の財産を使って貸し手に借金を返す必要がないということになります。

株主の有限責任の原則は貸し手などの債権者の立場を極めて不利にする原則です。債権者の立場から見れば「自分が貸したお金が返ってこなかった場合でもその株式会社の所有者である株主にお金を返してもらえない」ということになります。図で示すと右下のようになります。

株主と株式会社と債権者の関係

株主の有限責任の原則があるのに、会社が稼いだ利益をどんどん株主に支払っていくことが認められるのであれば、債権者はたまりません。

そこで、株主に配当を支払うためには株式会社に一定額を債権者への支払いの原資として積立てておくことが要求されているということになります。

この積立のルールがあることで、「利益準備金や資本準備金を取り崩して借金を返してくれ」と会社に請求することができます。

債権者の保護と法定準備金の積立ルールの関係

法定準備金の積立のルールは、“剰余金の配当をする場合には、利益準備金と資本準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、その配当の額の10分の1以上を資本準備金又は利益準備金として積み立てなければならない。(会社法第445条4項など)”というものでした。

これは、要するに「配当の額の10分の1以上を資本準備金又は利益準備金として積み立てなければならない」とすることで、配当額の10分の1を債権者への支払いのための資金として積立てておくように会社法が指示していると読み取ることができます。

しかし、このルールだけだと配当をずっと続けていけば無限に積立金が増えていきます。積立金は必要以上に積立てることは「繰越利益剰余金は株主のもの」という点から考えて問題があります。

株主の立場としては「株主のものなんだから株主に支払ってくれ」という言い分もあるからです。

そこで、「利益準備金と資本準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで」は準備金を積立て、資本金の4分の1以上は積立てる必要はないと会社法が指示しているのです。

法定準備金の積立ルールのまとめ

この法定準備金の積立ルールは、次の2者の立場のバランスを保つためにあるものです。

  • 株主(繰越利益剰余金は株主のもの)
  • 債権者(会社にしか債権を請求できない)
  1. 繰越利益剰余金は株主のもの
  2. 自由に配当できるはず
  3. 株式会社にしか債権を請求できない債権者は極めて不利
  4. 債権者への支払いのための資金を積立てなければならない
  5. 積み立てすぎると1に反する
  6. 1と4の中間に両者が納得できるルールを決めた

この考え方の4から6と次の1から3の論理を結び付けておくと法定準備金の積立てルールを覚えやすいと思います。

  1. 配当の額の10分の1以上を資本準備金又は利益準備金として積み立てなければならない
  2. 積み立てすぎると「繰越利益剰余金は株主のもの」に反する
  3. 資本金の4分の1以上は積立てる必要はない

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